アイアンの選び方|基礎から専門知識まで
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• はじめに |
• アイアン選びの基礎知識 |
• 最近のトレンドと注意点 |
• チェック項目 リスト |
• ヘッドのタイプと特徴 |
• フローデザイン |
• シャフトのタイプと特徴 |
• 各種スペックのマッチング |
♦ アイアン選びの基礎知識
右図は アイアンの部位の名称と関連用語を簡単に説明したものである。ヘッドは ヒールから トーまでの距離が長く 大きめで ソール幅が広く FP値が小さくて 少し 打面が後ろに下がった 所謂 オフセットのクラブが 俗に言う 初心者向けクラブの特徴である。
かつて、アイアンは ピッチングウェッジから 3番アイアンまでの 8本セットで売られたが、近年は 5番アイアンまでの 6本セットが主流になり、さらに最近では 6番アイアンまでの 5本セットで売られるものも多くなってきた。アイアンで打つのは 160 ヤード位までにし、それ以上の距離であれば ユーティリティーやフェアウェイウッドで打つという考え方で セットのクラブの組み合わせを決める人が多くなったからかも知れない。その結果、4番アイアンまでの 7本セットでさえ 非常に少なくなった。何れにしても、それらのクラブを状況(打ちたいショットの距離や弾道)に応じて使い分けるように作られている。例えば、ピッチングウェッジをフルショットをしたら 120 ヤード、6番アイアンなら 170ヤードといった具合で(その飛距離は 個人の能力によって異なるが)である。
♦ 最近のトレンドと注意点
ゴルフは 最大 14本のクラブを使うことが許されるゲームだから ドライバーで打つ距離 〜 サンドウェッジで打つ距離の間の距離を 11本のクラブでカバーするという考え方で スプーン (3W) とクリーク (5W) そして ギャップウェッジ (GW) をバッグに入れれば 残りは 8本になり、昔は それを全てアイアンでカバーするのが一般的だった。従って、平均的な男性の 5W (ロフト 18° 〜 19° ) の飛距離が 200 ヤードで PW (ロフト 47° 〜 48° ) が 120 ヤードで 1番手が 概ね 10 ヤード刻みになるように 番手毎のロフトが設定された8本セットが売られた。しかし、近年は 7W 〜 11W のような フェアウェイウッド、また、3U 〜 6U のような ユーティリティーを好む人が多くなったため、6本や5本セット(» 参考)が主流になった訳だ。また、よく飛ぶアイアンが好まれる傾向もあり、ロフトが昔のクラブより立っているクラブが多く、さらに、番手間の飛距離差が 15 ヤード刻みに近くなってしまうようなクラブも出現するようになっている。ある意味、それが最近のトレンドだとも言える。従って、アイアンを買う時には そんな観点からも スペック、特に、ロフトをよくチェックする必要性が高くなっている。以下は そんなアイアンのロフトについての理解を深めてもらうための参考例である。
仕様番手 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | P |
JPX 921 Tour | 24° | 27° | 30° | 34° | 38° | 42° | 46° |
JPX 921 Hot Metal | 19° | 22° | 25° | 29° | 34° | 39° | 44° |
まず最初の例は ミズノのアイアンであるが、1例目の JPX 921 Tour は PW = 46° という最近のアイアンとしては 比較的 ロフトが立っていないモデルであるが、番手間のロフト差が好ましい間隔に設定されているものである。これであれば 番手間の飛距離差は 10 ヤード位になる。一方、JPX 921 Hot Metal は PW = 44° という最近では 標準的とも言えるロフトのモデルだが、番手間のロフト差がツアーモデルより 1° 大きくなっている。番手間の飛距離差は 10 ヤード以上になるから あまり好ましいとは言えまい。150ヤード以内のスコアメイクの鍵を握るゾーンこそ 小刻みになっていなければ不利だと考えるのが普通である。
仕様番手 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | P |
X フォージド CB | 20° | 23° | 26° | 29° | 33° | 37° | 41° | 45° |
マーベリック | - | - | 21° | 24° | 27° | 31.5° | 36° | 41° |
エピック F. S. | - | - | 22° | 24° | 26° | 29° | 33° | 38° |
こちらは キャロウェイの各種アイアンの比較で、1例目の X フォージド CB は PW = 45° という最近のアイアンとしては 一般的なロフトのモデルであるが、番手間のロフト差が好ましい間隔に設定されているので その飛距離差は 10 ヤード位になるだろう。一方、マーベリック は PW = 41° というロフトの立っているモデルで サンドウェッジとの間を埋めるクラブが 2〜3本は 欲しくなるだろう。また、番手間のロフト差は CB モデルより ショートアイアンでは 1° 〜 0.5° 大きくなっているので 番手間の飛距離差は 10 ヤード以上になるだろう。他方、非常に疑問なのが エピック F. S. (Forged Star) である。PW と SW の間にどんなクラブを何本入れれば良いのか 悩むことになるだろし、番手間の飛距離も把握し難いものになるだろう。何故こんなロフトの設定にするのか、理解に苦しむものであるが、こうしたアイアンセットも普通に売られていると言うことだ。
♦ チェック項目 リスト
アイアン選びで(ロフトの注意点以外で)重要なことに まずは ヘッドの見た目がある。つまり、構えて 打つことを考えた時に 打ち易そうという 安心感を持てる フェースのクラブを選ぶことが大切だ。その意味では ヘッドの大きさや ソール幅、オフセットの度合い (FP値) などがポイントで 幅広ソールの大き目なヘッドで グースネックのクラブが(誤った常識と言っても過言でないが)初心者には オススメだと言われる。一方、当然ながら、構えた時の見た目だけ良ければ OK と言うものではない。クラブを振った時のシャフトとヘッドの感触や ボールを捉えた時の確り感、イメージ通りの弾道になるかなども 重要なポイントになる。そうした観点から 下のチェックリストに挙げたような ある意味 見た目以外のアイテムについても どんな仕様のものが 自分に合うのかを理解した上で 総合的に判断して 正しいスペックのクラブを選ぶことが重要だ。
項目 | 選択肢 / 注意事項 |
1) ヘッド 種類 | フォージド(鍛造)、キャスト(鋳造)、ハイブリッド、中空 |
2) サイズ・形状 | ヘッドサイズ、トップブレード厚み、ソール幅、重心、オフセット度 |
3) ロフト | トラディショナル 〜 ストロング ロフト PW = 47° ~ 38°まで モデル間の差が大きい |
4) ライ角 | 62° : 37" (長さ) が 標準(市販品は 61° ~ 63° が一般的) |
5) シャフト種類 | スチール(軽量~重量、ステップレス)、カーボン(軽量~重量) |
6) シャフト調子 | 元、元中、中、先中、先、フライテッド |
7) シャフト長さ | #7 = 37"(一番手ごとに 0.5"増減)が 男子標準 |
8) 重量 | 総重量、スイング・ウェート (C9 ~ D2) D0 ~ D1 男子標準 |
9) 価格 | 3万 ~ 15万円が 標準的(4万 ~ 12万円が売れ筋) |
10) ブランド | テーラーメイド、キャロウェイ、タイトリスト、ピン、ダンロップ、ミズノ、ブリヂストン、ヤマハ、プロギア、フォーティーン、本間、他 |
♦ ヘッドのタイプと特徴
フォージドアイアンのヘッドは 刀の製造方法のように 軟鉄を鍛造加工して作るもので 鋳型に溶かした鉄を流し込んで作る キャストアイアンに比べ 手作りで 高級といったイメージがある。また、その形状も マッスルバックに代表される打感重視のデザインのものが多く、ソールの薄い(多くの人にとって 見た目が難しい)上級者向けのクラブとされてきた。しかし、最近では 所謂 キャビティーバックで ソールに多少厚みを持たせた(見た目が易しい)フォージドクラブ、また、ハイブリッドや中空構造のようなクラブでも 鍛造した軟鉄の部品を組み込むことで フォージドアイアンとして売られているものもあるから 一概に そうとばかりは 言えない面もある。
鍛造技術の進化により 比較的複雑な形状の成型があまり手間を掛けずに出来るようになっていることや フォージドアイアンと一言に言っても デザインだけでなく 素材となる鉄の種類や熱処理の履歴などの違いがクラブによってあるから(» 素材のお話)見た目は 勿論のこと 打感のクラブ間の差も大きくなっている。ただ、フォージドアイアンと言えば 俗に言う マッスルバックのクラブで キャビティー バックタイプのものは 邪道だと考える人も少なくない。いずれにしても、基本的に 軟鉄を使ったマッスルバックのフォージドクラブは 柔らかい感触でボールを打てるのが 一番の特徴で 一度その打感に慣れると鋳造のクラブが打てなくなるようなところがある。最初の動画は フォージドアイアンの製造工程の一例である。
一方、上の二つ目のキャストアイアンの製造工程の一例の動画は キャストアイアンのロストワックス精密鋳造について簡単に説明したもので この二つの動画を見れば 二つの製造方法の違いがよく分かるはずだ。鍛造では成型し難い 比較的 複雑な形状のクラブを低コストで製造することが出来るとのが 鋳造の利点である。ソール幅が広く スイートエリアの大きい キャビティーバックで 低重心のクラブの量産に適していた為 より フォーギビングな(芯を外しても 距離のロスが少ない)クラブとして ピン アイ II のヒット以降 長年に亘って 人気を維持している。ただし、キャストアイアンは 必ずしも 初心者向けのクラブと言うことではなく プロ ゴルファーを含む多くの上級者まで キャストアイアン派は少なくなく、非常に ポピュラーなものだと言える。
他方、近年は エキゾチックな成型技術と複数の素材を組合せて作ったクラブが数多く市場に出回るようになっている。例えば、重い金属と 軽い金属、また、樹脂などの素材を組み合わせて ヘッドの重心の位置や打感を改善したもので ハイブリッドと呼ばれるクラブである。また、中空構造など、クラブヘッドの構造に工夫を凝らしたアイアンなど、従来のデザインのクラブに さらに 工夫を凝らしたデザインも多くなっている。ロングアイアンでは これらの中空構造タイプのものが(ユーティリティとしても)良く見られる。さらに、ぺリメター (周辺) への重量配分 (perimeter weighting) の最適化や 重心深度を深くするために より複雑な構造の新タイプのアイアンが数多く見られるようになっている。
なお、最近の傾向としては やさしさと 飛びを追求した結果とも言えようが 1) ピッチングウェッジから 5番 or 6番アイアンまでの 6本 or 5本セット(昔の標準は 3番アイアンまでの 8本セット)で売られるケースが多くなったこと、2) ロフトが立ってきたこと、3) ヘッドサイズの大きなものが増え、重心深度の深いものが増えたこと、4) 軽量スチールシャフトや カーボンシャフトなどが装着された軽量クラブが増えたこと などが挙げられる。ただ、そうした現象が見られたのは 売りやすい(上手でなくとも もっとゴルフが楽しめる的な)クラブだからと言う理由で 必ずしも 誰にでも 良い結果をもたらすものだとは 言えまい。いずれにしても、新しいアイアンセットに買い換える時は 今まで以上に クラブの様々なスペックに配慮する必要性が高まっている。
♦ フローデザイン
ショートアイアンから ロングアイアンまで そのロフトは 勿論のこと、シャフトの長さ、ライ角度、フェースの長さ、高さ、重心距離、バウンス角度など 全てが 所謂 フローデザイン(番手が大きくなるにつれて 少しずつ 角度、長さ、重量などのスペックを調整するという意味)のコンセプトで作られる。下表は タイトリストの各種アイアンセットの異なるモデルのロフト、シャフトの長さ、ライ角度である。
仕様番手 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | P |
T400 | - | - | 20° | 23° | 26° | 29° | 33° | 38° |
T300 | - | 20° | 23° | 26° | 29° | 33° | 38° | 43° |
T200 | - | 21° | 24° | 27° | 30° | 34° | 38° | 43° |
T100S | 19° | 22° | 25° | 28° | 32° | 36° | 40° | 44° |
T100 | 21° | 24° | 27° | 30° | 34° | 38° | 43° | 46° |
620 CB | 21° | 24° | 27° | 31° | 35° | 39° | 43° | 47° |
620 MB | 21° | 24° | 27° | 31° | 35° | 39° | 43° | 47° |
シャフト | 39" | 38.5" | 38" | 37.5" | 37" | 36.5" | 36" | 35.75" |
ライ角 | 60° | 61° | 62° | 62.5° | 63.0° | 63.5° | 64° | 64° |
上表からも分かるように アイアンのシャフトの長さは 1番手ごとに 0.5インチ 変わり、ロフトも 1番手ごとに 3° ~ 4°増減するのが普通である。ただし、最近のクラブのロフトは モデル間の差が大きく ロフトが立っているものが多くなっていて 昔の標準的なクラブに比べ 1番手分以上立った 飛ぶ仕様のアイアンセットが主流になっていて、そうしたクラブでは 番手間のロフト差が多少大き目(4.5° 〜 5.0°)になっていることもある。また、上記モデルの場合は どのモデルもシャフトの長さは 番手ごとに同じであるが クラブによっては 標準より 0.5 ~ 1.0インチ長いシャフトの付いたセットもある。一般的には 7番アイアンのロフトをスペックに表示していることが多いが、それが 32°(3° ストロング)であれば ピッチングウェッジは 43° ~ 44° になっており、サンドウェッジ(通常は 56° ~ 58°)との間に 50° 前後のロフトのギャップウェッジ(アプローチウェッジとも言う)を最低でも 1本 場合によっては 2本入れる必要が出てこよう。(» ギャップ ウェッジの選び方)タイトリストのストロングロフトのモデルの場合は P - W - W2 のように よりロフトの大きなクラブが用意されており、結果的には そうしたものを単品で買うのがベストな選択になるだろう。そうなれば、5本セット + 単品で W と W2 を購入することになり、かなり高額なアイアンセットになってしまうだろう。
なお、ピッチングのロフトが 43°/46° だから 6番アイアン 27°/30° だと考えて ピッチングのロフトだけを見て そのセットのロフトを判断する人も居ようが、ピッチングのロフトが同じ 46° なのに 6番アイアンは 27°になっているというモデルもあれば、それが 30°のモデルもあるので注意が必要だ。中・上級者の人は 番手間のロフト差が大きいものは避け、所謂、正統派のモデルを選択した方が良かろう。
ライ角度も重要で 自分のスイングに ライ角度が合っていなければ インパクトで トー側が浮いてしまうか、ヒール側が浮いてしまうことになり、前者の場合は ヒッカケ、また、後者の場合は プッシュアウトの出るクラブになってしまう。一般的には アドレス時に 少し トーが浮くくらいで ちょうど良くなるが、それは スイング時に シャフトが 少し曲がることで トー側が落ちる「トーダウン」という現象が起きるからである。ただ、ハンドダウンに構える人は トー側が浮くし、その逆の構え方であれば ヒール側が浮く訳だから、アドレス時の状況だけを見て ライ角を判断しても あまり意味のないことである。ライ角が正しいか どうかをチェックするには ソールにテープを張って 実際にボールを打ってみるべきだ。ライ角が合っていなければ、ヒール側 もしくは トー側のテープだけが剥がれるだろう。市販品のほとんどは シャフトの長さが 37" のクラブで ライ角 61°~63° であるが、アップライトなクラブが合っていれば 63°、その逆であれば 61° のクラブを探してみると良いだろう。また、その範囲で マッチしなければ ピンのカスタム・フィッティングのようなものを利用する方法もある。
一方、一般男性用の 5番アイアンの重量は 375g ~ 425g で、軽いクラブと重いクラブでは 最大 50g (+/- 約 7%) もの違いがあるが、クラブの重量は シャフトが 0.5インチ(アイアンの 1番手分)短くなると 7g ほど 重くなるように作られており、仮に 5番アイアンの重量が 410g のアイアンセットであれば 9番アイアンは 410 + 4 x 7g = 438g 前後になるのが普通である。そして、そうしたアイアンセットを使っているとすれば(14g/inch の法則に従って)45インチのドライバーの重量は 410g - (7 x 14g) = 312g 程度にすれば良いとも言われている。(ただし、サンドウェッジに限っては 少し重めに設定するのが普通。)
クラブの重量に関しては 総重量に加えて、その目安になるものに スイングウェイト(スイングバランス または 単に バランスとも呼ばれる)があるが、そうしたスペックについても 注意を払う必要がある。重量のバランスを示す尺度で ヘッドの方に重量(配分)が偏っていれば スイングウェイトの重いクラブになる。通常のアイアンセットは どのクラブも そのスイングウェイトが同じになるように作られている。昔から D0 のクラブが 平均的男子ゴルファー向けで(女子は C0 ~ C5)、D2 のクラブは 上級者用といった見方が定着しているが 今でも 多くの場合 その考え方で アイアンセットは 作られている。 » 詳細
俗に言う、初級、中級者向けの易しいアイアンは ソール幅が広く、低重心、重量は 軽めで FP値の小さなものだ。FP値とは Face Progression と言う概念に関係するゴルフ用語で シャフトの中心線から フェースのリーディングエッジまでの距離のこと。所謂、オフセット (Offset) のクラブは (グースネックとも言う) その値が小さく(右の例で FP は 0 に近い)フェース面が 少し後ろに引っ込むから(微妙にボールに当たるタイミングが遅れる感じで)ボールを捕まえ易くなる理屈で 初級、中級者向けのアイアンには そうした オフセットのクラブが少なくない。上級者向けのものは それだと 逆に 引っ掛け易いクラブになってしまうので オフセットでないもの そして ソールが薄めで 重心が高く 重めのクラブが多い。
♦ シャフトのタイプと特徴
以上のように、新しいヘッド デザインで ストロング ロフトといった具合に アイアンのヘッドは ある意味 進化してきたが、同時に、シャフトも それに合わせるように進化してきた。カーボンシャフトや軽量スチールシャフトの台頭である。かつてのスチール シャフトは 重く 手元調子のものが多く、そうしたシャフトが装着されたアイアンが殆どであったが 最近は 軽量で先調子のシャフトの付いたアイアン、また、中間的なスペックのアイアンも数多く出回っており 選択肢は広がっている。 » アイアン用 スチール シャフトの詳細
軽く、先調子のシャフトを使えば 当然 高弾道のボールが打てる訳で それを嫌う上級者は多いが アイアンでボールが思うように上がらない初級、中級者にとっては 渡りに船のスペックのはずだ。ストロング ロフトのアイアンであれば 尚更である。例えば、9番アイアンでも あまりボールが上がらないと悩んでいるのであれば 軽量で 先調子のシャフトに ヘッドは ソールが厚めの低(深)重心のアイアンがベストマッチになる可能性が高い。しかし、ダウンブローのスイング軌道で 確り ボールを捕らえて打てる人が そうしたクラブを使うと ボールが吹き上がって コントロールし難いクラブになるだろうから 誰にでもオススメのクラブと言う訳ではない。
♦ 各種スペックのマッチング
アイアンも 自分に最適なクラブを使えは ワンランク上のパフォーマンスも夢ではないだろうが、逆に 間違って 自分のスイングに不向きなクラブを使った場合は 酷い結果になる可能性も高くなっている。そこで 考えなければならないのが クラブの重さ 即ち 総重量とスイングウェート(C9、D2 などと表記されるクラブのバランス » 詳細)そして、シャフトの硬さ(フレックスと トルク)及び、調子(キックポイント)さらに、シャフトとヘッドの組み合わせである。どのようなスペックのアイアンセットが自分に合っているのかを判断するには そうした観点から クラブのスペックを総合的に 注意深く 見る必要がある。
超軽量のアイアンセットまで、最近は 様々なスペックのクラブが出回っているので 昔以上に 注意する必要がある。初心者用 または やさしいアイアンと言われるクラブには ボールが上がり易い低重心で軽量のクラブが多いが、確りした スイングが身に付いた人には ヘッドもシャフトも ボールが上がるように作られたクラブだから 使い勝っての悪いクラブになる。ボールが吹け上がるクラブになる可能性が高いからだ。勿論、初心者にとっても(若くて 体力のある人は 特に)そうしたクラブが 必ずしも ベストではないので 注意して欲しい。初心者でも ある程度 体力に自身のある人は 手打ちを助長するような 軽くて 先調子のシャフトが付いたアイアン セットは避け、出来る限り、確り目のスチールシャフトのアイアンを選んだ方が良いだろう。自分のスイング、体力を考えて 無理なく振り切れる範囲で 重めのクラブを選択すべきである。
他方、中・上級者の人は 自分が現在使っているアイアンで打ったボールがどのような弾道で どの位の距離が出るのか という点に注目してみよう。今より 高弾道のボールで飛ばしたいと思うのであれば、シャフトを軽めか、その調子を 中 もしくは 先調子に変える、または、重心深度の深いクラブにすることを考えてみても良いだろう。逆に、弾道を もう少し低く抑えたいと考えるのであれば、重めで 手元調子のシャフト、また、高重心のフォージド アイアンといった方向を考えてみても良かろう。最近のクラブは スチールシャフトでも 重量、調子、硬さなどで様々なスペックのものがあるから その辺りも 良く研究してみる価値があるだろう。 » アイアン用 スチール シャフトの詳細
自分の使い易いドライバーの重量から 前述の 14g/inch の法則で、自分のアイアンセットが重過ぎるのか どうかを 考えてみることも(その逆も)一案だ。歳をとって 力が落ちたから軽いクラブに変えようという発想は 必ずしも 悪くないと思うが(クラブは 重いから飛ぶという一面もあり)アイアン セットの重量だけを急激に落としても 良い結果が出る可能性は 必ずしも 高くないから その点は 十分注意しよう。
最後になったが、初級、中級の人の中には「やさしいクラブ」とか「飛ぶアイアン」いう売り文句に飛びつく人も居ると思うが、やさしさや 飛ばすことばかりを追求したあまり 行き過ぎた デザインになっているクラブもあるので 注意して欲しい。当然、そうしたクラブを買っても ゴルフが上手くなるとは思えないし 楽しさが増すとも思えない。一部の上級者向けクラブを除けば、最近のアイアンは 十分 やさしく作られているので 如何に やさしいかではなく、如何に 自分の体力やスイングのタイプに合ったクラブかという点に着目したクラブ選びをすべきである。今は ターフを取れなくとも 練習次第で ターフの取れるスイングは 案外 身に付くものである。そんなことも 頭に入れて ゴルフの上達を促してくれるデザインのアイアンという側面にも配慮したアイアン選びをしてみては 如何だろうか。