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最近は銀行に行かなくともインターネット・バンキングで簡単に外貨預金口座を作ることも出来る。日本円口座から振り替えるか、もしくは、外貨を送金することで 米ドル建て(ユーロ建て、豪ドル建てなども) の普通預金や定期預金、マネーマーケットなどでの資金の運用が可能になった。数年前は 日本の預金金利が ゼロに近いような状況でも 数 % の利息の付く外貨建ての預金やマネーマーケットには 為替手数料と為替リスクはあったものの それなりのメリットがあるように見えた。まず、為替手数料は、円貨を外貨に替える際の為替レートである TTS と外貨を円貨に替える際の為替レートである TTB の差は 最も小さい米ドルの場合で 通常 1 - 2円 (約 1 - 2%) だから、1年くらいの定期預金では それだけでメリットがなくなってしまったが、ソニーバンクのような銀行(手数料 20 - 25銭)を利用することで大幅に低く抑えることが出来るようになっている。一方、為替リスクは 円貨と外貨の交換レートで絶えず変動するから 円貨を外貨に外貨を円貨に替える際の為替レートの差が為替差益や差損になる。円安になれば為替差益が生じ、円高では為替差損が生じるという構図は 常に変化のないものである。

為替レートもランダムウォーク理論で動くから、それを予測して短期的に利益を出そうとするのは愚かな行為だが、二国間の為替レートは 購買力平価(Purchasing Power Parity) というメカニズムで長期的には均衡すると考えられるので 二国間の物価上昇率の違いを考えれば 数年前には 円がドルに対して徐々に強くなる傾向にあると考えるのが自然で、ドル建て預金はそんなに有利な運用方法ではないと言えた訳だ。それでも金利差があれば 多少の円高は容認出来る状態だったから 米ドルで資金を運用した人も少なくなかった。

2002年のはじめには日本の株式市場が底値をつけ 円がドルに対して売られて円安が進行したが、その後、円ドル相場は 100 - 125円の範囲で乱高下を繰り返した。そして、2008年のリーマンショック後に 一気に急激な円高が進行し 80 - 90円という時代が 2012年頃までは続いた。その後、一時は 120円を超えるまでの円安の時や 100円前後の円高のこともあったが、110円前後の相場に落ち着いた。当然、円安の時にドル建て預金を始めた人達は 悪い結果になったが、逆に 円高の時にドル建て預金を始めた人は 素晴らしい結果なったはずだ。
円・ドル為替レートの推移 1.
円・ドル為替レートの推移 2.

当然、海外の株式や債券などに投資をする投資信託も外貨預金と同じリスクとデメリットに直面することになる。しかし、為替リスクに見合ったハイリターンが期待出来るのであれば、そうしたファンドへの投資は 決して悪いアイデアではない。例えば、ブリックス (BRICs) の株式市場やベンチャー・キャピタルが投資の対象になっているファンドであれば、通貨の切り上げも追い風だから、魅力を感じる人は少なくないだろう。ただし、為替リスクやその他コストを十分認識した上で全体の資産の運用の1オプションとして、こうした投資を考えることが重要だ。繰り返しになるが、投資は リスクの分散が基本だから。

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