砲台グリーンのアプローチショット
♦ 転がし上げるショット
ボールを転がし上げて行く方法は 斜面の傾斜が 比較的 緩やかで ボールを落とそうとする所の傾斜が 一定 且つ ボールの跳ね方が予測し易い場合に 魅力的な選択肢になる。ただし、狙い通りに ボールが打てても 予想通りにボールが転がらずに ピッタリ 距離が合わないリスクは ある程度 覚悟しなければならない。予想通り行かない誤差の範囲が 1m くらいなのか 3m 以上になるのか。他の選択肢の難易度やリスクにもよるが その辺りが 決断の分かれ目になる処だろう。ただし、転がし上げる選択肢は 大きなミスにつながる可能性が 後述する ボールを上げるショットに比べ 一般的に 低くなるというメリットがある。下の動画は 名手 トム・ワトソン (Tom Watson) が タイトライの コレクションエリアを設けるのが 昨今のコース デザイナーの間では 流行りになっており そうしたコースでは ボールを転がし上げるテクニックの有用性が高まっているとして そんなボールの打ち方を解説している。まずは 英語の動画だが それを見て欲しい。
とにかく ボールを転がし上げる訳だから ボールが上がり過ぎない ロフトのあまりない クラブを使う必要があるが どの位の低さのボールを どこにぶつければ良いのかを 正しくジャッジする判断力も 意図した通りに ボールを打つテクニックの習得と共に 練習で身に付ける必要がある。一度 8 番とか 7番アイアンを使って 動画の花道のような斜面で練習して見て欲しい。ボールの打ち方は ちょっと強めにチップショットをする要領だから 自分が普段やっているチップショットの打ち方で対応すれば良いが、普通は ボールをスタンスの中央か それよりも 少し右に置き 幾分 左足体重で 頭を右に残し 動画のように 低いフィニッシュで 払うように打つショットだ。手打ちにならないように 大きな筋肉を使うこと。多少 ライが悪くても 然程 影響しないショットである。
♦ ボール上げて打つショット
ロフトの大きなクラブで ボールを上げて グリーンの上に 直接 落とすショットは ボールが落ちてから どのように転がるのかを想像し易く 狙い通りに ショットが出来れば 高い確率で ボールは ピンの近くに止まるように見える。従って、ボールのライやグリーンの硬さ、ピンの位置などに関係なく 圧倒的に 多くの人は グリーンの手前にボールを落として転がし上げるショットよりも そちらを選択する傾向がある。
しかし、実際に そうしたショットをしても 予想通りに ボールが転がったり 止まったりすることばかりではない。加えて、ボールを柔らかく上げて打つのが難しいライでは 狙い通りに ショットが出来る確率は その人の技量にもよるが ライの悪さに比例して 驚くほど低下する。さらに、ピンがグリーンのエッジの近くにある 所謂 ショートサイドからのアプローチでは グリーンにボールを落として ピンの傍にボールを止めることが物理的に出来ないこともある。ショットのバリエーションが多く ボールを非常に高く上げるロブショットやスピン量を多くして止める方法で それをすることが可能な場合もあるが そうしたショットの高等技術を習得するのは 簡単なことではないし 中途半端な 習熟度で使うと大きなミスにつながるという問題もある。
特に、高いボールは 距離のコントロールが難しく 少しショートすれば ボールが戻って来るような砲台グリーンでは 少しのショットのミスのダメージが大きくなる。それが分かっている場合は 心理的なプレッシャーが大きくなり 微妙なコントロールは より難しくなるから そんなショットが成功する可能性は 非常に 低くなると言わざるを得ない。また、ある程度 ショットが上手く打て グリーンにボールが乗ったとしても ロングパットが残ることも多くなる。それでも 多くの人は 転がし上げるという選択肢を考えもせずに プレーをしているのが実態だ。それは ボールをグリーンに転がし上げる選択肢の成功率が 想像以上に高く 安全性も高いことに気付いていないので 練習もしていないし そんなショットは 頭にないからである。
♦ 応用範囲を広げる
とは言え、砲台の傾斜がきつい場合、転がし上げる選択はなくなる。45°以上の傾斜の場合は ボールが前には転がらないし、30°以上の傾斜でも ボールの転がりを コントロールするのは 難しくなる。それでも、傾斜が 30°以下で 深いラフでなければ 余程のことがない限り 転がし上げるショットが有利になることは 少なくない。ボールのライが 左上がりであれば 基本的に コントロールは し易くなる。いずれにしても 普段から 7番、8番、9番アイアンなどで 10ヤード、20ヤード先にボールを落とす練習をしておくと良いだろう。当然ながら 転がすショットは 砲台グリーン周りの応用に限られる訳ではないので 積極的に練習し 実戦でも試して 様々な状況下での使い方をマスターして下さい。