アプローチショットの意識改革
♦ アプローチショットのお手本
下のイラストは アプローチショットのお手本的なものであるが これからも分かるように アプローチショットで大切なことは クラブの振り幅 (1) 〜 (5) をコントロールすること そして クラブヘッドより先に もしくは 一緒に 手が動くイメージでクラブを振ることである。球を上げようという意識が働くと (2) の辺りで 手が止まり易いものだが 球を打った後も イラストの (3) - (4) - (5) と 手を止めずに クラブヘッドと一緒に ターゲットの方に手を動かすと言うことだ。その為には 球を上げることを考えずに パターを手に持って それで ボールをターゲットの方に飛ばす そんな意識で クラブを振ってみることである。
♦ イメージの作り方
パターで ボールをターゲットの方に飛ばす? 勿論、アプローチには ウェッジ(場合によっては ショートアイアン)を使う訳だが パターを手に持っているイメージで クラブを振ることで ウェッジをスイングすると悪い癖が出る人は それを修正できる可能性が高いのだ。まず、1) コックがコンパクトになり バックスイングが小さくなること、そして、2)ボールを上げようと意識したウェッジのスイングで起こりがちな(極力 避けたい)リストの動きを抑制することが出来ることである。パターでボールを打つようにクラブを振っても 自然とボールは 上がるが ボールを上げる意識は 影を潜め フェース面を変えずにスイングをする意識が強くなるはずだ。結果、ウェッジで ボールを柔らかく上げようと意識した時のスイングとは 異なるスイングになり ボールを確りフェース面で捉えられる確率が高くなるのである。
また、パターのアイデアでは 上手く行かない人には 次のアイデアを試して欲しい。それは 水の入ったバケツをイメージする方法だ。右図のように 水の入ったバケツを両手で持って 腕を振った時、腕の振りを急に止めれば 水は 溢れてしまう。溢れないようにするには 腕の振りの加速・減速をゆっくりすることだが、アプローチショットで 球を打つ時も同じように 腕の振り方をバケツの水が溢れないようなスタイルにしてやれば 失敗は 激減する可能性が高い。
さらに、パターで打つイメージと 水の入ったバケツを振るイメージをダブらせるようにして クラブを振るのも一案。そうすると 必然的に コックは 小さ目になり 腕の振りに頼らない ペンデュラム・モーションのスイングになるはずである。そんなイメージで(但し、ウェッジを使って)チップショットや ピッチショットを打つのだ。ポイントは パターを振るイメージ and/or 水の入ったバケツを振るイメージを使うことである。そんな意識改革をして アプローチショットを打つこと。
球を打つ前のダウンスイング 即ち (1) ~ (2) で 力が入って スイングのスピードを急いで上げ インパクトの直後に 肩と腕 そして 手の動きを止めてしまえば バケツは イラストのような動きをし 水は 溢れてしまう。そうならないように 腕の振りは (4) ~ (5) で ゆっくり 減速する。5 ヤードとか 10 ヤード程度先のターゲットに ボールを飛ばし過ぎないように 柔らかく球を落としたい時は クラブヘッドを ゆっくり動かす必要がある。手首の動きを抑えて (1) ~ (4) まで 一定のスピードで腕をゆっくり振り 手を動かし続けることが出来れば クラブヘッドは 手より少し遅れて出てくる形になり クラブヘッドと球がクリーンにコンタクトする確率は 格段に高くなるだろう。
もう少し説明を付け加えると 手首の動きを抑えるには テイクバックで 左肘は もちろんのこと 右肘も ほとんど曲げないようにして 腕の三角形の形が崩れないフォームでクラブを振って ソールが滑るくらいの緩やかなダウンブローでクラブヘッドを落としてやるのが理想である。パターを持っていることをイメージすることで コックを抑える意識をしなくとも それが自然とやれるようになる可能性は高い。イラストは その腕の三角形のイメージを示したものだが その三角形を維持して ゆっくり腕を振るようにすれば 体と手の位置関係を認識し易くなり 大きな筋肉を使って クラブの動きをコントロールできるようになるだろう。
♦ 球の位置とクラブの落とし方
また、常に 気をつけて欲しいのが球の位置。右図のように オープンに構えたスタンスの両足のつま先中央より左(オレンジの位置)に球を置く人が少なくないようだが それでは 頭の位置や体重の掛け方にもよるが 背骨のライン 即ち スイングの軸より左(前)に球が来ることになる。球は オープンに構える前 つまり スクウェアに構えた状態の両足の中央から右足のかかとの間(グリーンの範囲内)に置くのが正しいポジションだ。球を左に置き過ぎると 無理な調整をしない限り 球をスイング軌道の最下点の前でクリーンに打つことは 難しくなるから要注意。低く出すチップショットで転がしたければ 球は より右側に、逆に 球を上げて打ちたければ その度合いに応じて球を左に置けば良いことになる。ただし、繰り返しになるが 図のオレンジの中に球を置かないことが原則である。
加えて、クラブを落とすポイントとクラブの落とし方にも注意を払って欲しい。ショットの時に クラブヘッドが アドレスした時の位置に戻り クラブのリーディングエッジがボールの真下の芝にコンタクトするイメージ、即ち、右図(1)のようにクラブをダウンブローに落としていく人が居ると思うが そのイメージでは ミスが多くなるだろう。少しでも手前にクラブが入れば ダフってしまう可能性が高くなる。そうではなく 右図 (2) のように ちょうど球一個分くらい球の先の芝に クラブのソールの底が軽くぶつかるような緩やかなダウンブローで クラブを落とすのが 正しいチップショットの打ち方のイメージである。この時に クラブのリーディングエッジが 芝に当たるようにするのではなく ソールの底が地面に軽くぶつかるよう 手の動きを止めずにクラブを動かし続ければ クラブの抜けが良くなり ショットのリズムも良くなるだろう。パターを手に持っているイメージで クラブを振って 鋭角に ダウンブローに クラブを落とす人は 居ないと思うが そうなっていないことを確認して下さい。
♦ 意識改革
以上のようなアイデアとイメージは 正しいクラブの振り方、クラブヘッドの落とし方を実践するのに必ず役立つと思うが キーポイントは ダウンスイングの後に すぐに手の動きを止めないこと。多くの人は (a) バックスイング (b) ダウンスイング (c) フォロースルーからフィニッシュの意識の配分が 3 : 6 : 1 のように ダウンスイングに 集中する傾向があり それ故に ダウンスイングのスピードが速くなり過ぎ ボールを打つと直ぐに 体や手の動きが止まる傾向にある。そこで 自分の意識が どうなっているのかを 一度 良く考えて欲しいのだが もし 同じような傾向があるとしたら 考えて欲しいのが (a) 3 : (b) 6 : (c) 1 のような意識を (a) 3 : (b) 3 : (c) 4 的なものに変えることである。そんな発想で腕を振れば ダウンスイングの後 フォロースルーでも 暫くは 手の動きを止めないと言うことが出来る可能性は 高くなるだろう。その上で 腕とクラブの振り幅を決め その振り幅でスイングすることに集中することだ。練習では 様々なチェックポイントを意識しながら球を打つことも必要だが、実戦では シンプルに イメージした腕とクラブの振り幅でスイングすることだけを考えて集中する。そんな意識でショットに臨めば 雑念を排除できるから アプローチで成功する確率は 格段に高くなるだろう。
以上、正しい手の動かし方を身に付け、ショットの時に考えるのは シンプルに パター and/or バケツの水、そして、振り幅だけ。それに集中すれば グリーンを外しても 簡単に寄せて ワンパットで入れることが出来るケースは 断然 多くなるだろう。