雨の日のゴルフ|準備とプレーの仕方
♦ 雨のゴルフになる確率
雨になる確率は 季節により また 地域により異なるが、雨が降ったと認識される 日降水量 1mm 以上の日は 日本では 概ね 年に 100日程度あるのが普通で その内 日降水量 10mm 以上の日が 40日程度、30mm 以上の日は 10日位になる。一方、日降水量が 3mm 未満は 弱い雨、10mm 〜 20mm がやや強い雨、さらに 20mm 〜 30mm が強い雨と定義されている。つまり、日降水量 10mm 以上の日は ゴルフを中止するとしても それ以下の降水量で 1mm 以上の降水量という雨の日が 年間 ほぼ 60日あり そうした 所謂 小雨以上の雨の中で ゴルフをすることは 少なくない訳だ。一般的には 5回 〜 6回に 1回は そんな雨の日のゴルフになると言うことである。そんな感じが 日本では 一般的ということだが 雨の多い県は 高知、鹿児島、宮崎、雨の少ない県は 長野、岡山、山梨で、降水量で比べると 多い県は少ない県の3倍前後の降水量があるようだ。
♦ 雨の日の準備
まず、雨の日に準備すべきアイテムは レインウェア、防水性の高いシューズ、グローブ(できれば 雨用)、タオル(複数)、傘(ゴルフ場に 用意されていなければ)である。天気予報で 雨の可能性がある時も 同様の準備をしておくことだ。スタート時には 降っていなくとも 途中で 急に降り出すことは 良くあることなので 雨具は キャディーバッグの中に(車やロッカーの中ではなく)必ず入れること。日本では 通常 傘をゴルフ場が用意してくれているので わざわざ持って行く必要はないが 自前で揃える必要のある 靴とウェアは 耐水性と通気性の両方を兼ね備えたものを準備したい。中でも、ジャケットは 高機能で プレーし易いものを 少々価格が高くても選んで欲しい。撥水性と通気性が良く(例えば、ゴアテックスのような素材の)あまり ゴアゴアしない という点がポイントだ。 小道具(ティーペッグ、グリーン フォークなど)やスコアカードの出し入れが し易いポケット付きのものが重宝する。 高機能 レインウェア
一方、タオル同様、グローブを複数枚持って行くのも一案だが 雨の日でも滑らないグローブを使っていれば そうした必要は あまりなく グリップが濡れることは 然程 気にしなくとも良いので そうしたグローブがオススメだ。ここでは フットジョイのナノロック・シリーズのグローブと イオンスポーツのインスパイラル・グローブという 雨に強いグローブを紹介しよう。
まず、フットジョイ ナノロック シリーズのグローブだが 合成皮革ではなく ナノフロントという繊維を使用したグローブで 雨が降っていない時にも 普通に使用できるものである。ナノフロントは 径が 700 ナノメートル(0.7 マイクロメートル)という繊維を束ねて布状にしたものだが その繊維の細さは 人毛(約 60 マイクロメートルの径)の 1/86 と極細である。結果、接地面積が大きくなるので摩擦力が増え グリップ力が高くなるという理屈だ。それで 乾いた状態でも 柔軟性があって フィット感が良いのに 汗をかいても 雨でも そのグリップ力が ダウンしないという素晴らしい性能が可能になった訳だ。なお、汚れ易い素材だが 洗濯が出来るので その点も問題ないだろう。 ナノロック ツアー グローブ
一方、これも雨に強いグローブで イオンスポーツのインスパイラル グローブ という製品だが 以前のモデルは 濡らして使うのを前提に作られていた。しかし、ニューモデルは 乾いた状態でも 確りグリップできるように改善された。これらの雨に強いグローブは 価格的には 若干高めだが、リーズナブルと言えるものだし それを使えば グリップの心配は 大幅に軽減し タオルを沢山用意する必要もなくなるので 試してみる価値は 大いにあるだろう。
♦ 雨の中でのプレーの仕方
雨の日に 雨に濡れずにプレーすることは 不可能だが 上手に 不必要に濡れないように 工夫すべきである。プレーでは グリップを出来る限り乾いた状態にしておくことが大切で タオルは 余分に持って行くようにすること。何時でも 乾いたタオルが使えるよう 最低でも 1枚 出来れば 2 ~ 3枚のタオルを 乾いた状態に キープしておくようにしよう。濡れたタオルで良い時は 濡れたタオル、乾いたタオルが必要な時だけ 乾いたタオル と言った具合に使い分けると良いだろう。
自分が濡れないように 傘を使うのは 当たり前のことだが 道具を濡らさないためにも 傘は 重宝する。何本かのクラブを持って ボールの所へ行くことが多くなると思うが 右の写真のように 傘を使うと クラブを濡らさずに済む。乾いたタオルを 傘の骨から ブル下げるようにして 風の方向に対して 写真のように 傘を置き クラブを立てかける。直ぐに濡れるくらいの雨が降っている時は 傘をさして ティーイングエリア または ボールのある所まで行くようにし 慌てずに ボールを打つ準備をしよう。傘を置いたら プリショットルーティーンに 素早く入るべきだが その時も 急がないことが重要だ。濡れないようにという思いで 慌てて ショットをしないこと。
一方、ドライバーショットは 水溜りが至る所にあるようなら ランが出ないから なるべくキャリーで飛ばすようにしたい。また、ティーアップをしない ショットでは ボールを通常の位置より 少し右寄りに置いて 払うようにして打つのではなく 普段より ダウンブロー気味のスイングで ボールをクリーンに打つようにしたい。少しでもダフると距離が出ないので注意しよう。クラブの選択では 1クラブ 場合によっては 2 クラブ以上長めにし、フェアウェイ バンカーからのショットのように 体重移動は 最小限にして いつもの 8 割くらいの力で打つくらいの気持ちで良いだろう。なお、雨が降って 気温が下がってくると クラブの飛距離は 大きく落ちることがあると覚えておこう。
長時間 雨が降っていれば 当然 グリーンは 柔らかくなっているはずだから キャリーで ピンまで飛ばすショットが有効になるが 雨が降って来ても すぐにグリーンが柔らかくなる訳ではないから そうしたグリーンの硬さの状況や変化などに 注意を払うべきである。アプローチ ショットでは ボールをクリーンに打つことが より大切になるが 加えて ボールの転がり方が普段とは 異なってくる可能性が高いので 要注意。グリーンの硬さや柔らかさは 予想に反することが多くなる。従って、ボールを中途半端に上げると思ったように寄らない可能性が高くなるだろう。グリーンに水溜りがなければ 低いボールで 転がした方が ボールが予想に反する転がり方をするリスクは 低くなる。ただし、グリーンが非常に柔らかいことが ほぼ確実であれば ボールは 止め易い訳だから そんな時は キャリーで ピンの近くまで打っていくことが有利になることもあるだろう。また、バンカーショットは 砂が湿って 硬めになっていることもあるから ソールの小さめなピッチングウェッジなどでプレーするのも 場合によっては 有効で そんなショットの打ち方を普段から練習しておくと良いだろう。
♦ ボールに泥が付いている時
雨が降っている時や降った後のラウンドでは ボールに泥が付くことも多くなると思うが プリファードライのルールが採用されていなければ 泥の付いたボールを打つことも出て来よう。右図は そんな泥の付いたボールがどのように飛んでいく傾向があるのかを説明したものである。一般的には ボールの右側 (R) に泥が付いていれば ボールは フックし 狙ったターゲットより左に行く可能性が高く、逆に、左側 (L) に泥が付いていれば ボールは スライスし 狙ったターゲットより 左に行く傾向が強くなると言われている。
また、フェース面に 直接あたる箇所に泥が付いていれば ボールは どのくらい飛ぶかも(通常は 飛ばなくなるが)分からなくなるし 加えて どの方向に飛んでいくかも予想し難くなる。 一方、泥がボールの上部 (N) に付着している時は ナックルボールのような軌道になる可能性が高い。従って、そうしたことを賢く予測して クラブの選択とターゲットの設定をするよう コース マネジメントすべきであろう。
♦ ルール上の留意点
雨に係わる救済の関連ルールの詳細を良く勉強しておこう。まず、テンポラリーウォーター (旧称 カジュアルウォーター) のルールだが それを活用できるところでは ルールが許す範囲で 自分に最も有利な救済が受けられるような知識を身に付けて欲しい。スタンスを取った時に地面から水がしみ出してくるようであれば テンポラリーウォーターの救済が受けられるが そんな救済を受けるとすれば「完全な救済」の概念に則った 救済のニアレストポイントを起点に ボールをドロップする必要がある。( ボールのドロップの仕方)プリファード ライのルールが採用されている場合は まず テンポラリーウォーターの救済を受け ボールをドロップしてから さらに ボールを指定された距離 例えば 6 インチ内のピンに近寄らないライの良い所に動かしてからプレーすることも出来る。もちろん、テンポラリーウォーターの救済を受けずに 6 インチの処置だけをすることも可能である。
一方、ボールが 自分のピッチマークに少しでも埋まったような状態であれば 救済を受けられる。旧ルールでは フェアウェイ並みに芝が短く刈られている所のみだったが 新ルールでは ペナルティーエリア以外であれば どこでも救済を受けられるので 雨の日の競技ゴルフでは そんなルールがあることも忘れないで欲しい。また、パッティング グリーン上に水溜りがある時は グリーン上のボールをプレーする時に限られるが その水溜りの影響がないニアレストで等距離のスポットにボールをプレースして パットをすることが出来る。一方、グリーンの外からのアプローチでは そうした救済が受けられないので ボールの転がりを予想しやすいショットの選択をするなど 一工夫が大きな差を生むはずだ。