(1) 地面に少しくっ付いている ターフ:新ルールの規則 15.1 には ルースインペディメント(英語表記 Loose Impediments)に係わるルールの記述があるが、そこには ルースインペディメントは どこにあっても (anywhere on or off the course) 罰なしに取り除くことができると記されている。一方、旧規則 23 ルースインペディメントには「ルースインペディメントと球の両方が同じハザード内にあるか、または そのハザードに触れている場合を除き、どのようなルースインペディメントも罰なしに取り除くことができる」と記されていたので大きな違いがあった訳だ。つまり、ペナルティーエリアやバンカー内のものでも罰なしに取り除くことができるようになったのである。ただし、ルースインペディメントの定義に変更はない。以下は ルースインペディメントと そうでないものと区別する基準を纏めたものである。
ルースインペディメント |
そうでないもの |
石、木の葉、木の枝、動物の糞、ミミズ、虫類、その他類似のもの、その放出物や堆積物 |
固定されているもの、生長しているもの、地面に固くくい込んでいるもの、球に付着しているもの |
砂とバラバラの土は パッティンググリーン上にある場合は ルースインペディメントだが、それ以外の場所ではルースインペディメントではない。 |
雪と自然の氷 (霜を除く) は プレーヤーの選択でテンポラリーウォーターかルースインペディメントとして処置することができる。露と霜はルースインペディメントではない。 |
つまり、上のテーブルにあるように 石や小枝などでも土に深く埋まっていて固定されているもの (solidly embedded / fixed) や成長しているもの、そして、ボールに付着しているものなどは ルースインペディメントに該当せず、そうしたものを取り除けば ライの改善に該当する行為として 二打罰が課される。取れかかったターフ、折れかかって一部が木に付いている小枝などは ルースインペディメントに該当しない。また、大きな石に関しては それを取り除くのに大変な労力を要してもルースインペディメントであり 取り除くためにプレーを不当に遅延しない限り それを取り除くことができる。スロープレーの規定に抵触しない限り、大きなルースインペディメントを取り除くのをギャラリーやキャディー、同伴競技者などに手伝ってもらっても良いとも規定されている。
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(2) 妨害物:英語の loose には もともと固定されていないという意味があり 良く耳にする言葉で その意味は ご存知の方が多いと思うが impediment という言葉は あまり一般的には使われない言葉だから 始めて耳にする人も少なくないでしょう。障害物とか妨害物という意味があるが 進行を妨害するとか邪魔をするという意味の動詞 impede の名詞形の一つで 関連する言葉には 比較的良く耳にする impedance(交流抵抗)という言葉がある。なお、障害物というゴルフ用語には obstruction という単語が使われ、動かせる / 動かせない には movable / immovable という単語が使われている。以上が関連英語に係わる説明だが、以下にルースインペディメントに関する知識として知っておきたいことの中から重要なものを 纏めてリストアップしたので確認して下さい。
① 大きな石でも地面に埋まっておらず動かせるものは ルースインペディメントとなる。 |
② 一部が地面に埋まった小石でも、簡単に動かせるものは ルースインペディメントとなる。ただし、大部分が埋まった 英語では solidly embedded と表記されるものは 地面の一部と考えられ ルースインペディメントではない。 |
③ 虫や昆虫の場合は 一部が地面に入っていてもルースインペディメントである。 |
④ 砂や土は パッティンググリーン上にあるものを除き ルースインペディメントにならない。 |
⑤ 一部が地面や木に付いている芝や小枝もルースインペディメントではないので、これを取り除けば 二打罰のペナルティー。 |
⑥ 氷や雪は ルースインペディメント(または テンポラリーウォーター)扱いとなる。ただし、霜や露は 手やタオルなどで取り除けば、その限りにあらず、ペナルティの対象。 |
⑦ ボールが動いている場合、そのボールの動きに影響を及ぼすかも知れないルースインペディメントを取り除いてはならない。 |
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(3) 二打罰:上述の様に ルールに定める例外のケースを除き ルースインペディメントは 罰なしに取り除くことができるとなっているが ルースインペディメントを取り除いた結果、ボールが動いてしまえば グリーン上にあるボールには 例外規定があるものの 原則 一打罰が課される。ボールを動かしてしまった場合は それを元あった場所に戻してプレーしなければならず、それを怠れば 誤所からのプレーで二打罰が課される。ただし、合計三打罰にはならない。なお、ルースインペディメントでないものでボールの近くにあったり、プレーの線上にありプレーに影響を及ぼすものを取り除いた場合は 二打罰が課される。
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(4) ウェッジの素振りでカラーにあるボールを誤って動かしてしまうこと:すでに説明したが、新ルールでは ハザード内にあるなしに関係なく ルースインペディメントを取り除くことが出来るようになる。一方、ボールが動いた時の罰則適用範囲が縮小されることも大きな変更の一つだ。グリーン上のボールに対しては その理由に関係なく 誤って動かしてしまった時の罰則がなくなった。加えて、ボールの捜索中にボールを動かしてしまった時、ソールをしたり 素振りをしたタイミングでボールが動いたが 動いた原因がプレーヤーにあるとは考え難い時などにプレーヤーは無罰になる。つまり、ウェッジの素振りをしたタイミングでカラーにあるボールが動いても ボールの動いた原因がプレーヤーになければ 無罰であるが、このクイズの回答としては ウェッジの素振りがボールが動いたことの直接の原因と言うことで ルール違反の行為とする。
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