ノールック・パット
♦ ノールック打法のリサーチ結果
GOLF MAGAZINE が行ったリサーチは 40人のアマチュアゴルファー(ハンデ 8 〜 36)を 2 つの 20人のグループに分けて二通りの打ち方をしてもらい、そのボールが止まった場所からカップまでの距離の平均値を比べたもので、ロングパット、ショートパット、何れの場合もカップを見ながら打った方が良い結果、つまり、ボールがカップの近くに止まったという結果が出たのだ。(以下参照)
パット概要 | (A) ボールを見て | (B) カップを見て | (B) / (A) |
ロングパット (8.4〜12.9m ) |
92.5cm | 70.0cm | 75.7% |
ショートパット (0.9〜2.4m) |
30.0cm | 22.5cm | 75.0% |
表中の数値(cm)は パット後のボールからカップまでの距離の平均値であるが、8.4m 〜 12.9m のロングパットでは ボールを見て打ったパットが 92.5cm だったのに対し、カップを見て打った、所謂、ノールック・パットは その 75.7% の 70.0cm という結果になったのだ。また、0.9m 〜 2.4m の ショートパットでも 同様な結果が出た。ロングパットを打った後の次のパットの距離が 92.5cm と 70.0cm というのはかなり大きな差である。3 パットをする確率に大きく影響するはずだ。
♦ ノールック打法の長所・短所
確かに、ボールを見ながらストロークをする場合は カップまでの距離と方向は頭の中にあるイメージ(直前に見たカップの位置の残像のようなもの)が頼りだから、そのイメージがいい加減な場合には それが ある意味 迷いを生じさせる要因となる。従って、ボールを打つ直前に ストロークを調整するような打ち方をすることになり兼ねないのだろう。一方、ノールック打法の場合は カップを見ながらストロークをする訳だから ボールを打つ直前にカップの位置、カップまでの距離ということで迷いが生じてストロークを調整するような打ち方はしないはずで、それが長所であり、ボールを見てカップを見ない打ち方との差になっていると言えそうだ。
また、ボールを見ながらストロークをする場合は パターヘッドの動きがよく見えるのに対して、ノールック・パットでは それが見えないことも大きな違いである。パターヘッドの動きが目に入れば、ストロークの途中でその動きに反応することになるが、それが目に入らなければ、打つ前に決めたストロークの大きさや強さを実現させることに注力するだろう。いずれにしても、ノールック・パットの場合は 間違いなくボールをヘッドの芯で捉えることが出来るだろうかという不安を感じながらストロークをしなければならず、その点をネックに感じる人は多いだろう。つまり、距離に対する疑念はなくなるし、途中でストロークを調整しようという動きは激減しようが、ボールを確り打つという意味での不安が生じ兼ねず、それが ある意味 短所である。どちらの不安や疑念の要素が大きいのかは 人それぞれであろうが、前述のリサーチでは、多くの人にとって ノールック・パットの長所によるメリットは その短所によるデメリットよりも大きく、好結果になっているのだと言えよう。実際に 自分でノールック打法を試せば確認できると思うが、予想以上に良い結果になる人が多いのである。
♦ ノールック・パットをする選手
実は、トップ・ツアープロにも この打ち方を取り入れている選手が居る。当時、世界ランク 1位になったジョーダン・スピース (Jordan Spieth) である。以下は その事実を紹介し 解説している(英語の音声が出る)動画であるが、ここで それを見て欲しい。
♦ 研究課題
ノールックのようなパッティングスタイルは そのまま取り入れないにしても それから何かを学ぶ発想を持って研究対象にして欲しいものだ。例えば、ボールを見るのでもなく、カップを見るのでもない方法もある。それはボールとカップの間の(ボーリングレーンにあるスパットのような)点を見てパットをする方法だ。その場合は どのくらい先に その点を設定するかがポイントになるが、ロングパットとショートパットで ボールからその点までの距離を変えてみるなども一案である。いずれにしても、ボールを見ずにカップを見ながら打つノールック・パットをヒントにして 色々と研究し試してみる価値があるアイデアは 幾つもあるだろう。