シャフトの知識
自分に最適なクラブを選ぶ上で シャフト (shaft) に係わる様々な知識が 不可欠なことは言うまでもないが このクイズは そんなクラブを振った時のフィーリングに大きな影響を及ぼす シャフトの仕様と その装着の仕方によって変わる クラブの特性を理解し 自分に 最適と思われるシャフトを選択し使用するために活用して欲しい 基礎知識から専門知識までを 提供する目的で作成されています。まずは クイズに答え その後に 下の
をクリックで 正解とその解説を確認して下さい。
(1) クラブを振った時に シャフトは 鞭のように「たわむ」が その「たわみ」の量に直結するのが シャフトの曲げに係わる硬さで 柔らかい方から順に J - L - A - R - SR - S - X - XX のように表示するが、曲げではなく ねじれ方向の硬さの指標となるものは 次の内のどれか? |
(2) 近年、ドライバーのシャフトは スチール製ではなく カーボン グラファイト製のものが使われるのが普通だが その男性用のシャフトの重さは 概ね どの位か? |
(3) ドライバーは シャフトの先端に スリーブが 付いている 所謂 着脱式で 調整機能が付いたモデルが多くなり シャフトが簡単に着脱できるものが多くなったが、通常、それで調整できるのは 次の内の何か? |
(4) シャフト、特に、カーボン シャフトには 直線性や対称性に係わる 歪があるので それを ヘッドに無造作に装着すると スイング時のヘッドの向きや軌道に悪影響を与え、安定性を欠くクラブになってしまう。シャフトの歪をチェックして シャフトをヘッドに上手く装着する方法として知られているテクニックは 次の内のどれ? |
答え
解説
(1) トルク:曲げではなく ねじれ方向の硬さの指標となるトルク (torque) は 曲げ方向の硬さ同様 クラブを振った時のシャフトの変形とクラブのリーリースに大きな影響を与える要素である。トルクの低いシャフトはスイング時の「ねじれ」が小さくなる訳だが 感覚的には同じ硬さ (stiffness) のクラブであれば トルクの小さい 所謂 ロートルクのシャフトの方が硬く感じるのだ。つまり、より硬い感じのするシャフトを使いたければ スティッフで ロートルクのシャフトを選べば良いことになる。一般的に、スチールシャフトのトルクは 低く、アイアン用で 1.7 ~ 2.0、また、ウッド用では 2.5 ~ 3.0 といった範囲だから トルクをベースに選択する余地がないが、カーボンシャフトは そのバリエーションが大きく、選択の幅が広い。カーボンシャフトは 2.0 ~ 7.0 位までの製品があり(3.0 ~ 6.0 の製品が最も多い)トルクが 3.0 以下のシャフトであれば ロートルクのシャフトと考えて良いだろう。一般的に ロートルクなカーボンシャフトは 高価なものが多いと言える。なお、上手くコントロール出きれば「たわみ」も「ねじれ」も大きい方が その生み出すエネルギーは 大きくなるという理屈になるが「たわみ」も「ねじれ」も大き過ぎれば コントロールは し難くなるし 打ち出し角とバックスピン量に悪影響を及ぼす。また、クラブヘッドの重さを 上手く感じるためにも 適度な「たわみ」と「ねじれ」が必要と考えられる。一般的には 柔らか目なシャフトの方が クラブヘッドの感触が伝わり易く、ドローを打ち易くなるが柔らか過ぎれば 球が吹き上がったり 好ましくないフックが出易くなる。逆に、硬過ぎるシャフトでは ヘッドの重さを感じることが出来ず ボールが上がらなかったり プッシュアウトやスライスが出易いという傾向になる。
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(2) 60 g:ゴルフクラブのシャフトは その素材によって 一部に例外的なものはあるものの 大きく (1) カーボンシャフト(グラファイトシャフトとも言う)と (2) スチールシャフトに分類される。より遠くへ飛ばすことが目的の一つであるドライバーは ほとんどが樹脂と炭素繊維で作られていて 軽量な (主に 50~80g台) カーボンシャフトが装着されたものだが、アイアンは遠くへ飛ばすことよりも正確さが要求されるクラブで 相対的に重く (主に 80~120g台) 確りした感触の得られるステンレス鋼で作られる スチールシャフトの人気が高い。なお、カーボンシャフトは 相対的に高価なものが少なくなく、自分の望むスペックと品質のシャフトが極めて高価なものになってしまう可能性は否めない。自分に合うシャフトを選ぶという視点から チェックすべきポイントの一つが その重量であることは間違いないが、他に、硬さ (曲げと ねじれ方向)、調子 (キックポイント)、シャフトの歪などに対しても 十分 配慮する必要がある。
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(3) フェース角とロフト:可変式のスリーブは ヘッドのシャフトに対する装着角度を変えられる構造になったパーツで その可変の仕組みには 右図の (A) のように シャフトの先端部にスリーブ a2 を付けて その軸をシャフト a1 の軸に対して数度傾けて それが回転・固定できるようにして その範囲内でシャフトの差込角を調整し フェース角とロフトの組み合わせを変えられるものと (B) のように b1、 b2、 b3 から成る 二段階で調整可能なスリーブにすることで シャフトの差込角の調整の自由度が大きいものとがある。ただし、ロフトやフェース角の調整が出来るのは 利点のように思えるだろうが シャフトには歪があるので その点を考慮して設定の調整をしないと切れ味の良いクラブとはほど遠いものになり兼ねない。シャフトが簡単に着脱できるので、ある意味、一眼レフのレンズを交換して カメラを使う感覚でシャフトの交換が出来るようになった訳だが、クイズ (4) の回答で詳しく解説しているように 歪に対して どのような角度でヘッドを装着するのが良いのかについても考えるべきである。必ずしも メーカーの説明通りの理論で弾道調整が出来る訳ではない。
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(4) ピュアリング:(3) の回答の解説で シャフトの歪の悪影響については少し触れたが、ここで シャフトの直線性や対称性(真円度、板厚)といった観点からの歪について 少し詳しく説明しよう。完全に真っ直ぐで 真円、均一な板厚のシャフトを作ることは出来ないから シャフトには そうした意味での歪がある。そうした歪のあるシャフトを無造作に装着すると スイング時のクラブヘッドの向きや軌道に悪影響を与えることになり、安定性を欠くクラブになってしまう。ところが、その歪に対して ある方向にクラブヘッドを装着すれば 歪の影響は最小限になるという性質があり、その点に着目したのが シャフトのスパインアライメントとかピュアリングなどと呼ばれる調整法である。アマチュアゴルファーの間では あまり普及していないが ツアープロの間では ピュアリングプロセス(Puring Process)と呼ばれ 多くのトップツアープロが利用するようになっているシャフトの取り付け方の工夫である。
シャフトのスパインファインダー (Spine Finder) という ベアリングを使った簡単な器具でシャフトのスパイン、即ち、背骨とも言える 硬い箇所を見つけ、それに対して 一定の向きに合わせて クラブヘッドを装着する方法は スパインアラインメント (Spine Alingment) と呼ばれるテクニックである。参考図は そのスパインを強調したものになっているが このような歪のあるシャフトをクラブヘッドに付ける時に (R) の方向から応力が掛かるように装着すれば それを振った時に ヘッドは安定した動きをせずに暴れるが 板厚の厚い (S) の方向から応力が掛かるようにヘッドを装着すれば ヘッドは安定した動きをするという発想のシャフトの装着法である。ただし、板厚の厚い箇所が そのシャフトのスパイン (背骨) になるが シャフトには 程度の差こそあれ それが幾つもあるのが普通で スパインアラインメントの効果は限定的なものになる。下の動画は 正しくシャフトが装着されていないクラブが暴れる様子、また、正しく装着されたクラブでは それが見られないという違いを見せたものだが、簡単なスパインファインダーを使用し 例えば、ヒール・トーのラインや重心角をスパインに合わせるような手法では クラブの暴れを上手く抑えることは難しいと言うことだ。
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そこで考えられたのが FLO (Flat Line Oscillation) による スパインアラインメントだが スパインがどこにあるかはチェックせずに 動画のようなプロセスでシャフトが暴れないような装着角を見つけ出し シャフトを装着する方法で ピュアリングプロセスは FLO の原理を主に使った方法である。ただし、FLO によるアラインメントは 他の手法に比べ優れているとは言えるものの 人間がクラブを振った時のヘッドとシャフトの挙動は 極めて複雑だから 必ずしも ベストな結果を導き出してくれる方法だとは 言い切れない側面もある。いずれにしても、ここで思い出して欲しいのがフェース角やロフトの調整が出来るスリーブ付きのドライバーに係わる前述の説明である。その調整が出来るのは利点のようだが シャフトには歪があるので その点を考慮して調整しないと 切れ味の良いクラブとはほど遠いものになり兼ねないと説明したが、以上の説明で その理由が理解できたことと思う。どのような調整をするのがベストかは フェース角やロフトの微調整よりも シャフトの歪の悪影響をミニマムにすることに主眼を置き、調整のプロセスでは 弾道を気にする前に ミート率と左右へのブレなどの安定性に着目した調整を行った方が良い結果につながる可能性は高いだろう。ただ、スリーブの調整機能は 30° 刻みの様に かなり大雑把になるのが普通だから その調整によって歪の影響をどこまで減らせるかは疑問も残る。とは言え、スリーブ付きのシャフトのドライバーを持っている人は その全ての調整可能なアングルをこの視点からチェックすることをオススメしたい。自分には 合わないと思っているドライバーがあるとしたら 特に 全ての調整可能なアングルをチェックして欲しい。
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