
新・ゴルフルール|2019年 要約版

このルール改定の目的と狙いは ルールの簡潔化によって より分かり易く親しみやすいルールにすることとプレーファーストの促進である。しかし、旧ルールに対する十分な知識がある者は まず始めに 旧ルールに従って プレーをすると違反の危険性がある変更を良く認識する必要があるだろう。加えて 旧ルールでは 違反だったが 新ルールでは 許されることに どのようなことがあるのかを知ることも大切なことでしょう。早く新ルールに馴染んで ゴルフを楽しむために このページを役立てて頂ければ 幸いです。
♦ コース内のエリアの名称
ゴルフは ティーイングエリアから球を打ち パッティンググリーンに切ってあるホールに球を入れることで 1 つのホールのプレーを完了するが ゴルフコースには 5つのエリアがあり それぞれのエリアで異なるルールが適用される。そのエリアは 以下の通りで その呼称が 一部 変更された。新たな用語の説明は 以下の通りだがコース外のエリアは 何れにしても アウトオブバウンズ (略して OB) である。


コース内の 5つのエリアは 図の (1) 〜 (4) と それ以外の全てのエリアである (5) ジェネラルエリアから成る。新ルールでは ペナルティーエリア (penalty area) と ジェネラルエリア (general area) という新用語が それぞれ 旧ルールで使用された用語の ウォーターハザードと スルーザグリーンに代わって使われる。なお、詳細は この後 説明するが 新ルールでは (2) (3) (4) のエリア内での禁止行為が 一部 緩和され 分かり易く プレーし易くなった。
♦ 違反の危険性があるルール変更

但し、目印なしに ドロップを行なった場合は ドロップしたボールが最初に地面に落ちた所が救済の基点になり その救済の基点をベースに 救済エリア内に球が止まらなかったと判断される場合は 再ドロップが必要になる。(規則 17.1d (2)/1) つまり、正確に言えば 少しでも ボールがホールに近付く方向に転がれば ドロップのやり直しが要求される訳だから 目視でのドロップは ルール違反を犯し易い状況を生じさせる行為である。ティペッグなどの目印を置くことが 以上のことからも 推奨される。
救済に関わるルール変更以外にも ルール違反を誘発するルール変更が幾つかある。例えば、赤杭のウォーターハザードでは ピンまで等距離の対岸の基点から 2 クラブレングス内のボールドロップが許されたが 赤杭の PA では 対岸のドロップの選択肢はなく 間違って そうしたドロップで プレーをした場合は 2 打罰か 競技失格の何れかになる。また、旧ルールでは パッティンググリーン上の球を誤って動かすと 1 打罰で 球を元の位置に戻して プレーしなければならなかったが 新ルールでは 無罰で 球を元の位置に戻して プレーすれば良くなった。一方、旧ルールでは 自然に球が動いた時は 如何なる場合も 新たに球が止まった所からプレーすることになっていたが 新ルールでは 球をマークし リプレースした後に動いた場合は 自然に動いた球でも 元の位置に戻すことになる。元に戻せば 無罰であるが 間違えて 戻さずにプレーすれば 2 打罰になる。
♦ 禁止行為の撤廃と緩和
禁止行為の撤廃と緩和という観点から 最大の変更は グリーン上でのプレーに関わるものであるが その点について まずは 少し詳しく解説しておこう。
なお、新ルールの下で PA は 原則 赤杭と赤線で示されるが 境界線が黄色杭と黄色いラインで示されることもあり 前者は レッド PA、後者は イエロー PA となる。但し、PA は 黄色杭にする特別な理由がある場所以外は 赤に指定するよう推奨されるから 殆んどの PA は 赤杭と赤線で示されることになる。ご存知の方が多いと思うが 両者の違いは 旧ルールの赤杭と黄色杭の概念に基づく違いである。つまり、どちらのエリアも そこにボールが入った場合は 1 打罰で 救済を受けられるものの どのような救済が受けられるか 即ち その救済の選択肢が赤と黄色で異なると言うことで レッド PA の救済は ボールが その境界線を横切ってゾーンに入ったポイントから 2 クラブレングス内のホールに近付かないエリアにドロップするか ゾーンに入ったポイントと ピンを結んだ後方線上にボールをドロップすることが許される。イエロー PA の場合は 後者の選択肢か 元の場所に戻ってプレーをするか (レッドの救済の選択肢でもある) の何れかになる。
♦ その他の重要なルール変更
その他の重要なルール変更だが 二度打ちは ball (accidentally) struck more than once と 英語版 ルールブックに記述されている通り 一回のストロークで 二度以上 誤って 球をヒットした場合のことで 旧ルールでは 1 打罰だったが 新ルールでは 無罰に。故意の二度打ちは 考え難いが ルール上は 2 打罰になる。また、打った球が自分 または 自分のキャディや携帯品に当たった時は 1 打罰が旧ルールでは 科されたが 新ルールでは 無罰に。マッチプレーの対戦相手や そのキャディに当たった場合も 無罰であるが 対戦相手は そのプレーをキャンセルする権利を有する。ピッチマークに食い込んだ球に係わる 旧ルールの救済は フェアウェイ もしくは フェアウェイ並みに芝を短く刈ってある所に限って 自分の球が作ったピッチマークの中に その球があることが確認できれば 球を綺麗にしてから ホールに近づかないようにして その箇所に出来るだけ近い所に 球をドロップする という救済が受けられたが ローカルルールで定めない限り その他のエリアでは 救済が受けられなかった。それが 新ルールでは バンカーと PA を除く 全てのエリアで この救済を受けられるようになった。他にも、距離測定器の使用許可、プレーに適さない球の交換、損傷したゴルフクラブの使用と交換、キャディの役割に関わるルール、捜索中に誤って球を動かした時の罰則、球の捜索時間の上限 (5分から 3分に短縮)、前進 2 打罰のローカルルール、1 ホールの最大スコアの設定、スピード プレーの義務化、プレーヤーのエチケット違反に対する罰則などに係わる大きなルールの変更がなされた。