ペナルティーエリア / ジェネラルエリア
♦ ペナルティーエリア (penalty area)
まず、過去に ウォーターハザード (water hazard) と呼ばれたもの 即ち コース内にある 池や小川など 水のある場所と その周辺のエリアは ペナルティーエリアになり 同時に スルー ザ グリーン (through the green) と呼んでいたエリアは (詳細後述) ジェネラル エリアと呼び名が変わった。後者は 単に 呼び名を分かり易いものにするための変更だが ペナルティーエリアに関しては 少し状況が異なる。新ルールの下で ペナルティーエリア (以下 P/A) は 原則 赤杭と赤線で示されるが 境界線が黄色杭と黄色いラインで示されることもあり、前者は レッド ペナルティーエリア、後者は イエロー ペナルティーエリア となる。但し、P/A は 黄色杭にする特別な理由がある場所以外は 赤に指定するように推奨されているから P/A の多くは 赤杭と赤線で示される。両者の違いは 旧ルールの 赤杭 即ち "ラテラル" の概念に基づく違いであるが (» 詳細) どちらのエリアも そこにボールが入った場合は 規則に従って 1打罰で救済を受けられるものの どのような救済が受けられるか つまり その救済の選択肢が赤と黄色で異なる。
2019年のルール改定後、レッド P/A の救済は ボールが その境界線を横切って ゾーンに入ったポイント (以下 R) から 2 クラブレングス内のホールに近付かないエリアに 膝の高さから ボールをドロップするか R と ピンを結んだ後方線上から プレーをすることが出来ると変更された。但し、当該ルールでは ドロップしたボールは ドロップが許されるエリア (それを 救済エリアと言う) 内に止まらなければ 再ドロップが 必要になり 二度 ドロップした結果 救済エリア内にボールが止まらない場合は 今までのルールと同じで 二度目のドロップで ボールが落ちた所に ボールをプレースすることになった。
なお、2019年のルール改定後には 後方線上からのプレーの場合 ボールは プレーヤーが ここと決めた救済の基点から 1 クラブレングスの救済エリア内であれば 後方線上でない所に球をドロップすることが出来たが、2023年のルール改定で ボールは後方線上にドロップされなければならないと変更された。
また、新ルールでも 選択肢の一つとして PA の中にあるボールは 旧ルールでハザード内のボールをプレーすることが許されたように プレー出来るが そうした場合の様々な規制も変更された。P/A 内でプレーをするに際しては 以下の動画 (英語) で説明されているように ソールをすること また ルースインペディメントを取り除くことなどが許されるようになった。さらに、前述の様に 救済に際してのボールドロップに関するルールも大幅に変更された。» 詳細
新ルールの下で 競技委員は 前述のジェネラルエリアとグリーン 及び バンカー を除くエリアは OB とするか P/A に 指定することになるが ウォーターハザードの概念にとらわれることなく プレーすることが危険なエリアやボール探しに時間がかかることが予想されるようなエリアは レッド P/A に指定されることになる。
♦ ジェネラルエリア (general area)
旧ルールに於いて スルー ザ グリーン (through the green) とは a) プレー中のホールのティーイング グラウンドとパッティング グリーン b) コース内のすべてのハザード を除いた コース内のすべての場所であると定義されていた。新ルールでは ウォーターハザードという言葉はなくなり ジェネラエリア (general area) とは a) コース内のティーインググラウンドとパッティンググリーン b) コース内のペナルティーエリアとバンカーを除いた すべての場所と定義されている。つまり、ローカルルールの説明では スルー ザ グリーン 6 インチプレースありなどと言ったものが 2019年以降は ジェネラルエリアは 6インチプレースあり のように説明するようになった。
ところで、新ルールでは 他にも変更になったり 新たに加えられたゴルフ用語が 幾つかあるので ここで紹介しておこう 。まず、救済に関しては 救済の基点 (reference point of relief) と救済エリア (relief area) という概念が採用され 新用語として加えられた。また、異常なコース状態 (abnormal course condition) は 旧ルールでは 異常なグラウンド状態 (abnormal ground condition) と呼ばれていた。そして、その一つである 雨の後などに一時的にできる水溜りは カジュアルウォーター (casual water) と言っていたが 新ルールでは テンポラリーウォーター (temporary water) になった。また、前述の外的影響 (outside influence) は 旧ルールでは 局外者 (outside agency) と言っていたものである。
♦ 新ルールに係わる付帯説明
2017年 3月 1日に R&A と USGA は 規則の近代化を目的に 2019年新規則の案を発表したが R&A と USGA は その案を基に 世界中のゴルファーからの意見を集め 最終的に 新ルールを完成させ 2018年の 3月に その内容を発表した。その過程で ボールドロップの方法の変更に関しては 以下の通り 最初の案である どんな高さからでも OK という方法から 膝 (knee) の高さから行う案に変更された経緯がある。
以上のように ドロップ後にボールが規定のエリアから出てしまう場合も 旧・新ルールでは 違いがある。新ルールでは 救済エリア外からのプレーは 原則許されない(旧ルールでは 2 クラブレングスまで OK)。JGAでも 新規則の日本語版を作成しているので 興味のある方は そちらを参照下さい。» 日本語版ルール|PDF