ゴルフルールの解釈

Introduction

2019年のゴルフルールの大改定で 変更になった新ルールについては 既に 多くのゴルファーにかなり浸透したように思われる。一方、この度の改定は 規則の近代化という概念の下に その変更点が多数に及んだだけでなく 規則の構成にまで 及んだことに気づいている人は 少ないのではないだろうか。実は 34 の規則 (sections) と付属規則から構成された旧ルールは 新ルールになって 24 の規則にまとめられ 別途 あった裁定集 (decisions) がなくなった。その結果、ゴルフ規則の中に 旧ルールの裁定集でなされた説明の一部が取り込まれ、ゴルフ規則解釈 (interpretations) という形で 旧ルールでは 裁定集の中で説明されたような性格の説明がなされるようになった。そうした形で ゴルフルールは より分かり易いものになった訳だが それでもルールの解釈には 依然 グレーな部分が残るっていると言わざるを得ない。

ルールの適用

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法律同様、ゴルフルールにおいても 現実に発生する全ての事態を想定して細かくルールを記述することは不可能だから その文言も ある程度 抽象的なものにならざるを得ない。そこで、具体的な事象にルールブックの記述に則ったルールを適用しようとしても 判断し難い状況に遭遇することがある。そこで、それぞれの規則の持つ意味と内容をより明確にするために ルールの適用例という形で 規則裁定集と呼ばれるものがあったが、新ルールでは その裁定集の中でなされた説明の一部を 規則本文の中に取り込み 残る説明をゴルフ規則解釈に掲載する形式へと変更した。その解釈は 英語のルールブックには interpretations として記載されているが 法律で言うところの判例集に近いものである。

一方、ルールで細かく詳細を規定し、解釈(裁定集)で補足しても 法律同様 実際のプレー中に起きる事象にルールを適用する時には その事象と該当すると思われるルール、及び、その解釈(裁定)との間に ルール適用にあたっての合理性や必然性を説明する必要が生じる場合があり 本当の意味での ルール解釈の問題が生じることがある。

ルールの解釈

言うまでもなく、どのようなケースにせよ ルールを適用するに際しては プレーヤーがその置かれた状況をルールで定義されている用語や条件に従って 解釈、判断する というプロセスが介在する。旧ルールでは、例えば、ボールが自分のピッチマークに入っている場合 (embedded ball) は 芝がフェアウェイ並に短く刈られている所 (any closely mown area through the green) であれば 救済が受けられると その条件となるもの自体に判断し難いものがあった。しかし、新ルールでは ジェネラルエリア (general area) にあるボールが その対象になると変更されて 当該ルールは 判断し易いものになった。同様に、多くのルールからそれぞれのルールを適用するに当たっての基準となる条件を分かり易くするような改定がなされた。とは言え、判断の基準となる条件に 疑義が生じることを完全に排除することはできない。卑近な例で言えば、テンポラリーウォーター(旧 カジュアルウォータ)の救済の条件などがある。ルールブックに「 一時的な水」として次のように定義されている。次の条件を満たす地表面に一時的に溜まった水 (例えば、雨や散水による水溜まり、水域から溢れた水): • ペナルティーエリアにはないもの。そして • プレーヤーがスタンスをとる前やスタンスをとった後に見えている (プレーヤーの足で過度に踏み込まずに)。単に地面が濡れている、ぬかるんでいる、軟らかい、または プレーヤーが地面に立ったときに水が瞬間的に見える、というだけではこの条件を満たさない; 水溜まりはスタンスをとる前と後のいずれかに存在していなければならない。

つまり、スタンスを取ったら水が染み出すくらいぬかるんでいれば テンポラリーウォーターの救済(» 詳細)になり得るが、普通に スタンスを取った状態で水が染み出してくるか、過度に踏み込んでいないか などを判断するプロセスがあり その解釈と判断次第で まったく異なった状況が生まれる訳だ。さらに、スタンスがテンポラリーウォーターにかかる場合についても その境がはっきりしない場合もある。加えて、スタンスの取り方は ボールの打ち方によっても異なって来る。ドライバーを持てば スタンスが それにかかるというケースもあるだろう。しかし、そんなショットを普通の状況でしなければ その時にだけ そうしたショットをするだろうという想定でのルールの解釈は 妥当(reasonable) ではなく、公正の理念 (in equity) からも許されるルールの解釈にはならない。しかし、木の下を狙って距離のあるショットを打つ時にドライバーを使う選手は少なくなく、そんな状況であれば(どうするか迷うようなケースも含め)スタンスをドライバーを使って打つショットをベースに救済措置を受けることが妥当なケースも起きるだろう。ボールがブッシュの近くに行った時に 明らかに不合理なスタンス、クラブ、プレーの方向によって 前述の救済を受けることは出来ないが、左利きで打つ選手も居るから、そうして取ったスタンスがテンポラリーウォーターにかかったとすれば これも救済されても良いことになるはずだ。(» 詳細

公正の理念

このようなプレーの妥当性、公正性に係わる解釈とルールの適用だけを考えても 判断にグレーな要素が含まれてくるケースは 幾らでも出てくるから ルールの解釈については こうすべき という回答を全て明文化する訳には行かないのが実態だ。競技では 公正の理念、また、スポーツマン精神に則って フェアーにレフリーに判断を委ねることが基本だが ルールの知識が不足していることによって 不必要にそうした裁定を仰ぐことが多発しないよう ルールの知識を身につけておきたいものである。

ゴルフルールの解釈においては 法廷で相対する弁護士が その法律の解釈を論じるようなことにはならない訳だが、スポーツマン精神に則って フェアーに ルールを自分の味方に付けてプレー出来るか否かが ある意味 そのゴルファーの能力の一つになると言うことを覚えておいて欲しい。普段から、ルールに則ったプレーに努め、ルールの正しい適用と言う問題意識を持つ。それが、ルールの知識を身に付けるためには必要不可欠である。ルールに対する知識の欠如は ゴルファーとしては 不名誉なことだという認識を持つことが ルールを正しく守れるゴルファーになるためのファーストステップと言うことだろう。

とは言え、友人との握りなどでは 自分に厳しくルールのグレーな部分を解釈してプレーをすることが 気持ち良くプレーするための知恵であり 基本だということも(ルールを熟知すれば グレーな部分は少なくなる訳だが)覚えておいて欲しい。

note"equity" という言葉と概念は 法律用語としても良く使われるもので この言葉について 蛇足ながら 少し付け加えておこう。法律に詳しい人には 釈迦に説法だろうが "remedies available at law or in equity" という記述が法律の世界では 度々引用される。これは「法律 もしくは 公正の理念 で得られる救済」と訳されるが、法による救済が出来なければ 公正の理念に基づく救済がなされるべきだと言うニュアンスのフレーズだと思う。つまり、もともと法律やルールは "justice" や "fairness" に基づいた裁きを行うための決めごとだから その解釈において公正でなければならない訳だ。しかし、規則解釈(裁定集)には その公正の理念に照らし合わせて 如何なものかと思われる内容の解釈や裁定が少なからずあるのが事実である。ゴルフの救済や罰則には 一般人の公正性の感覚からは(例えば、スパイクマークに係わるルールなど)理解し難いものが幾つもあった。そうしたものを少なくした新ルールは 評価できるものであろうが それでも 今回の改定で全てが解消された訳ではない。

一方、投資の世界では "equity investment" とか "return on equity (ROE)" というように この言葉が使われる。前者は 株式という意味で使われたケースであるが、純資産という言葉の意味が先にあり、その言葉を株 (stock) という意味で使うようになったのである。株式のようなリスクを含んだ投資は 純資産 "equity" ですべきだと言うことであったはずだが ... 。話が脱線し過ぎたが、ビジネス英語に関心のある方は "ビジネス英語豆辞典" も活用下さい。英語のビジネス・経済情報ソースも オススメ。

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