マスターズのお話|歴史、見所、様々な記録
マスターズの出場選手には 世界各地のツアーからランキング上位者や歴代マスターズ優勝者のほか、全米アマのファイナリスト、全英アマ、全米アマ・パブリック リンクス、全米ミッド アマ、アジア アマの優勝者など アマチュア選手も招待される。毎年 同じコースで行われる唯一のメージャートーナメントで シーズンの幕開けを告げる大会として独特な雰囲気があることからも人気が高く、観戦用のチケット入手も大変困難になっている。以下は そのオーガスタナショナルの紹介動画で コースの雰囲気を知るために参考になるものだろう。
♦ 始まりの歴史
♦ コース設定
オーガスタ ナショナル G.C.は 過去に何度も コースを改修し 距離を延長してきた。2006年からは 2018年までは 7,435 ~ 7,445 ヤードのコースで競技が行われたが 2019年は 5番ホールが 40ヤード伸び さらに長い 7,475 ヤードのコースに。そして、2022年に バックナインの 11番、15番が それぞれ 15ヤード、20ヤード伸び、7,510ヤード、そして、2023年に 13番が 35ヤード伸びて 遂に 7,545ヤードにまでなった。Flyoverの動画は 7,435 ヤードの時のものである。因みに、1997年大会で タイガー (Tiger Woods) が 2位に 12打差の -18 (270) という記録で優勝した年は 全長 6,925 ヤード。それが 2000年に 6,985ヤード、2001年から 2005年の間は 7,270 ~ 7,290 ヤードという距離設定になったという経緯がある。
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8 |
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Out |
445 |
575 |
350 |
240 |
495 |
180 |
450 |
570 |
460 |
3,765 |
4 |
5 |
4 |
3 |
4 |
3 |
4 |
5 |
4 |
36 |
10 |
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14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
In |
495 |
520 |
155 |
545 |
440 |
550 |
170 |
440 |
465 |
3,780 |
4 |
4 |
3 |
5 |
4 |
5 |
3 |
4 |
4 |
36 |
(Par 72) | 7,545 yards
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コースは バミューダ芝のフェアウェイとラフに ベント芝のグリーンという組合せだ。ラフは 他のメージャートーナメントと異なり短いが もともとバミューダ芝のグリーンを ほぼそのままのアンジュレーションでベント芝の超高速グリーンにした訳だから パットが難しい。そして、それを如何に制するかが成功の鍵を握ることになる。ピンに対して どこにボールを乗せて行くか、その為に フェアウェイのどこにボールを落とすかという発想で プレーをする必要があると言われている。2メートルのパットでも悪い方向からのパットであれば入らないばかりか 3パットにもなり兼ねない。オーガスタのグリーンには「魔女」が棲むと言われる由縁である。» コースを空から見る
♦ 出場選手数と予選通過ライン
毎年、90人前後の選手が招待され、18ホール (Par 72) を 4日間 72ホールのストロークプレーで争うもので プレーオフは サドンデス方式だ。予選通過ラインは トップの選手のスコアから 10打差 もしくは 44位タイの選手までという決まりだったが、2013年に 50位タイの選手までに変更された。なお、2019年大会では 日本から 松山、今平、小平、そして、アジア パシフィック アマで 優勝した金谷の計4選手が出場した。一方、2020年の秋に開催された大会では 松山、今平の2選手が出場、そして、2021年大会は 日本で 2020年に男子の大会の多くが(欧米以上に)コロナのために中止になったために 日本中心にプレーする選手の世界ランクが下ったこともあり 松山選手のみが出場することになった。しかし、そんな中 松山選手は 優勝するという快挙を成し遂げた。2022年は 松山、金谷、中島の3名が出場する。
♦ マスターズの見所
フロントナインにも見所は 幾つかあるが バックナイン、何と言っても 11番・12番・13番の 3ホール、所謂、アーメンコーナー (Amen Corner) から ドラマはクライマックスに突入する。インの最初の長いパー 4 (Camellia) に続く 11番のパー 4 (White Dogwood) が アーメンコーナー最初のホールだ。さらに、ホーガン・ブリッジで有名な短い池越えのパー 3 (Golden Bell)、そして、グリーン手前のクリーク (Rae's Creek) 越えの短いパー 5 の 13番ホール (Azalea) へと続くが、この 3ホールがコースの丘になった高台にあり 風が強いことも多く、スコアを伸ばせる選手とスコアを崩してしまう選手の明暗が分かれるところである。» アーメン・コーナーのお話
そして、アーメンコーナーが終われば 最後の 5 ホールは見ている者に息もつかせぬラストスパートという展開だ。14番ホール (Chinese Fir) は オーガスタで 唯一 バンカーのないホールだが 最も起伏の激しいグリーンが待っている。そして、15番 (Firethorn) は 2 オンが狙える 530ヤード池越えのパー 5。16番 (Red Bud) は 池越えのパー3 で、そのグリーンは 激しく右から左へと傾斜しており 毎年 最終日には グリーン左奥にカップが切られる。2005年の最終日に カップ手前で止まるかと思われたタイガー・ウッズのチップショットが最後にナイキのロゴを見せながら一転がりして入ったシーンを覚えている人は少なくないだろう。続く 17番 (Nandina) は フェアウェイ左中央のアイゼンハワーツリー(2014/2/16 に 残念ながら アイス ストームで ダメージを受け撤去された)で知られていた 440ヤードのパー4 である。かつて、メンバーだったアイゼンハワー大統領が良く打ち込んだ木だそうだ。そして、フィニッシィング ホール (Holly) は 大きく右にドッグレッグした登りの 465ヤードのパー 4 だが、プレーヤーにとっては ティショットをフェアウェイセンターに運びたいホールだが、正面のフェアウェイバンカーを嫌って 右の林に行けば パーオンは 諦めざるを得ない難易度の高いホールである。»コース詳細
♦ 様々な記録|興味深い動画も
さて、第ニ回大会では ジーン・サラゼン (Gene Sarazen) が この 15番のパー 5 で アルバトロスを出した。ニ打目 235ヤードを バッフィーでホールアウトした(アルバトロスの)1打は 世界に轟き渡ったショット(the shot heard around the world)として後世に語り継がれている。サラゼンは 最終日に このショットもあって 1位タイに追いつき、翌日の 36ホールのプレーオフで優勝を飾った訳だ。また、1943年、1944年、1945年と戦争のために トーナメントは中止されたが、その前年の 1942年には バイロン・ネルソンが ベン・ホーガンを プレーオフの死闘 (69-70) の末に下し、優勝したという記録もある。
比較的最近の記録では 2010年に優勝したフィル・ミケルソン (Phil Meckelson) が 3日目に 13番、14番ホールで連続イーグルを出し、15番ホールでは あわや 3連続イーグル が出るかという場面や(» イーグルの話)2012年大会 最終日の 2番ホールで ルイ・ウーストハイゼン (Louis Oosthuizen) がアルバトロスを出して一気に首位に立ち 最後まで リードをキープするかと思われたが、16番ホールで ババ・ワトソン (Bubba Watson) に追いつかれ、その後、プレーオフになり優勝を逃した。そのプレーオフの 2 ホール目となった 10番ホールでは、ワトソンがティーショットを大きく曲げて トラブルになったものの そこからの ミラクルショットで ピン傍に寄せるセカンドショットを放ち 見事 優勝を果たしたという 記憶に残るドラマも生まれた。そして、2015年には ジョーダン・スピースが -18 というスコアで 記録ラッシュの優勝を果たしている。(» マスターズの記録)以下は 2021年 マスターズ (松山英樹選手優勝) の動画である。
最後に優勝の記録であるが、マスターズの最多優勝記録は ジャック・ニクラス (Jack Nicklaus) の 6回で、次いで、アーノルド・パーマー (Arnold Palmer) と タイガー・ウッズの 4回、サム・スニード (Sam Snead) と フィル・ミケルソンの 3回がある。また、連続優勝の記録では、3連続優勝以上の記録はなく、ジャック・ニクラウス (1965-66)、ニック・ファルドー (1989-90)、タイガー・ウッズ (2001-02) の三人によるニ連勝の記録があるだけだ。また、2000年以降の記録では タイガー・ウッズが 2001年、02年、05年、19年の四回、フィル・ミケルソンが 2004年、06年、10年と三回の優勝、また、ババ・ワトソンが 2012年、14年の二回の優勝を果たしている。 » メジャー優勝者の記録
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