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ボールの進化|ゴルフの歴史

Introduction
羽毛を皮で包んだボールゴルフの隆盛が ゴルフに係わる様々な技術革新の影響を大きく受けたことは 言うまでもないが、中でも、ゴルフボールの製造技術の進歩と品質の向上は ゲームの面白さを倍増させた。プレーヤーの技術の優劣が 勝負の結果を左右する - そんな面白さが 用具の品質向上によって より明確になったのである。

初期のゴルフボール

その昔、木製のボールが使われた時代もあったようだが、その後 暫くの間 ゴルフは 上のイラストのような 羽毛を皮で包んだ 手作りの ゴルフボールで プレーされていた。どちらのボールも 当然のことながら その性能と品質に バラつきが大きく、信頼できるボールとは とても言えないものだった。そんな ゴルフボールが進化する過程で 最初のブレークスルーがあったのは 1848年のことである。ガッタ(Gatta または Gutti Percha)ボールの出現だ。羽毛を皮で包んだ手作りのゴルフボールに比べ この量産可能な ゴルフボールは より均一な品質で ボール間の性能のバラつきを小さなものにした。初めは スムースな表面のボールだったが 後に キズを付けることで より飛ぶことが判明し、表面をメッシュ状にしたものや 小さな いぼいぼ状の突起が付いたものなどが普及した。ガッタボールは 水に浮き その重さも 現在のボールより 少し軽いものだったが、この出現が 初期のゴルフの発展に 大きく寄与した。

糸巻きボールの出現

Vardon Flyer
1900年の全米オープンに優勝した ハリー・バードン (Harry Vardon) が そのトーナメントで使用したのは まだ 右のようなボールだったが、これが ある意味 最後期のガッタボールであった。それは この後 直ぐに 糸状のゴムを巻いたコアに ガッタパルチャのカバーを付けた ゴルフボール (Haskell rubber-core ball) に取って代わられたからだ。このボールの出現によって 飛距離は 20ヤード伸びたと言われているが、さらに、1904年には 最初のバラタ・カバーの糸巻きボールが出現した。現在のボールのような 小さな窪み(ディンプル)が 表面に付けられたのは 1905年のハスケル (Haskell) の ゴルフボールが 最初だったと言われているが、1930年までに ゴルフボールの表面には ディンプルがあるのが標準になったようだ。より良い ゴルフボールを求めて 同時に 様々な試みがなされたが、中には 圧縮空気を入れた ゴルフボールが発売されたりもした。ただし、しばしば 破裂してしまうことがあったようで 直ぐに姿を消した。比較的 最近まで 製造されていた リキッドコアの糸巻きボールの原型とも言える 液体が コアに注入されたボールが 最初に製造されたのは 1917年のことである。この様に、この頃は 新しい技術を使った より高性能なゴルフボールが 次々と出現するようになっていったが、実は ゴルフボールの仕様や性能に係わるルール上の規格と言えるものは 一切 存在しなかった。

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ゴルフボールの規格

以上のような状況下、ゴルフボールの仕様や性能を統一しようと言う動きが活発になり、その規格が 1920年に 初めて 全英ゴルフ協会 (R&A) によって導入された。その時に 大きさは 直径 1.62" (4.115 cm) 以上で、重さを 1.62 oz (45.93 g) 以下にすること と決められた。その後、アメリカの USGA も 規格を設けることになるが(詳細後述)1990年に R&A が大きさに係わる規格を 現在の直径 1.68" に変更し 以下の規格が 万国共通のスタンダードになった。

ゴルフボール 所謂 公認球は その大きさが 直径 1.68" (42.67mm) 以上、重量は 1.62 oz (45.93g) 以下 でなければならないと 今日の規則では 定めている。通常、ボールの表面には 小さな ディンプルが幾つもあるが、それは ボールが遠くに飛ぶように、また、安定した飛びを実現させるために付けられているものである。ディンプルについては 規則が 何かを規定している訳ではなく、ボールごとに異なり、その数は 300~500 個が 一般的である。規則では しかしながら ボールを 規則で定められた条件下で 打った時に その初速と標準総合距離(キャリーとロールを合わせた飛距離)が 一定の基準値を超えてはならないとも定めている。従って、極端に 飛ぶボールは 公認球としては 認められないようになっている。» ゴルフボール(現代版)

一方、日本に ゴルフコースが出来たのは それから さほど月日の経っていない 1901年で、神戸の六甲に 4ホールのコースが オープンし、それが 1903年には 9ホールのコースとなり、同時に 日本初のゴルフクラブ「神戸ゴルフ倶楽部」 が結成された。

スモールボール

スモールボールで プレーした経験をお持ちの方も居るだろうが、一時期、アメリカ (USGA) と イギリス (R&A) のボールの規格が異なった時期があり イギリスのルールで許された 少し小さ目なボール、即ち、スモールボールが 日本でも 流通し 使われていた。前述のように ゴルフボールの大きさや重さに関する最初の規格は 1920年 全英ゴルフ協会 (R&A) によって導入されたが、一方で アメリカの USGA も 1930年に ボールの規格を 同様に導入した。ただ、その規格は 当初 イギリスと異なる 直径 1.68" (4.267 cm) 以上、重さ 1.55 oz (43.94g) 以下とし、その二年後の 1932年に 重さに関する規格を R&A と同じ 1.62 oz に変更した。しかし、大きさに関する規格は 統一されなかったため、R&A 規格のボールと USGA 規格のボールの大きさが異なると言う時期が かなり長期間に亘り続いたのだ。結局、その後 R&A は 1974年の全英オープンから スモールボールの使用を ローカルルールで禁止し、遂には 1990年に その大きさを USGA の規格に合わせる変更をしたため ゴルフボールの大きさは 統一されたのである。

この間 R&A 規格の小さいボールが 日本でも 使われたが、当時、R&A 規格のボールは スモールボール、USGA 規格のボールは ラージボールと呼ばれていた。スモール・ボールは その径が 今のボールの 96.4% だが、体積にすると 93.0% しかなく、実際に プレーをしてみると かなり 小さく感じるものである。パフォーマンス的には 飛距離が出るし 風にも強いと言うことで 1974年以前の全英オープンでは アメリカ人の 二クラウスや パーマーも スモールボールを使用したそうだ。

最近の技術革新

ゴルフボールの製造は B.F. Goodrich や Dunlop のような タイヤメーカーが積極的に手掛け、前述のように、そのコアやカバーの素材や構造の改良などを進めた。一方、1967年には スポルディング社 (Spalding) が ツーピースボールを製造するために必要な関連特許を取得、研究に着手し、ツーピース・ボールの開発と製造に成功した。ほぼ 時を同じくして デュポン社 (Du Pont) は 新しい樹脂、イオノマー(商品名:サーリン / Surlyn)の開発に成功するが、耐久性に優れる この樹脂は その後 ツーピースのボールのカバー材料として 広く用いられるようになった。現在、ゴルファーに 最も良く使われているのが この安価で 耐久性に優れる イオノマーカバーのツーピースボールで、その数量ベースのマーケットシェアーは ゴルフボール全体の 約70% に及ぶと言われている。

このように ツーピース・ボールが台頭したが、2000年頃まで 一部の上級者とプロゴルファーに使用されていたのが バラタカバー(リキッドコア)の糸巻きボールである。耐久性は 勿論のこと 価格も高く、飛距離でも劣っていた バラタボールを 上級者が好んで使用した理由は 何と言っても そのスピン性能と ショートゲームに要求される タッチを出し易い 打感であった。サーリンカバーの 硬い ツーピースボールにはない 特性であり、性能である。

この辺りの話からは ご存知の方が多くなると思うが 2000年代に入ると ウレタンカバーで 多層構造(ソリッドコア)という 飛距離にも スピン性能にも 優れる 右図のようなボールが出現し、飛距離性能と耐久性に劣るバラタ・カバーの糸巻きボールは 完全に姿を消した。実は 1993年~2003年の 10年間に ツアープロの ドライバー飛距離は 30ヤード近く伸びている。その最大の要因は クラブの進化もあろうが ボールの進化にある。1993年は まだ バラタカバーの糸巻きボールの全盛期だが 2003年には Titleist Pro V1 に代表される ウレタンカバーで 多層構造タイプのボールを ほぼ 全てのツアープロが使用するようになっていた。(参考)

一方、近年、注目されている技術革新は 超高反発のソフトコア技術を採用したボールの開発であろう。ツーピースでも 飛距離、スピン性能の両方に優れたボールの出現が望まれるのは 言うまでもない。そうした中、現在は 多種多様な ゴルフボールが市場に 出回っている。例えば、インターネット ゴルフショップ最大手の GDO ゴルフショップ で売られているボールの数を見てみると 2016年 10月現在で 350 アイテムもある。勿論、GDO で市場に出回っているボールの殆どが販売されている訳でもないから 本当に 沢山の種類のボールがあるということだ。

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