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需要と供給
既に、説明したとおり物の値段は需要と供給で決まる。物が余っている時には安く、足りなくなると高くなるが、右のグラフのように、値動きの度合いは需要と供給のカーブが寝ているか立っているかで決まることになる。それをエラスティシティー (Elasticity) と言うが、需要も供給も そのカーブが寝ていれば エラスティック (Elastic)、立っていれば インエラスティック (Inelastic) と言うことになる。例えば、塩の需要は 値段が二倍になってもほとんど減ることはないはずだから その需要は Inelastic、一方、レタスの値段が二倍になれば需要は減るから需要はより Elastic な訳だ。

生産中止の概念
一方、生産が中止され供給が減少するメカニズムを理解する上で必要な概念には 右のグラフのような平均コスト、平均変動費、損益分岐点、マージナル(限界)コストなどがある。生産者は 変動費固定費の一部がカバーされれば、一時的には損をしてでも物を作って供給することがあるが、通常は 平均変動費よりマージナルコスト(Marginal Cost)が低くなるような状況、即ち、短期的には作れば作るだけ損をするような状況になると生産を打ち切ることになる。しかし、実際には これに機会費用 (Opportunity Cost) という概念が加わり、生産者は シャットダウン点よりも損失が少ない、場合によっては、利益が出る状況においても生産を打ち切ることがある。つまり、利益が出ていても機会費用が大きければ 生産者はその生産を打ち切るという決定をすることもあると言うこと。

機会費用の理論は 株や債券などへの投資などにおいても良く見られる。つまり、限られた資金を運用する投資家の場合、A という株から見込めるリターンが 5% で、そこへ 同等のリスクの B という株では 急に 10% のリターンが見込めるようになったとすれば、A を売って B という株を買うという現象が起きる。このような場合、B の値段は その見込めるリターンが A と同程度になるポイントまで上昇する。つまり、需要が増えて価格が上昇する。同じようなことが 株式市場全体で起きることもある。つまり、債券の利回りが株の利回りよりも急に良くなった場合は 株の利回りが下がらなくとも値が下がるという現象が起き、続いて、株の利回りは株価が下がるので上がり、売りがその時点で止まり新たな均衡を見る。

金利が上がったり、下がったりしたすると言うことは この機会費用が変化するということだ。金利が 2% から 3% に上がったとすると 2 - 3% のリターンしか見込めない株を持っている人は 株を売ってしまう可能性が高く、そうすると株の値段は下がる。しかし、ある程度株価が下がれば 株から見込めるリターンは上昇するから、売りが止まり、新たな株価に落ち着く。つまり、金利が下がると思えば買いで、上がると思えば売りになる訳だ。ただし、市場ではそうした予測を含んだ形で株価などが均衡しているから、仮に、実際には 金利が動いても予測どおりの動きであれば株価などはあまり影響を受けないと言う結果も起きる。当然、金利が予想以上に上下すれば、株価は影響を受けることになる。

機会費用の説明には 「大学進学の機会費用とは進学せずに働いていたら得られたはずの収入と授業料など費用の節約の合計である」などと説明されるが 機会費用の概念のみで考えるのではなく、前述のように需要と供給できまる価格の理論と組み合わせると 応用範囲が広がり、その知識がより役立つようになるはずだ。

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