ビジネス英語豆辞典 ホーム > ビジネス・エッセイ
他の豆辞典本 HP 利用上のご注意
 
アメリカン・ビジネス
(連載エッセイ)
1.
はじめに
2.
工場用地選定調査 - 1
3.
工場用地選定調査 - 2
4.
工場用地選定調査 - 3
5.
米巨大資本とのJV - 1
6.
米巨大資本とのJV - 2
7.
米国での工場建設 - 1
8.
米国での工場建設 - 2
9.
米国での工場建設 - 3
10. 米国での工場建設 - 4
     
コンテンツ目次
  言葉の散歩
  ビジネス・エッセイ
  米国ビジネス情報ソース
  ビジネス英語ショップ
  相互リンク
  サイトマップ
  豆辞典ドットコム ホーム
 
アメリカン・ビジネス: 工場建設の話など、著者の貴重な経験をご紹介します。
 
 
1. はじめに
少し昔の話になりますが、私は工場用地選定の調査から訴訟まで、アメリカで建設プロジェクトに係わる様々な仕事を経験しました。1987年から2000年までの 12-3年くらいのことですが、大手日本企業の米国法人に勤めていた私は、工場用地選定のリサーチャーという仕事を経験した後、いくつかのプロジェクト・マネジメントチームの一員として、地方公共団体との連絡や交渉、各種契約書のレビュー、交渉、サブコンへの引合い、発注、オーナーとのコミュニケーション、チェンジオーダー (追加工事) の交渉、事故処理、保険求償、そして、最後は大型訴訟関連の仕事まで、建設プロジェクトに係わる仕事を一通り経験しました。また、この間、米国自動車会社 (ビッグスリーの一社) とタイアップして、自動車部品の製造を行うジョイントベンチャーのプロジェクトにも深く関与したことがありました。
建設プロジェクトと一言に言っても極めて広範囲な業務がありますが、これからお話しするのは、そうした私の経験の中から、工場用地の選定調査、ジョイントベンチャーのスタディーと交渉に係わる経験、工場建設の話などですが、そうした中で、様々なプロジェクトの仕組みや仕事の進め方、アメリカでビジネスをする日本企業の実態、プロジェクトのリスク、保険の役割、そして、訴訟に関するお話などをします。時には、英語の勉強の話も出るかもしれませんが、基本的には英語のお勉強の話ではありませんので、悪しからず。
今回は、その第1回として、工場用地選定に係わる調査の話を少ししましょう。アメリカには、工場用地選定の調査を専門にしているコンサルティング会社もありますが、市場調査などの仕事をしていた私は、会社からその業務をするよう指示を受けました。プロジェクトの概要は、自動車部品の製造をするための工場をアメリカ中西部に建てるというもので、投資額が約 1億ドル、従業員約 100名の工場で、敷地は約 50エーカー (180,000平米) という条件でした。 当時は、バブル前で日本企業がどんどんアメリカに進出しようとしていた時期でした。日米貿易摩擦が大きくなる中、ホンダの北米進出を皮切りに、日産も北米に進出し、そしてトヨタ、マツダ、三菱、富士・いすゞなど日本の自動車会社は、どこも北米進出を表明していました。そうした中、ローカルコンテンツを上げる必要のある日本の自動車会社にとって、自分の下請けの自動車部品会社にも北米進出をしてもらう必要があったわけです。
一方、アメリカの中西部は、基幹産業の機械、製鉄や自動車産業の地盤沈下が顕著で、失業率が上昇する中、地方公共団体 (州、市、町) や電力会社などは、競って、日本企業の誘致をするような状況が見られたのです。そうした団体や電力会社がチャーターしてくれるヘリコプターで工場用地を幾つも見て回るようなこともありましたから、その力の入れようは大変なものでした。とにかく、中西部の小さな町を次から次へと見て回るのですから、頭も多少使いましたが、体力の要る仕事です。対象となった地域は、ウィスコンシン、イリノイ、インディアナ、オハイオ、ケンタッキー、テネシーの 6州が中心でした。中西部には、さほど大きな面積の州はありませんが、それでも、一つの州の大きさは相当なものです。それぞれの州が、日本の半分から 3/4 くらいの大きさと考えてもらえばよいでしょう。候補となる市や町のデータを調べ、その候補地を見て、オファーを聞くのです。基本的に、新地に工場を建てる計画でしたが、時には、空き家になっている工場を見せられたこともありました。とにかく、それぞれの町で色々な工夫をして、これでもかというオファーをしてきました。50エーカーの土地が、1ドルというオファーまでありましたから.....。 続きは、こちら