球が木の上に止まった時|ルール解説
♦ ロスト or アンプレヤブル
アンプレヤブルの球としての処置が出来れば 殆どの場合 元に戻って打ち直すよりも 1 打罰とは言え有利な訳だから、まずは、自分の球がそこにあることを確認する努力をすることが先決である。球が見えなければ ロストボールになるが 見える場合は それが 自分のボールであることを確認する必要がある。ただ 単に 木の下から見て カラーボールの色が同じというような確認では 不十分で、確認用の識別マークがはっきり見えるなどのレベルの確認が出来なければ それを自分の球として アンプレヤブルの処置をすることは 許されない。
このように 木の上にあることは ほぼ確実だが 自分の球が見えない または 見えても 自分の球かどうか確認出来ない場合は そこに球があることがどんなに確かでも ルール上は ロストボールである。つまり、ストロークと距離に基づく処置、即ち、1 打罰で元の位置から打ち直しになる。なお、2019年からの新ルールでは 前進 2 打罰が公式ルールが認めるローカルルールになったので 一般のコンペなどでは そうしたルールの下にプレー出来るケースもあるだろう。また、そうしたローカルルールの下に 行ったラウンドのスコアは 公式ハンデの計算にも使用できる。
ただし、前進 2 打罰の正しい方法は 2 打罰の下に 球を紛失したり、アウトオブバウンズとなった場所に最も近いフェアウエイ区域 (エッジから 2 クラブレングス内) を含む 右のような救済エリア内に 球をドロップすることが出来るというルールに従って処置をする必要がある。特設ティに ティーアップのような方法は 認められる救済の選択肢としては 不適切なものである。
♦ 事前のアンプレヤブル宣言
一方、木の上に球があるが自分のものであることが確認できないが 球を何とか下に落とせると思った時は そうすることで確認することが許される。以前は アンプレヤブルの宣言をしてから それをする必要があったが 今のルールでは そうしたことをマーカーや同伴競技者に対して行う必要はない。アンプレヤブルの宣言を怠って 球を木の下に落とした場合は ボールを動かしてしまったことに対する 1打罰が科されたが プレーファーストのためのルール改定の一環として そうしたことの必要がなくなった訳だ。
♦ アンプレヤブルの処置
アンプレヤブルの処置が許される確認が出来た場合は 右図の様に ① 木の上の球があった場所の真下と考えられるポイントを救済の基点にして 2 クラブレングス以内の救済エリアに 1 打罰で球をドロップしてプレーをするか、② ボールがあった場所の真下と考えられるポイントとピンを結んだラインの後方延長線上に救済の基点を決め そこからピンに近づかない 1 クラブレングス以内の救済エリア内に球をドロップし、1 打罰でプレーすることが出来るという選択肢が与えられる。言うまでもなく ③ ストロークと距離に基づく処置、即ち、元に戻って打ち直しの選択肢は このケースに限らず 常にある。この処置に係わる更なる詳細は アンプレヤブルの球(ルール解説) を参照で。
♦ 木の上の球を打つ時
一方、木の上の球をクラブで打つことは 勿論 出来るがボールを打つ前 または 球を打つ意図がない状態で 枝をクラブで叩いたりして球を落とした場合は 球を打つ行為でない動作によって球を動かした訳だから 1 打罰を科される可能性が高い。また、その場合は 球を元あった場所にリプレースして プレーし直さなければならず、それをしないで プレーを続行した場合は 誤所からのプレーの 2 打罰が科される。(一連の出来事で 2 つの違反が起きた場合は 大きな罰則の違反へのペナルティのみが科され、両方のペナルティが科されることはない。従って、合計 3 打罰にはならない。)そうしたリスクを回避するために アンプレヤブル宣言をして 木に登り その後に 宣言を撤回して プレーをするという方法を取るのも一案であろう。
なお、木の上にある枯葉や小枝など、木に生えていない状態のものは ルースインペディメントとして取り除くことが出来るが、枝に生えている葉や折れて垂れ下がっている小枝などでショットに影響を及ぼすようなものを取り除いたり プラクティス スイングで落としたりした場合は ライの改善になり 2 打罰が科されるので その点も併せて注意が必要だ。
さらに、木の上の球を打つ時に 犯し易いルール違反のケースには ビリヤードのような変則的な打ち方で球を落とすことがある。そうした球の打ち方は 球を押す (push) 行為と判断されるから、マッチプレーでは そのホールの負け、ストロークプレーでは 2 打罰が科され その後は その球を続けてプレーすることになる。なお、左打ちなどで クラブヘッドの裏を使って球を打つ行為は 押す行為などの違反をしなければ ルール違反にはならない。