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スロープレーのペナルティー|LPGA のルール裁定

スロープレー2010年国内女子メジャーの初戦「ワールド・レディス・サロンパス・カップ」の初日に 事件は 起こった。馬場ゆかり、ニッキー・キャンベル、三塚優子選手のグループが 前のグループと離れてしまう スロープレーで アウト・オブ・ポジション (out of position) となり、競技委員から スロープレーに対する警告がなされた。具体的には 7番のティーショットを 打った時点で 前のグループとの差が開いていることが競技委員から 同グループの選手に警告され、7番を 終えた時点で その差が さらに離れたため 競技委員は 8番から 所要時間の計測に入った。所要時間計測に入ったことを 同グループの選手は知らなかった様子だったが、8番ホールで プレーの遅かった三塚選手に 9番ティーで 競技委員から 2打罰になる(そして、不服があればホールアウト後に話を聞く)旨が伝えられたが、その裁定に不服だった三塚選手は 9番ホール終了後に 私的理由による 棄権を選択した。

ルールブックの規則 6-7 には 不当の遅延 (undue delay) とスロープレーに関する規定があり、そのルールに違反した場合の罰則は ストローク・プレーで 2打罰、マッチ・プレーでは そのホールの負け、加えて、その後 更に同じ違反があった場合は 競技失格と定められている。グループに遅れが生じている状態を アウト・オブ・ポジションと言い PGA や LPGA のトーナメントでは 前のグループとの間が(大雑把に)1ホール以上開いた時点で アウト・オブ・ポジションの状態と定義されており(実際には 細かく遅延に該当する状況の記述がある)スロープレーに対する警告がなされ、前述の所要時間計測となって、遅れが認められた選手には ペナルティが科される。

パッティングLPGA の不当の遅延は 1) パットを含め 1打に 60秒以上を要した場合、または、2) 1ホールに要した時間が 1打平均 30秒の合計を 10秒以上 上回った場合と定められている。つまり、2) の罰則に関しては パー 4 のホールを パーでホールアウトした選手の要した時間が 30秒 x 4 + 10秒 = 130秒を上回った場合に ペナルティが科されるが ボギーなら 30秒 x 5 + 10秒 = 160秒 までは ペナルティが科されないというものだ。さらに もし バーデーで ホールアウトした場合には 30秒 x 3 + 10秒 = 100秒しかなく、それを超えた時間を要すれば ペナルティが科されると 少し合理性を欠いたものになっている。ただし、50センチ未満のパット 所謂 タップインで 10秒以下で打ったショットの所要時間は 計算に入れないと決められている。

例えば、1打目に 25秒を要し、2打目に40秒、3打目のパットに 40秒を要して バーディーを出した選手は トータル 105秒を要し(101秒以上だから)ペナルティの対象になるが、もう一方の選手が 仮に 1打目に 25秒、2打目に 40秒、3打目に 20秒、4打目に 40秒、5打目に 30秒 のボギーで ホールアウトし トータルで 155秒を要しても(160秒以下だから)ペナルティは 科されないと言うことになる。さらに、ダブルボギーとなれば 180秒まで許されるが グループのスロープレーの原因になっているのは 誰かということを考えた時に ちょっと おかしなルールではある。

当該ルールの所要時間測定は 選手がショットを始めるのに不都合がなくなった時点から(10秒程度の猶予が与えられて)開始されるが、距離や風の状況などを チェックし、クラブを選択するプロセスに要する時間なども この許容時間に含まれると厳しいものだ。また、パットの場合は ボールマークを直し、ルースインペディメントを取り除く行為に必要と考えられるリーズナブルな時間が与えられており、その後に時間測定が開始されるとなっている。一般的には 選手がボールをグリーン上に リプレースした時から測定が開始されるはずだ。

いずれにしても、一旦 スロープレーに対する警告がなされれば 選手は(前述の 10秒程度の猶予は別にして)1打 平均 30秒以下で プレーすることを目安に決断、行動しなければならないし、どのようなことがあっても 1打 60秒を超えて プレーしてはならないので 極めて 不利な条件のもとで プレーをしなければならないと言うことだ。» LPGA の Pace of Play の規定(英語版)

さて、三塚選手の場合は 8番のショート・ホールのティショットに要した時間は 28秒、その後、グリーンエッジからのファーストパットが 75秒、返しのパット 約 1m も 75秒、最後の 50cm のパットは 20秒を要したと報道されている。従って、2度にわたって 許容時間の 60秒をオーバーしたことになるし ボギーに許される トータル 130秒を 198秒と 68秒も オーバーしたことになる。所要時間測定のタイミングなど 一般的に 当該ルールの適用には グレーな部分もある訳だが 今回の三塚選手のスロープレーの裁定は 遅れが明白で 当然とも言えるだろう。ただ、所要時間の計測をする場合は(通常は スロープレーの警告、即、時間計測ではないので)その旨を 選手に伝えることが望ましいとも思える。

不当の遅延、スロープレーのルールでは グループの遅れが誰の原因だったかと言うことには関係なく その罰則が定められているから 最初の遅れの原因になった選手へのペナルティが科されず たまたま 遅れてペナルティが科される選手には 不満が残ることは 理解できるが プロの選手であれば ルールの本質を 理解し 冷静に プレーすることができる判断力を 確り身に付ける必要があるのは 言うまでもないことだ。

なお、当該ルールでは ストローク プレーに限り、競技委員会は 規則 6-7 の違反に対する罰を 初回の違反 1打罰、2回目の違反 2打罰、その後 更に同じ違反があった場合は 競技失格 と修正することが出来るとなっており PGA の競技などでは 罰則が LPGA のそれとは 異なることもある。また、スロープレー防止を目的として、競技委員会は 競技規定 (規則 33-1) の中で 正規の 1ラウンドや 1ホール、1ストロークについて それぞれの許容時間の限度を決めることも含め プレーのペースについてのガイドラインを作ることが出来る という規定もあり、前述の許容時間とは異なる競技が プロ、アマチュアに係わらず あるので その点は 間違いのないよう。

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