正しいボディーターンのメカニズム
ボディーターンの慣性モーメントについては 以前にも書いているが そこでは 限られた力で体を早く回転させようとすれば 体の回転に係わる慣性モーメントを小さくすることが必要で 重心を背骨(回転軸)に極力近いところにキープしながら回転する必要がある。そして、そのように スイングすることが効率良くヘッドスピードを上げるための鍵だと解説した。つまり、正しいボディーターンのメカニズムを論じる時、回転軸を安定させ、不必要な慣性モーメントを排除することが まず初めに考えなければならないことである。
もう一度レビューすると、慣性モーメントとは 回転運動において回転運動体が回転を始める、もしくは、回転を止めるのに必要な力の量を示したもので、その大きさは 回転運動体の重さとその回転運動の中心からの距離の二乗に比例し、その量を数字で表すと となる。 従って、重心が回転軸から離れれば離れるほど 慣性モーメントは大きくなるので 体を早く回転させることは 難しくなる訳だ。
一方、効率の良いスイングと正しいボディーターンのメカニズムを考える時、ダウンスイングから、インパクト、そして、フォロースルーのポジションまでの腰がスライドする動きとその回転運動、及び、上半身の重心の動きと肩の回し方に注目する必要がある。
通常、効率の良いスイングでは、ダウンスイングで腰が少し左にスライドしながら回転し、背骨が若干右に傾くような形で上半身と下半身の間にねじれが生じながらクラブが落ちてくるという形になる訳だ。そして、左足に体重が移動しながらも上半身の重心の位置はインパクトまで動かないというのが正しいスイングのメカニクスで、別の言い方をすれば、ダウンスイングの 9時のポジションで 左足に 60 - 70% の体重を移動させ 背骨を傾けて上半身の重心を動かさない(下半身に対して右側に残す)ようにすると言うことである。
また、上半身、特に肩の回転においては、バックスイングで左肩だけを 回そうとするのではなく、左右の肩を均等に回すように努めると同時に、回転軸に対して肩が直角にプロペラのように回転すれば 上半身がバランス良く回転することになる。そして、ダウンスイングでは クラブを手と腕でインサイドに落とそうとするのではなく、回転軸と肩の回転する面の関係が変わらないように、即ち、肩が波打つように回転しないようにすることで、クラブを自然とインサイドから上手く振ることが出来るはずである。 (詳細) ダウンスイングでは 腰がターゲット方向に少しスライドする中で 頭を残すような形にして 回転軸を 少し右に傾け、右肩も応分に下がるようにして(それ以上 下げるのは逆効果だが)腕をゆっくり落としてくれば、(1) 体の回転運動と (2) リストが リリースすることで放出されるエネルギー の両者を 最も効率良く クラブヘッドのスピードを上げるために使うことが出来るはずだ。
なお、クラブヘッドの正しい加速のメカニズムは 2レバーシステムでも説明しているように、腕の動きが減速することによって生じる遠心力とコックのリリースを利用したスイングであり、そのメカニズムでは、クラブヘッドのリリースに伴ったカウンターバランスが必要であり、そのためにも、右サイドにそれに必要な体重を残しておくことが必要になってくるだろう。
いずれにしても、前述のとおり、効率の良いゴルフスイングとボディーターンのメカニズムに対する正しい理解は バランスの良いスイングで力強いボールを打つためには 欠かせないものだから、じっくり研究して欲しいテーマである。