パッティングのターゲット設定
♦ 攻めと守り|保険のかけ方
まず、考えなければならないことは (1) どんなスピードでボールをカップに入れたいのか、(2) 入らなかった時に どのようなパットを残したいのか という二点であるが、スピードやライン(曲がり方)の読みに自信が持てない時は 特に慎重に この二点についてスマートな決断を下す必要がある。打とうとしているパットの入る確率が高い場合は (1) に重点を置いた判断が必要であるのに対し、入る確率の低いパットについては (2) に重点を置いた判断をする必要がある。自分のパッティング・ライン(スピードと曲がり方)を正確に読むことが出来ない時や距離のコントロールに自信が持てない時などは 所謂 保険をかけてパットをすべきである。思った以上に曲がったり、曲がらなかったり、また、グリーンが速かったりした場合にも備えて保険をかけるという考え方だが、入れることをほぼ 100% あきらめて ツーパットで入れることの出来る確率が最も高くなるような決断 つまり (2) のことだけを考えて最大限の保険をかけるのも一つの方法である。とは言え、通常は中間的な保険のかけ方、即ち、両方のことを念頭にパットの決断をするのが普通である。
♦ 仮想の曲線がターゲット
一方、どのような決断をするかという点に加えて、どのようにターゲットを設定するかということについても様々な工夫をする必要がある。カップまでのライン(仮想の曲線)を描き それをガイドラインにパットを打っている人が多いと思うが、その場合、ターゲットとなるのはカップまでの曲線ということで カップの先まで行くようなラインをターゲットに使っている人は少ないはずだ。ただ、それでは距離の情報は勿論のこと 方向の情報も効率良くインプットすることは出来ないという問題が生じてしまう。
♦ ターゲットはラインの先の点
まず、始めに 良いパッティングに要求されるのは 正しいパットのスピードだということを認識して欲しいのだが、統計学的に 最も入る確率が高くなるパットのスピードは カップを 17 インチ(約 43cm)オーバーするボールのスピードだとされている。従って、真っ直ぐのラインのパットも大きく曲がるラインのパットも 入れることに重点を置く場合は そのスピードを基準にターゲットの設定をすることが基本である。 » 詳細
そして、パッティングのスピードの設定が出来たら、そのスピードで打った時のライン(曲がり具合)の想定を行うことになる。それが決まれば ボールを打ち出していく方向の設定は 完了で 右下の図の例で言えば グレーの曲線と オレンジの直線が描ける訳だ。
次にすべきは 意図したスピードのボールを打つための工夫である。それには 平らなグリーンのスピードに換算した時に どこまで転がるスピードで打てば良いのかを決める方法が 最も有効だと言える。右図の例が下りのパットだとすると 平らなグリーンであれば T1 まで転がるスピードで打てば良い訳だが 下りの分だけ スピードを落としてあげる必要があり、その結果、例えば T2 にターゲットを設定するという方法である。つまり、下りの度合いが 直線的に打つのであれば S2 までのスピードで S1 まで転がる程度だと判断したのであれば S2 までの距離と等距離になる T2 がターゲットになるべきだという考え方である。
このように、ターゲットは 幾つかの線と点を平らなグリーンを想定した時にカップがなければ ボールが そこで止まるであろうという(仮想上の)線と点を想定したものをベースに決めるようにし、常に 読んだ(ボールが転がるであろう)ラインとは 別に ターゲットのライン(直線)とターゲットポイント(点)を設定することで パットの精度を上げることが出来る。その考え方が パッティングのターゲット設定の基本である。
♦ ターゲット設定の手順
以上の考え方で パットをする時、入れることに重点を置いたパットの場合は 以下の順序で ターゲットを設定すれば良いことになる。
曲線だけを目安に使って パットを打つ場合は パッティングのラインが 比較的 大きく曲がる時に ミスリードされてしまうという問題があることも知っておいて欲しい。別途 大きく曲がるラインのパットで説明しているが、我々には アマチュア(ロー)サイドに打ってしまう傾向が強い(目の錯覚)という問題がある。
♦ スピード・コントロール
短いパットを打つ時も カップ全体を見て何となく狙うのではなく、ターゲットをカップの上を通るラインとその先のターゲットポイントにして 出来る限り正確なスピードで打つようにすべきである。ミスが減るはずだ。また、入らなかった時にどのようなパットを残したいのかに重点を置いたパットを打つ場合は ターゲットポイントは基準の 43cm ではなく 0 ~ 43cm の間の距離に設定すべきで、入れることを ほぼ 完全にあきらめる場合は それを 0 に、また、それでも ボールが止まらないリスクが(ハッキリとは言えないが)あると考えるのであれば マイナス側(例えば -30cm など)に設定しても良い。仮に、30cm 手前で 止まっても 次のパットは 確実に入れることの出来る距離になるし、心配していたように転がった時も その程度が極端でなければ 入れ易い距離のパットになるはずだ。
パットの距離の調整は いずれにしても 少し弱めにとか 強めになどと考えるのではなく、出来る限り 数字で具体的に 50cm 弱めにのように定量的にすべきである。そして、その時に重点を置くべきポイントは その数字の距離情報をベースにしたスピード(強さ)のコントロールである。パターのフェースをターゲット向けてセットしたら 後は仮想ターゲットまでの距離にマッチしたスピード(強さ)でパットを打つことだけに神経を集中させるべきである。方向を合わせようとはしないこと。それが成功率を上げる秘訣である。