ゴルフクラブのグリップ|選び方と交換方法

Introduction

グリップは 車のタイヤのように磨耗して磨り減るし、温度、紫外線、汗、油などの汚れの影響を受けて 時間の経過と共に劣化する性質もある。従って、使用頻度にも依るが 少なくとも 2~3年に一度は 新しいものに交換したいものだ。一方、同じクラブでも そのグリップの重さ、太さ、硬さ、装着法などの何かが違えば それを振った時の感触は驚くほど違うものになる可能性がある。実は、グリップがプレーに与える影響は 多くのゴルファーが考えている以上に 大きなものなのだ。そこで、以下に そんなグリップの選び方について概要を分かり易く解説した 音なし 約 6分の動画を用意した。グリップの交換を考えている人は 是非 参考にして下さい。なお、グリップの選び方や装着の仕方など 更なる詳細は その下のテキストを参照下さい。

グリップの重さ(重量)

グリップ選択の基準 グリップのスペックで 最も重要なものが その重さと太さ(サイズ)である。重さはグリップによって その差が大きく、極端に軽いものは 20g(グラム)くらいのものから、重いものでは 80g 近いものまである。ただし、市販されているグリップのほとんどは 50g 前後、40g 〜 60g の範囲のものである。それでも、重量に気を配らずに グリップ交換をしたら 知らぬ間に クラブを振った時のフィーリングが大きく変わってしまった と言うことにもなり兼ねない。グリップの重量は クラブのバランス(スイング ウェート)に大きな影響を及ぼすからだ。 » 詳細

グリップの重さの影響例えば、50g のグリップから 40g のグリップに変えると 全体の重量は軽くなるが、相対的にクラブヘッド側が重くなるから スイング ウェートは 2 〜 3ポイント重くなる。それだけでも フィーリングは かなり違うはずだが、場合によっては 5ポイント以上 スイング ウェートが変わってしまうこともある。特に、総重量の軽いクラブで スイング ウェートを重目にするために 軽量グリップが装着されているクラブの場合は(平均的なグリップに交換すると)ヘッドの重さを感じにくい、スイング ウェートが軽いクラブになってしまう可能性が高いので 要注意だ。

また、細かなことまで言えば、品質管理面から見た重量のバラツキも 考慮する必要がある。メーカーによって多少異なるが そうしたバラツキは 通常 プラス・マイナス 2g 〜 3g 程度はあるから、重めのグリップと軽めのグリップでは 同じグリップでも 5g 以上の差が出てくることもあり そうしたスペックまできっちり管理する場合は それなりの配慮が必要になる訳だ。



グリップの太さ(サイズ)

グリップの太さ 即ち サイズは M58、M60、L60 などと表記されるが、M/L は メンズ/レディースの意味で 数字は グリップの内径(コア)の直径(インチ)を示すものである。58", 60", 62" といったサイズがあり 60" が最も一般的で 58" も比較的良く出回っている。M58 のグリップは シャフトのバット径が 0.58" のシャフト用グリップだが 伸びるから 0.60" のシャフトに付けることも可能で、結果、同じシャフトであれば 装着時のグリップの太さは M58 の方が太くなる訳だ。右表からも分かるように 0.58" のシャフトに M58 のグリップを付けた場合と 0.60" のシャフトに M60 のグリップを付けた場合は テープの巻き方が同じであれば、同じ太さのグリップに仕上がる理屈だ。

グリップ・サイズ
グリップ・サイズ 方向性 飛距離
太め
適正
細め
サイズ 0.58" 0.60" 0.62"
0.58" 標準 太め -
0.60" 細め 標準 太め
0.62" - 細め 標準

一般的に、グリップが太くなるほど コックはしづらくなり ヘッドが走り難くなるが 方向性は 安定する傾向があり 方向性を重視する場合は 太め、飛距離重視の場合は 細めが良いとされている。

一方、太いグリップは オーバーサイズ、細いグリップは アンダーサイズということで売られているから(日本ではあまり馴染みがないが 米国などでは 一般的)その考え方を良く理解しておくと良いだろう。オーバーサイズのグリップは 1/64" 単位で太くなり 1/8" オーバーサイズのグリップまで売られている。グリップの太さは グリップエンド(キャップ)から 2" のところで計った太さで、標準のものが 0.900"、1/8" オーバーサイズであれば 1.025" という太さになる。なお、レディースのグリップは メンズより 3/64" 細く作られている。つまり、レディースの標準グリップは 3/64" アンダーサイズのメンズ・グリップと同じ太さになると言うことだ。細いグリップは 重量が軽く、太いグリップは 逆に 重くなるのが一般的である。レディース クラブのグリップ交換でメンズのグリップを装着したりすると ヘッドを感じ難いクラブになる可能性が高いので要注意だ。 » オーバーサイズ・グリップの知識

グリップの硬さ(素材)

グリップ重量とサイズ以外のスペックで重要なものに グリップの素材がある。昔、使われた皮のグリップは最近では殆ど見られなくなったが、ゴムは(コンパウンドにして その性能が格段に良くなったものが)今でもよく使われる。しかし、ゴム以外の材質で作られたグリップが かなり増えたのも事実である。新しい素材の中でも EPDM を始めとする各種樹脂系コンパウンドのグリップが最近は良く使われているが、ゴムに比べて 柔らかでしっとりとした感触のグリップを好む人に適した素材である。ウィン (WINN) などは そうした新しい素材(Elastom ETM)の特徴を 強調したデザインで それまでのグリップにはなかった 新しい感触の革新的なグリップを市場に投入し 伸びたメーカーだ。

因みに、コンパウンドとは 各種樹脂やゴム、所謂、エラストマーに強化材と添加剤を配合し、目的とする性能や機能により近づけた材料である。コンパウンドに配合する強化材は 無機、有機材料を含めて多岐にわたるが、衝撃吸収、耐磨耗性など機械的特性や耐候性などの耐久性の向上のほか 、対水特性(汗や雨の影響などを低減するための特性)の向上など様々な目的で配合される。

近年は より優れたコンパウンド素材の開発と多層構造の研究などによって衝撃吸収性やコントロール性能に優れたグリップの開発が進んでいる。そうした(価格が高めではあるが)高性能グリップが ショットの精度にどれだけ貢献するかを 定量的に評価は出来ないが、多くの人は高価だが、そうした工夫がなされたグリップを使い易いと感じるものだ。例えば、柔らかい感触でしっとり感のあるグリップは 軽く握りやすいというメリットがあり、ボールを打った時の感触も異なるから(それが良いかどうかは 個人差もあるが)そんなグリップを試してみる価値はあるだろう。



バックライン 及び コードの有無

ゴムのグリップには、天然ゴムと合成ゴムのものがあるが、加えて、それにコードが入っているもの(フルかハーフ)とそうでないものとがある。一般的に コードの入ったものは 重量が多少重くなる傾向があり、少し硬めで ざらざらした表面の感触が特徴である。また、最近では コード以外の素材(例えば プラスチックのバーのようなものなど)を使用した斬新なデザインのもの(例えば、ラムキン デュアル デンシィティー トーション コントロール)も出回っている。

グリップは その裏側に縦の線が入ったものか、それがないものの何れかになるが、そのラインのことをバックライン または リマインダー(reminder)と呼ぶ。フェースの向きを確認する上で役立つが 同時に グリップを安定させる効果もある。アベレージ ゴルファーに良くありがちな インパクト時にフェースが開いてしまうような問題があれば バックライン有りが オススメだ。

パター用 グリップ

Super Stroke一方、パター用のグリップは 以上に説明した その他のクラブのグリップと異なるものである。そのグリップの形状、太さ、重さなどは 製品によって大きく異なるが、最も異なる点は 円形でない横断面をもつことができるというルール上の規定があるので 殆どのグリップが円形でなく クラブフェースをスクウェアーにセットし易い 平らな面を持つデザインになっていることだ。

また、近年は 太めのグリップを使用するツアープロが増えたこともあって 昔に比べて 太めのグリップが良く使われるようになった。右のグリップは その一例で ジョーダン・スピースが使用することで人気になったグリップ(Super Stroke FLATSO 1.0)である。このグリップの特徴は グリップの太さがほぼ均一で(ノンテーパー)手首の余計なローテーションや動きを抑え、パッティングのストロークを安定させることが出来る点である。テーパー形状のグリップに比べ シャフト側(右利きで通常にグリップした時の右手)が太く感じ 右手に余計な力が入り難くなるそうだ。このグリップは 太めのグリップが多い Super Stroke の製品としては MID サイズだそうだが、通常の基準でみれば 太めのグリップに分類されるだろう。

一般的に、太めのグリップは ヘッドの大きなマレットに、また、細めのグリップは 小さ目なヘッドの ピン・タイプのパターに合うと言われているが ジョーダン・スピースが スコッティ キャメロン 009(ピン・タイプ)を使用していることからも Super Stroke の MID サイズ位の太さであれば どのタイプのパターにも合う可能性があると言えるだろう。» パター用 グリップ

装着の仕方と費用

グリップを装着する時は 下に両面テープを巻くのが一般的だが そのテープの量で太さを 調整することも出来る。巻き方には縦巻きと螺旋巻きの二通りがあるが、どちらの場合も 1巻きで ほぼ 1/32 インチ(約 0.8mm)ほど太くなる。また、好みに応じて このテープの巻き方を変えて、グリップの中央部分を 少し(ルール違反の膨らみにならない範囲で)太めにするとか、グリップエンドを太めにするなどの調整も可能になる。テープ自体の重さは 1巻きで 2グラム程度の重さになるので、その点も スイング ウェートの調整で 計算に入れておくと良いだろう。以下は自分で出来るグリップ交換という YouTube の動画だが、自分でグリップを交換してみようという人には とても参考になるだろう。

通常、手の大きい人には 太めのグリップが向いている訳だが、必要以上に太いグリップは 前述もしたように クラブヘッドが返り難くなる傾向があるので あまりオススメできない。また、太いグリップは重いから 何もしなければ スイング ウェートの軽いクラブになってしまう点も 問題だ。スライスに悩んでいる人は 避けた方が良いだろう。また、バックラインのあるグリップは、それを スクウェアーに装着するのが一般的だが、ツアープロや上級者の中には 意図的にグリップを 数度(例えば、10度)ねじって装着し、そうした上で グリップする時の目安に使っている人もいる。なお、グリップの装着を ひどいお店に任せると スクエアーに装着できていないものがあったり、きちっと奥までグリップを差し込まないで装着されたりすることもあるので(自分で装着する時の注意点でもあるが)装着料金だけを考えるのではなく、信頼出来るクラフトマンの居るお店に お願いした方が良いだろう。

グリップは 1本売りか、8本/10本のセット売りというのが一般的だ。グリップ本体の単価は 安いもので 1本 300円位からあり、600円 ~ 800円位のものが 一般的に良く使われているが 多層構造や高機能なコンパウンド素材で作られたグリップは 1本 1,000円を大幅に上回るものも少なくない。グリップ交換のコストを セーブするには セット売りのグリップのセール品をインターネットなどで購入し(自分で交換する気のない人は)そのグリップを クラフトマンが リーズナブルな工賃(400 ~ 500円/本)で装着してくれる店に持って行くと良いだろう。右は グリップの主要メーカーのリストで その商品の詳細がチェックできる リンクになっているので 興味のある方は その対象のメーカー名をクリックで。

小売店で販売されているグリップの単価は セット売りのセール品のそれに比べ(自分の好みのグリップを選ぶと特に)割高になるのが一般的なので 節約ということを考える場合は グリップ購入と交換は 別々にベストなものを選ぶべきだろう。工賃は 安価な所で 1本 400円前後だが お店によってかなり差がある。もちろん、自分で装着すれば 大きな節約になるが 本数が少なく テープや溶剤などの材料を購入する必要があれば 苦労の割りに セービングは 小さくなるだろう。とは言え、グリップ交換は 多くの人が思っているより簡単なので ちょくちょく交換する人は 出来る限り そのやり方を学ぶべきだろう。



その他 関連知識

グリップに係わるルール図解まず、ルールでグリップの形状や装着法の詳細を定めているが、パター以外のクラブとパターでは その規制が異なるということを知っておくべきだ。パター以外のクラブは真っ直ぐ 且つ 単純な形状であること、そして、その横断面が円形で 手がフィットし易くなるような型を付けてはならないと決められている。ただし、真っ直ぐで 若干盛り上がったリブをグリップの長さ全体に亘って均一に組み込んだり、巻きつけるタイプのグリップやその模倣グリップでは らせん状の若干のくぼみがあっても良い。一方、パターのグリップは横断面に凹面がなく 左右対称で グリップの長さ全体に亘って 概ね同形であることを条件に 円形でない横断面が許される。そのサイズや形状については さらに詳細な決まりもあるが 市場に出回っているグリップを購入し、装着する分には ルールに合致したグリップになると考えて良いだろう。

また、パター用のグリップは 普通のクラブのグリップ以上に、形状、重量、太さ、長さなどでバラエティーがあるが 中尺グリップや 長尺パター用のスプリット グリップなどの変則的なグリップも一般的に使われている。パターに限り 2つのグリップを取り付けられる訳だが、(a) どちらも横断面が円形、(b) どちらの軸線もシャフトの軸線と一致する、また、(c) 両グリップは少なくとも 1.5インチ (38.1ミリメートル) は離れていなければならないこと が条件だ。

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