ワンボール・ルール|ルール解説
一般的に プロの競技は ワンボール条件 (One Ball Condition)、つまり、ワンボール・ルールのもとで プレーされる。ワンボール条件とは 正規のラウンド中 違うブランドや違うモデルのボールへの取り替えを(数字だけが異なるものは 同じブランド・モデル球であるが)禁止するルールで、ルールブックの付属規則 I の (C) 競技の条件 1 c に その詳細が記載されている。
つまり、Titleist Pro V1 でプレーすると宣言し、ラウンド中に Callaway のような 違うブランドのボールには勿論のこと Titleist Pro V1x のような モデルの異なるボールにも変更出来ないとするもので、それにストローク・プレーで違反した場合は違反してプレーしたホールが 1ホールであれば 2打罰、違反が数ホールに及んだ場合は、4打罰が科される。そして、違反が判明したホール以降は 元のボールに戻してプレーをしなければならず、それを怠れば、失格となってしまうと規定されているのが普通である。(ただし、罰則の規定については 競技委員に委ねられているので 必ずしも罰則が上述のようになっていない競技もあり得る。)なお、数日に及ぶ競技の場合は ラウンドごとに異なるブランド・モデル球に変更しても それぞれの 1ラウンドを ワンボールで完結すれば ワンボール条件に違反したことにはならない。
ワンボール・ルールか否かに係わらず、プレーヤーは、OB、ロストボール、ウォーターハザーでボールを 紛失したり、ボールが傷ついてプレーに適さない状態になるなど、ボールの交換が許される場合を除き、ティーイング・グラウンドからプレーしたボールでホールアウトしなければならないと 規則 15-1 で定められているが、ホールごとに新しいボールに交換することは出来る。従って、ワンボール・ルールのなかった時代は 飛距離が出ると有利な ロングホールでは ツーピースボール、スピン性能が重要になるホールではバラタの糸巻きボールと、ホールごとにボールを使い分けるプロが増えた。そして、そんなバラタ・糸巻きボールが良く使われた時代の 1989年に生まれたのが ワンボール・ルールである。
しかし、近年は Titleist Pro V1 のように 飛距離とスピン性能の両方に優れたボールが出現したことで あまり意味のないルールになったと言える。殆どのプロは 契約会社のボールしか使わないし、ボールは 契約先から支給されるだろうから、そうした意味から ワンボールで プレーをするのが むしろ 当たり前のことになっていて、変更して欲しいと言うニーズも ないだろう。
一方、JGA は 2009年度から アマチュア競技には ワンボール条件を 採用しないと決めたので、 アマチュア競技では 公認球であれば ホールごとに使用球を取り替えても良くなった。プロのように契約会社からボールを支給されることのないアマチュアにとっては 競技時に 同ブランド・モデルのボールを 沢山準備する必要がなくなったので、非常に助かる決定である。シングル・ハンディキャップで競技志向のアマチュアの多くは マルチレイヤーのウレタン・カバー・ボールを 好んで使用していると思うが、セール品でなければ かなり高価だから ワンボール・ルールは 結構 負担になるはずだ。
ところで、アマチュア・ゴルファーに どの程度のブランド・ロイヤルティーがあるかは ボールのメーカーにとっても 興味のあるところであろうが、アマチュア・ゴルファーの場合は 経済性を考える人が多く、好みのボールが 2 - 3種類あって その中からセールで安く買えたものを使うというようなことが多いはずだ。従って、キャディーバッグには 2 - 3種類ボールが入っている人が殆どだろうから、ワンボール・ルールは負担になるはずで、ワンボール条件を採用しないと決めた JGA の決定は 極めて適切な判断だったと言えよう。