ローカルルール|ゴルフルール解説

Introduction

ローカルルール(Local Rules)とは 特別なプレー環境に配慮して 公式ルールの規定を一部を変更、削除 または 追加したりする独自のルールのことである。6 インチプレースや OB、ロストボールの前進2打罰 (4打) などは 最も 一般的な ローカルルールの例だが、ルールブックには 競技委員会は 本来のルールに規定されている方針と矛盾しないものであれば 地域的な異常な状態に対応するため ローカルルールを作ることができると明記されている。以下は そんなローカルルールについて解説した約 5分の音声なしの動画である。また、その下のテキストで さらに詳細を説明しているので そちらもご覧下さい。

ローカルルールのあるべき姿

さて、ここでは まず「本来のルールに規定されている方針と矛盾しないもの」という条件が付いていることに注目して欲しい。素晴らしいコースで晴れた日なのに 6 インチ プレースでプレーしている人、そして、OB、ロストボールの前進 2打罰で特設ティーからティアップしてショットをする人など、本来のルールに規定されている方針に矛盾すると言わざるを得ない ローカルルールが 氾濫しているという事実を どう解釈すべきかである。本来、ローカルルールは そうした邪道的な規則ではなく、ルールブックで認めている 正統派の規則であるべきという考え方があるが そんな意見に対する見解は 様々だ。

公正の理念

ローカルルールには 基本的に (1) ルールの緩和的な救済措置と (2) ルールで基本的には認められている行為を 禁止するものとがある。例えば、(1) の例には 6インチ プレースを許すことがあり、(2) の例には ストローク プレーで ホールアウト後のグリーンでの練習パットを禁止することなどがある。雨など、悪天候の影響で コースの状態が悪い時に 6 インチ または 1 クラブ レングス以内の範囲にボールをプレースすることを許したり、障害物やコース保護、さらにはスピード プレーなどに関するある種の措置は (1) または (2) の概念の下に その判断が競技委員会に委ねられるもので、それが本来のローカルルールである。状況によっては プロの競技でも スルーザグリーンで 1 クラブ レングス プレースを許すようなこともあるが、原則、競技委員会は 競技の公正性 (equity) を考慮してローカルルールを設定すべきなのだ。ルールブックには 規則に関する争点について適用できる規則がない時は 公正の理念(英語では with equity)に従って 裁定がなされるべきであるといったことも明記されている。

また、ローカルルールを設定する時に 競技委員会には その内容を分かり易く、具体的に明記することが 2004年のルール改訂以降、義務付けられるようになった。例えば、雨で プリファード ライ (preferred lies) の ローカルルールを設定するのであれば 次のように明記すべきである。本日の競技は ゴルフルールの付属規則 I に従って プリファード ライ(ウィンター ルール)での プレーとする。ジェネラルエリア (スルーザグリーン) で 罰なしに 球を拾い上げてふくことができる。球を拾い上げる前に プレーヤーはその位置をマークしなければならない。球を拾い上げたあと、プレーヤーは その球を元の位置より 6 インチの範囲内でホールに近づかず ハザード内でもパッティング グリーン上でもない所にプレースしなければならない。ボールを一度プレースしたら 再度 動かすことは出来ない。

なお、上述のジェネラルエリアの記述は フェアウェイのみとか 6番ホールのフェアウェイなどと限定的にすることが出来るし、プレースメントの許容距離を 1クラブレングスとすることなど、状況に応じて競技委員会が判断して決定すべきものである。ただし、もし(競技委員会の不手際で)上記のような具体的記述がない時には 付属規則に明記されている条件が採用されるべきで プレースメントの距離は 6 インチ との説明もある。原文では 次の通りである。In the absence of a specific definition, the local rule defined in Appendix I would fill the void. This comes from the presumption that the Rules of Golf applies to the competition. The specified placement distance would be by customary practice, usually six inches.

豆介2013年 4月 第1週の女子ツアー、アクサレディスの初日に 雨のため 「ボールをマークして無罰で拾い上げて拭くことができる」 と プレースメントの許容距離を 明記しないローカル・ルールが 選手に明示された。その結果、選手は元の位置にリプレースすべき との解釈をしたが、その日(最終的に優勝した)堀奈津佳が 6 インチのプレースで プレーを したことが報告された。この事態を受け、競技委員は一旦 堀の失格を宣告したが(具体的に 元の位置にプレース、または、リプレースするとの明記がなかったとのクレームを受けて)それを撤回し、無罰の裁定を下した。この裁定は 上述のルールに従ったもので、競技委員会の不手際があったことに鑑みれば、多くの選手がこの裁定には猛反発したようだが、適当なものであったと言えよう。



邪道的でも合理的なら?

一方、プレーファーストを促すために OB、ロストボールを前進2打罰にし、短いパット(例えば、ワン グリップ以内)を OK にするなどが 一般的なローカルルールとして良く採用されるが、前者は 新ルールになって公式ローカルルールとして認められたが 後者は 公式なローカルルールになり得ないものだと言えよう。つまり、公式ルールのガイドラインには 合致しない ある意味 邪道的な ローカルルールということになる。しかし、レクリエーション的なコンペや練習ラウンドでは スピードプレーを優先する意味で そうした措置を必要に応じて取るべきで、それらが本来のローカルルールのあるべき姿だという考え方もある。

つまり、ゴルフ本来の精神を尊び ルールに忠実にプレーをすべきだと言う考え方と 形式だけにとらわれず プレーファーストのような実質面を重視すべきと言う ある意味 相容れない 二つの考え方がある。限られた時間内にプレーを完了することは ある意味 ルールでもある訳だから それが出来ない人たちのことを考慮に入れた 邪道的なローカルルールを暫定的に導入することも 決して悪い考え方ではないという判断もある。月例競技などでは ハーフ 2時間 15分 前後をスロープレーの基準にしているクラブが多いと思われることからも 特別な理由がないにも拘らず その程度のスピードで プレー出来ない ゴルファーは(公式競技でなければ)自分なりのローカルルールに従って(例えば、ボールをピックアップして そのホールのプレーを暫定的なスコア、または、あらかじめ決めた MAX のスコアで終了することも考えるべきだという考え方に基づくものだ。 » スピード・プレーのコツ

近年は セルフプレーが当たり前になり、プレーファーストに対する配慮のないグループも ゴルフ場には 少なからず居るようだが、そうした ゴルフルールも マナーも守ることの出来ないゴルファーには ゴルフをする資格がない と言うくらいの自覚を持って欲しいが、そうした認識が 日本のゴルフ コミュニティーの中で薄れつつあることは 悲しい限りである。ゴルフ発祥の地と言われるスコットランドでは パブリックのゴルフ場であっても 公式ハンデがあるレベル(例えば、セント・アンドリュースのオールドコースは 男性 24、女性 36)以下でないとプレーをすることが許されない所が多い。運転免許がなければ 自動車を公道では 運転出来ないように ゴルフにも 厳しいルールと規制が適用されているケースもあると言うことだ。ゴルフ場では その客という立場から 自由気ままに楽しむ権利ばかりを考えている エセ ゴルファーには 知って欲しい側面である。

いずれにしても、状況によっては プリファード ライ(lift, clean and place などとも言う)で プレーをしても良いし、あくまでも ノータッチでプレーをしたければ それでも良いだろう。しかし、正しいゴルフルールとその精神(公正の理念)を出来る限り尊重するようにしたいものだ。一方、ゴルフ場のローカルルールの中には それを無視したルールがあることも事実だが、多くの人が楽しむためには ある程度仕方のない側面があるだろうから それが邪道的なローカルルールであっても 臨機応変の対応をするのが大人のゴルファーと言えるのかも知れない。いずれにしても、一般ゴルファー用と競技ゴルファー用のルールの境界線のようなものを 明確に引けないのも ローカルルールの考え方を難しくしている点だと言えるだろう。



コンペ用 推奨 ローカルルール

さて、ここで 初心者やハイハンデの人が 多数参加する会社のコンペなどに限って オススメなローカルルールを 邪道的なものになるが 紹介しよう。

a) 6 インチ プレース|ジェネラルエリア:フェアウェイのみと限定しても良いが、なるべく単純なルールにした方が ある意味 競技参加者間の公正性が担保できるだろう。

b) 前進2打罰: OB、ロストボールは 暫定球を禁止し 新ルールの救済の方法に従って前進し フェアウェイから2打罰で。但し、ペナルティーエリアで 前進3打の前進ティーやドロップエリアがある場合は それに従う。

c) OK パットあり: 例えば、30cm - 数字で 表示した方がワングリップと言うより明確になる。

d) 1ホールの MAX スコア: パーの2倍 + 2打までなどとする。つまり、パー 4 のホールでは 9打目を打ってホールアウトできなかった時点で スコアを 10 とし そのホールのプレーを終了する。

f) 不当の遅延(スロープレー): ハーフ 2時間 20分 のような限度を設定し 前の組から 1ホール以上遅れ、且つ、この許容時間に遅れた場合は そのグループの選手全員に ペナルティー2打罰を科す。

g) タイ・ブレーカー: 年齢が 最も 単純で 間違え難い方法だが、より公平にしたければ カウント バック (count back) 方式がある。即ち、同スコアの人が複数いる場合に 18番ホールのネットのスコアの良い人が上位になるというもので 18番ホールのスコアが同じ場合は 17番ホール、16番ホール ... の順で決着が付くところまで カウント バックしてスコアを比較し 順位を決める方法。

公式競技でプレーする時の注意点

最後に、公式競技の場合に チェックしておきたいローカルルールだが 以前は 注意すべき点が多かったが 新ルールになって その点は大きく変わった。つまり、1) 距離測定器は 使用可に(ただし、ローカルルールで禁止される可能性があるので要注意);2) バンカー内の石、小枝、枯葉などルースインペディメントを取り除くことが出来るようになった;3) ジェネラルエリアで 地面(砂地の場所を除く)に自分で作ったピッチマークにボールがくい込んでいる時は 新ルールでは そのボールを罰なしに拾い上げて 綺麗にしてから ホールに近づかないようにして ボールの止まっていた箇所に出来るだけ近い所にドロップ出来る;などローカルルールをチェックする必要性が低くなった。なお、エアレーションの穴がある場合などは それに関する救済措置がどのようになっているかなども チェックしておくと良いだろう。

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