林の中から打つ時の注意点|ルール解説
♦ ルースインペディメント
林の中は 十分な整備がなされていないのが普通で 落ち葉や小枝などが多く散在している可能性が高い所である。理由の如何に係わらず その様な ルースインペディメントを排除する時に ボールが動いたり、スイングに影響を及ぼす木に生えている葉っぱ(ルースインペディメントでないもの)を落としてしまえば ペナルティーが科される(詳細後述)可能性がある。また、ボールが動いた後の処置を間違えば さらに ペナルティーが科されるだろう。(» ボールが動いてしまった時の処置)従って、ボールの傍のルースインペディメントの排除は 細心の注意を払って行う必要がある。
♦ レッドペナルティーエリア
また、場合によっては 林の中のエリアの一部を(赤杭で)レッドペナルティーエリアにしているコースもある。旧ルールでは そうした場合 小枝や落ち葉などの ルースインペディメントを取り除いたり、手やクラブヘッドが それに触れれば 1打罰のペナルティが科されたが 新ルールで そうした意味では 他のエリア同様にプレーができるので 最大限の許される準備をしてからプレーをすべきである。ただし、テンポラリーウォーターや地面に球が食い込んでいても 救済を受けることはできないので その点は 間違いのないようにして欲しい。
♦ 練習スイング
次に (B) 練習スイングに係わるルールであるが 当該ルールを知らない人は ルール違反を頻繁に起こし それをルール違反とも知らずに 終えている可能性が高い。具体的には 以下に詳しく説明する「意図するスタンス・スイングの区域の改善」という違反だが 自分のスイング区域の条件を改善する行為を練習スイングの時に行ってしまう と言うことである。
♦ 意図するスタンス・スイング区域の改善
実は、意図するスイング区域の改善には 生えている木の葉や小枝を 練習スイングや素振りの時に 落としてしまう行為が含まれる。従って、ほとんど実際のスイングには 関係ないと思える小さな葉っぱでも それが 自分のボールを打つ時のスイングの区域にある木の枝に生えて付いているものであれば ストロークプレーでは 2打罰 と大きなペナルティーになる。ライが改善されたと言えないような小さな葉っぱが 1枚であっても 自分のスイングに影響する区域内にあるものであれば ルール違反だ。もちろん、練習スイングでなくとも、邪魔になりそうな小枝や葉っぱを折り曲げたり 取り除いたりすれば ペナルティーになる。ボールから離れた 自分のショットに関係のない所で練習スイングをして 小枝や葉っぱを落としてしまっても 当然 ルール上の問題にはならない。なお、アドレスの姿勢を取るために木に触れ、その結果、小枝が折れたり、葉っぱが落ちた場合は 例外で ペナルティーにはならない。
酷い人になると 何度も 素振りをして邪魔な枝や葉っぱを 故意になくす人や邪魔になりそうな小枝を曲げたりする人がいるが、故意であろうと なかろうと、また、落とした葉っぱが 1枚であろうと 50枚であろうと スイングの区域にあるもの(ルースインペディメントと動かせる障害物は 例外)をアドレスを取る目的以外の行為によって どけたり、落とせば ペナルティーの対象になる。従って、林の中や木の近くにボールがある時は 自分のスイングと周りの木や小枝などの関係が どうなっているかを まずは細心の注意を払って 確認することが ファーストステップになる。具体的には 自分が使用しようと考えているクラブを持ってアドレスし 木の枝の方を見ながら ゆっくりクラブを振るようにして その時に木の枝や葉っぱに当たるか どうかを確認する作業をすべきである。クラブが木や葉っぱに当たること、さらには 小枝や葉っぱを落とすリスクなどが確認できれば ルール違反にならない範囲で ベストなコースマネジメント上のショットが何かを考え プレーすることになる。
この時に、知っておくべき「意図するスタンス・スイングの区域の改善」に係わる例外規定的なルールがある。即ち、実際にボールを打つ時のスイングでは 練習スイングとは異なり その時にスイングを止めずに そのまま ボールを打ってしまえば 小枝や木の葉が落ちても ペナルティーにはならない という規則である。つまり、バックスイングが小枝などに当たって 木の葉が落ちる可能性が高いが そのスイングがベストと判断した場合は 出来る限り スイングを途中で止めないように(心の準備をして)そのショットをすることが得策なのだ。余談になるが スイングを止めて葉っぱが落ちれば 2打罰だが、ボールを打つ意図でした空振の結果であれば 罰はなく そのストロークが数えられるだけだから 葉っぱが落ちたと思ったら スイングを止めずに とにかく クラブを振り切るべきである。
また、完全に折れた木の枝が ぶら下がっている場合、その枝は ルースインペディメントということになるから 取り除くことが出来るが、その時に 折れているが まだ 木についている小枝などで プレーに影響するものを取ったり 曲げたり してしまえば ペナルティーが科されるので その点も覚えておいて欲しい。なお、木や茂みにボールが入って 打てないと判断した時は アンプレヤブルの処理をすることになるだろうが 別途説明しているように(» アンプレヤブルの球)オプションは 2 クラブレングス内にドロップというものだけではなく、ボールとピンを結んだ後方線上の選択肢があることも考えに入れて どこに ドロップすべきかを判断することが大切である。
♦ コースマネジメント
一方、ボールを林の中に打ち込んでしまった場合は 以上のようなルール上の注意点もあるが コースマネジメントの面からは どの方向に どの位の高さのボールで 何ヤード 打つのが良いのかを 十分に考えてからプレーをすべきである。いい加減に あの辺りに打とうと言うのではなく、そのショットのリスクや次のショットのことを確り考えてから決断すべきである。グリーンを狙わないと決めた場合は 距離を稼ぐことより 次のショットが 打ち易いフェアウェーから 打てる確率が高くなることを念頭に(自分の好きな距離とアングルが残るよう 計算し)ミスを犯しそうなショットと その結果にも配慮し 大きなダメージを受ける可能性を 極力 排除するのが基本だ。林の中に行く時は 必ず 異なった弾道のボールが打てるクラブを数本(例えば、S - P - 7 - 4 など)持って行くべきである。例えば、7番アイアンを使って低い弾道のボールで 木枝の下に低いボールを打ち 70-80ヤード飛ばそうなどと考えて ボールが予想以上に高く上がり 木に当たってしまうことは良くあることだ。クラブをダウンブローに振って、低いボールを打とうとすれば(逆に)ボールは高く上がるものである。ゴルフクラブは そのように作られているのである。そんな時は どんなことがあってもある高さ以上にはボールの上がらない 4番アイアンのようなクラブを使う。そんな配慮も必要であろう。
以上、林にボールが入った時は ルールのこと、ショットセレクションのことと考えることが多くなるので その内の一つのことでも 疎かにならないよう 注意を普段以上に喚起して プレーをする必要がある と言うことだ。