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Federal Reserve
日本銀行や米国の連邦銀行は短期金利や世の中に出回っているお金の量、つまり、通貨供給量(マネーサプライ)をコントロールして経済活動やインフレの動向を 誘導するが、まずは その仕組みをザーッと整理して見よう。景気が過熱気味になると短期金利を上げるか、通過供給量を減らして景気を沈静化させるが、逆に、景気が悪くなると金利を下げ、通貨供給量を増やして景気を刺激するというのが 金融政策の基本である。

しかし、最近の日本を含む先進国の経済環境は 景気が低迷していても 金利を下げられないという状況になった。そして、これ以上金利が下がらないという考え方が支配的だから、金利が上がれば物の値段は下がるという理屈で、物への投資は極めてし難い状況である。加えて、高齢化や人口の減少は 物への需要を益々減少させる訳だから、物の値段は上がらず、デフレ圧力は強まるばかりだ。


一方、公共料金や交通費などは 競争原理があまり働かないこともあって、景気動向に関係なく下がらないし、ガソリンの値段などは 国内の景気や需要と供給とは関係のない経済活動の影響を強く受けると言う状態だ。つまり、事業形態によっては売価は下がっているにも拘らず、コストを下げられないビジネスもあり、そうした事業環境下で企業のリストラや倒産などが顕著に見られる訳だ。
とは言え、多くの物の値段はやはり金利の動向に左右される。 国債の例で見てみよう。過去に発行された新発の 10年国債の利回りが 2% だと仮定し、その国債を満期まで保有した時に受け取る利息とその額面を現在価値に割り引いたものが 現在の理論価格で、その割引率が(長期)金利と連動して動くと説明したが、実際の現在価値(理論)の計算例を見てみよう。

例えば、割引率 = 1% (現在発行される国債の利回り) 、利回り = 2% (手持ちの国債の利回り)、残存償還期間 = 5年 | 額面 = 100万円という債権を 所持している場合。今後 5年間に支払われる利息は 2万円 x 5 = 10万円で、5年後に 100万円が戻ってくるから 1% の割引率での現在価値 (Net Present Value) は 以下のようになる。

1年目利息=20,000 ÷ 1.011 = 19,801.98
2年目利息=20,000 ÷ 1.012 = 19,605.92
3年目利息=20,000 ÷ 1.013 = 19,411.80
4年目利息=20,000 ÷ 1.014 = 19,219.61
5年目利息=20,000 ÷ 1.015 = 19,029.31
5年目元本=1,000,000 ÷ 1.015 = 951,465.70
合計 (現在価値) ................... 1,048,534円

つまり、5年前に 2% の利回りの新発の 10年国債を買い 5年後の利回りが 1% に落ちていたとしたら その理論上の現在価値は 1,048,534円になり、これを売却すれば 48,534円の利益が出る訳だ。こうした利益のことをキャピタル・ゲインと呼ぶが、実際には売る時点の金利の先行きに対する思惑などが入り、理論値を多少上回ることもあれば 下回ることもある。世の中には こうしたキャピタル・ゲインを期待して投資をしている人達が沢山居たが、世界中の債券市場で長期金利の低下が続いていて、かつてとは違った投資環境になっている。世界各国で長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」が発生。例えば、日本やドイツの 10年国債の利回りはマイナスで、世界の債券の4分の1がマイナス金利という異常事態になっている。

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