ペナルティーは 1打罰 or 2打罰|ルール解説
♦ スコアの申告ミス
ご存知の方が多いと思うが スコアの申告ミスは 過少申告であれば 競技失格、過大申告であれば みすみす その分 損をすることになってしまう。プロのトーナメントでも そうしたミスは 時々起きる。比較的 最近の事例としては 2015年 5月に行われた 中京テレビ ブリヂストン レディス オープンで 鈴木愛選手がハザード内のルースインペディメントを取り除くルール違反を犯した時のペナルティー(旧ルールで 2打罰)を 1打罰とし 過少申告だったことが後になって判明し 本来は 上位入賞できる成績だったのに 競技失格となった。
♦ ペナルティーの種類と罰の重さ
前述のように ルール違反のペナルティーは 1打罰 又は 2打罰、マッチ プレーでは 1打罰 又は そのホールの負け、それに 競技失格の三通りである。原則、1打罰は 物理的に球を打てない時に受ける救済(例えば、ペナルティーエリアに球が入った時)及び 比較的マイナーなルール違反(例えば、救済を受ける時に 肩の高さから球をドロップし プレーしてしまった時)などに対して科される罰である。一方、ルール違反の多くには 一般の罰 (general penalty) 即ち 2打罰 もしくは そのホールの負けという罰が科される。
一方、関係のない 2 つの違反を立て続けに犯した場合は 両方のペナルティーが科されるが、競技者が 一連の行動で結果として 2 つの規則に違反した場合は 大きな罰則のみが 科されるという原則も覚えておいて欲しい。例えば、プレーヤーが 球を動かしてしまい それを元の位置に戻さずにプレーをした場合は a) 球を動かしたことのペナルティー (1打罰) と b) 誤所からのプレーによるペナルティー (2打罰) が ダブルで科され 3 打罰になるのではなく、b) の大きな方のペナルティー 2打罰だけが科されるだけである。同様に、救済を受ける時に 旧ルールのやり方で a) 球を肩の高さからドロップし b) 救済エリア外にある球を打ってプレーしてしまった時には b) 誤所からのプレーによるペナルティー (2打罰) だけが科されることになる。つまり、違反が a) だけであれば 1打罰なのである。
他方、救済は 無罰で受けられるケースとペナルティーの 1打罰が科されるケースがあるが 1打罰の救済には 前のショットを打った所から打ち直すもの 即ち 実質 2打罰のインパクトがあるミスと 前進して 救済の基点となるポイントの近く (例えば、球が赤線を横切った所から 2 クラブレングス内) に球をドロップできる 実質 1 打罰以上、2 打罰未満のインパクトのものがある。この二つのケースは スコア的インパクトが異なると言うことだ。前進 3 打、前進 4 打の (ローカル) ルールの判断基準としても この理屈は 良く認識しておいて欲しい。
♦ ペナルティーの整理(分類表)
以下は ペナルティーのタイプを代表的な適用例、例えば、OB や 球を動かしてしまった時、誤球 などを挙げて分類し、1 打罰 か 2 打罰 (そのホールの負け) かの判別と プレーを続行する際の対処方法について整理し 纏めたものなので 参考にして下さい。
ペナルティー/ 救済 | 適用例(対処方法) |
無罰の救済 (Relief) | 修理地、カート道、動かせない障害物、テンポラリーウォーター、など(救済の二アレストポイントから ホールに近づかない範囲で 1クラブレングス内に球をドロップすることが出来る) |
1 打罰: a. 救済; b. マイナーなルール違反 |
ペナルティーエリアの救済、アンプレヤブル宣言後の救済、ルール違反となる状態で球を動かしてしまった時など(ルールに従って 球をドロップ または 球を元あった所にリプレースするなど) |
1 打罰(打ち直し): 2 打罰のインパクトがある救済 |
OB、ロストボール(ストロークと距離の措置、または、前進 2打罰のローカルルールに従って球をドロップか プレースして プレーを続行) |
2 打罰 / そのホールの負け: ルールを尊守しない違反 |
誤球、誤所からのプレー、練習ストローク、プレーに係わるアドバイスの違反、バンカー内の禁止行為など(単に 2打罰でプレーを続行する場合もあるが 違反によって対処方法は異なる) |
失格: ルールに著しく反する違反 |
スコアの過少申告、ルール違反のクラブ使用、ルールに則した処置をしないでプレーを続行する、など |
♦ 間違い易いケース・追加説明
まず、救済 (Relief) には 無罰の場合と 1 打罰の場合の二通りがあるが その違いを 明確に区別して 認識する必要がある。通常、1 打罰のペナルティーが科される状況は 例えば ペナルティーエリアの救済措置や アンプレヤブルを宣言する場合など ストロークプレーも マッチプレーも ルールは 共通していることが多く ストロークプレーで 2 打罰になる状況(例えば、誤球、誤所からのプレー、練習ストローク、プレーに係わるアドバイス、バンカー内の禁止行為に係わる違反など)は マッチプレーでは そのホールの負けというペナルティーになると(一部 例外はあるが)覚えておくと便利だ。
大雑把ではあるが 殆どの場合、a. 救済(ペナルティーエリア、アンプレヤブルなど)を受ける場合と b. ルール違反を犯すつもりはないがやってしまうマイナーなルール違反(球を動かしてしまうなど)には 1 打罰が適用されるが ルールを遵守しないプレー(誤球、誤所からのプレー、練習ストローク、プレーに係わるアドバイス、ハザード内の禁止行為などの違反)には 2打罰が科せられる と覚えておこう。
もちろん、うっかり犯すマイナーなルール違反とルールを遵守しないルール違反とは 明確に区別できるものばかりではなく、どちらか 判断に迷ってしまうものもあるだろう。例えば、バンカーでソールが砂についてしまった場合は 2 打罰(そのホールの負け)というペナルティが科されるが、そうした分かり難いものについては そう沢山ある訳ではないので その都度 ルールブックをチェックすれば良いだろう。
なお、新ルールになって 旧ルールでは 1打罰であったものが 無罰になったものもあるので この機会に 確認しておこう。それは 二度打ち、自分の球が自分や自分の携帯品に当たった時の罰則である。どちらも、新ルールでは 罰なしで 球が止まった所から そのままプレーを続行すれば良くなった。
また、間違い易いのが OB と ロストボールに対するペナルティーと対処方法である。特に、ローカルルールの前進 2 打罰というケースがあるし 実際のダメージが 2 打だから、そのペナルティが 1 打だったか 2打だったかで 混乱している人が多いようだ。本来、OB も ロストボールも採るべき措置は ストロークと距離に基づいた 1打罰で打ち直すという措置である。ただし、前進してプレーする場合は 2 打罰のペナルティーで (ローカル) ルールで定められた エリア内に 球をドロップして プレーを続行することになる。
以上で 九割方のケースは 整理することが出来ると思うが 前述のバンカーのケースなど分かり難いもの、そして、例外があることも覚えておこう。例えば、ストロークプレーでは ルール違反になる行為が マッチ プレーでは 許されたり、対戦相手の判断に委ねられると言ったこともある。いずれにしても、普段から ルールブックを携帯して 正しいルールに基づいた プレーの仕方、スコアの付け方を心掛けるようにしたいものである。