ピン(旗竿)にアテンド|ルール解説
ただ、新ルールでも アテンドしてもらった 即ち 抜いてプレーをすると決めたピンに球が当たれば ペナルティーになる可能性が高いから 注意が必要だ。詳細を知らないと違反を犯しかねないルールや 不合理と思わざるを得ない旧ルールの規則の多くは 新ルールではなくなり 合理的なものになったが、それでも当該ルールは 詳細を知らないと違反を犯してしまうような規則が残っているのも事実である。
♦ 旧ルールのペナルティー
旧ルールでは グリーン上にあるボールをパットして ピンに当てた場合は ストロークプレーであれば 2打罰 また マッチプレーであれば そのホールの負け というペナルティが科された。従って、グリーン上からパットをする時は 必ず ピンを抜くか、ホールの位置が分かり難いロングパットなどでは 誰かに ピンにアテンドしてもらって プレーをするのが普通だった。なお、ピンだけでなく アテンドした人にボールが当たった場合も アテンドした人の故意の行為による場合を除き 同様のペナルティが科された。ご存知の人は あまり居ないと思うが 当該ペナルティーは アテンドした人の過失でも パットをした人にペナルティーが科されるという不合理なものであった。
♦ 新ルールのペナルティー
一方、新ルールでは グリーン上にあるボールをパットして ピンに当てても良くなったので そうしてプレーをする場合は ペナルティーが科される可能性はない。他方、ピンにアテンドしてもらってプレーをする場合は 旧ルール同様 ピンに球が当たれば ペナルティーが科される可能性がある。ただ、どんな時に 誰に どのようなペナルティーが科されるのかという意味では 新旧ルールでは 大きな違いがある。まず、新ルールでは ピンに球が当たっても それが偶然 (accidentally) 起きた場合は 誰にも罰はない。ただし、アテンドした人が ピンに当たると分かっているにも拘らず (英語では deliberately と表現される行為で JGA は それを故意と訳しているが) ピンを抜かなかったために当たったと判断されれば ペナルティーが科される。ピンにアテンドしたのが プレーヤーのサイドの人間であれば プレーヤーにペナルティーが科されるが、それが同伴競技者のミスの場合は 同伴競技者のペナルティーになる可能性がある。ルールを知らずにアテンドすることになり ピンに球が当たるのを見ていた場合は 勿論だが よそ見をしてピンに球が当たってしまった場合も ペナルティーになる可能性が極めて高い。ペナルティーは 旧ルールのように ストロークプレーであれば 2打罰 また マッチプレーであれば そのホールの負けである。また、ピンを残したままパットをしたにも拘らず ボールが止まる前に ピンを抜いた場合は そのボールが当たる可能性があったと判断されれば ピンを抜いた人(サイド)に ペナルティーが科されるので その点にも注意する必要がある。» この話題に係わる四方山話
♦ 間違い易い 関連ルール
以上のように (1) ピンを抜く形で アテンドしてもらった時に ピンにボールが当たれば ペナルティーの可能性がある訳だが、(2) ピンを残した時は この限りではないものの ボールが止まるまで ピンを抜いてはならない と定められているのがポイントだ。何れにしても、ピンへのアテンドに係わるルールに違反をしないために知っておくべきポイントを以下にまとめたので 参考にして欲しい。
a) ホールアウトの定義
旧ルールでは ボールがホールに入ったとは 球がホール内に止まり 球全体がホールの淵よりも下にある時 その球は「ホールに入った」ことになると定義されていた。しかし、新ルールでは プレーヤーの球がホールに立てられたままの旗竿に寄りかかって止まっていて、その球の一部がホールの中で パッティンググリーン面より下にある場合、その球はホールに入ったものとして扱われる とも説明されている。つまり、旧ルールでは 必要だった 旗竿を動かして 球をホールの下まで落ち込ます必要は なくなったのである。
b) ピンにアテンドする義務
次に、旧ルールブックの裁定集 17/1-2 に記載されていた事例を紹介しよう。「プレーヤーが 相手(または 同伴競技者)に旗竿に付き添ってもらいたいと依頼したのに相手(または 同伴競技者)がこれを断った場合、何らかの救済がプレーヤーに与えられるか」 と言う質問に対し「救済はない」という回答が記載されていた。つまり、同伴競技者に対して ボールをマークして欲しい という依頼と ピンにアテンドして欲しい という依頼は 別次元の依頼で、前者に対する対応は must だが、後者に対する対応は may と言うことだ。新ルールでは あまり重要なポイントではなかろうが 参考まで。
c) ルール違反の責任の所在
旧ルールでは 付き添い人が同伴競技者の場合、意図的に抜かなかった場合を除き、ピンが抜けずにボールが ピンに当たった時は 付き添い人の不注意によるケースも含め アテンドを同伴競技者に依頼してプレーした人に 2打罰が科されるという不合理とも思えるルールになっていたが、新ルールでは 依頼してパットをした人に罰はなく アテンドした同伴競技者には ペナルティーが科される可能性はあるが accidentaly に起きたのであれば 罰はない。
d) ピンの近くに立つ行為
また、当該ルールに関連する基礎知識として 知っておいて欲しいことだが、ピンがホールの中に立っていて アドレスからストロークの間に 誰かが ピンに手が届くような ホールの近くに立っていた場合は その人が ピンにアテンドしていたものとみなされる。だだし、その事実をプレーヤーが確認できないケースは「無断の付き添い」ということで 別途 その処置が定められている。なお、ショットの際に ピンの近くに人が立っているのを知っていてプレーをすれば その人とプレーヤーの間でアテンドに関するコミュニケーションがあったか否かに拘らず、そこに立っている人は ピンにアテンドを依頼されたものとルールは見なすことになっているので注意して欲しい。その状態でボールが ピンに当たれば、ストロークプレーであれば ピンの側に立っていた人に 2打罰、また、マッチプレーであれば そのホールの負け というペナルティが科される可能性がある。同伴競技者のプレーをグリーン上で待っている時に ピンの傍に立つような行為は マナー的にも問題だが ペナルティーを科される可能性のある行為なので 要注意である。
e) ピンを抜いてはいけないケース
また、当該ルールに係わるルール違反は 同伴競技者のショットを グリーン上で待っている時に犯し易いので その観点から 内容を良く確認して欲しい。自分はピンを抜いてパットをするつもりで 且つ プレーファーストを気にしている時は 特に 同伴競技者がボールを打ったら 直ぐに ピンを抜いて パットを出来るようにと ボールが止まる前に ピンを抜いてしまう人も居るだろうが、そうした行為がペナルティの対象になることもある。違反行為と判断されれば 2打罰 または そのホールの負けと言うペナルティーになる。
f) 当該ルール違反後の処置と罰則
ところで、自分が打ったボールが アテンドしてもらったピンに当たって自分にペナルティが科されるケースは 打ち直しをせずに ボールが ピンに当たって止まった所から プレー続行となる。例えば、パットは入ったが キャディーにアテンドしてもらった ピンにボールが当たってしまった場合は そのストロークを数え、2打罰を付加し、そのホールをホールアウトすることになる。ピンに当たって ボールが入らなかった場合は ボールが止まった所から 2打罰で プレー続行が正しい処置である。
最後に蛇足になるが、ピンへの付き添いを英語では アテンド (attend) と言うが、テンド (tend) とも言うので ご参考まで。以上、ピンの傍に立ったり、ピンを抜く時は ルール違反をする可能性があることを良く認識して 今後は プレーをして下さい。