ゴルフボールに係わるルール
♦ 適合球の使用
ゴルフの公式競技では 所謂 適合球(公認球)の使用が義務付けられているが、現在のルールには「委員会は プレーヤーの使用球は R&A 発行の適合球リストに載っている球でなければならないと 競技規定で定めることができる。」と規定されており、プロやトップアマの競技以外では 適合球を使用する必要はあるが 適合球リストに載っていることを競技の条件にすることを必ずしも推奨していない。アマチュアが参加するイベントや倶楽部の競技会などで 適合球リストに載っている球であることを競技の条件にすることは 委員会の自由裁量になっている。
いずれにしても、適合球の条件として、ボール(球)は 伝統と慣習に大幅に反する形状と構造のものであってはならないと表記されており、その形状、大きさ、重量、性能について 一定の条件を定めている。具体的には、ボールの対称性と 直径(1.680 インチ、42.67 mm 以上)、重さ(1.620 オンス、45.93グラム以下)、その飛びの性能(規定の条件下でボールを打った時の「初速」と「総合飛距離」が 一定の性能以下)において、定められた規格に合致するものでなければならない。これらの条件を満たし R&A と USGA に認定されたボールだけが 狭義の意味での適合球である。
一方、これらの条件を満たしていれば R&A もしくは USGA に認定されていなくとも 広義には 適合球である。そして、 前述のように市場には 正規の認定を受けていない適合球が出回っているのも事実である。そうした適合球を使った場合、プレーヤーは そのボールが規則違反と裁定されるリスクを負うことになる。とは言え、有名メーカーのゴルフボールは その全てが ディスタンス系の球を含め 適合球だと考えて良いだろう。ただし、昔から 市場には 認定を受けていないボールや性能特性が適合球の条件を満たしていないボールが出回っているのも事実である。知名度の低い小規模のメーカーには コストダウンのために認定を受けずにボールを販売しているメーカーもある。
要するに、市場には 上述の規格に合致する範囲内で ディンプルの数や大きさ、形状、また、素材や内部の構造などで 様々な適合球が出回っていると言うことだ。他のボールより飛ぶ といった印象を与えるボールの宣伝を良く目にするが、市販されている有名メーカーのボールは ほとんど全てが適合球だから ルールで定められた範囲内で 飛距離に重点を置いた仕様のボールであると理解すべきである。規則に定めていないボールの性能には スピン性能や打感、耐久性などがあり、飛距離を犠牲にせずに そうした性能の良いボールが ある意味 優れたボールと言うことになる。ただし、意図的に上述の規格外の飛ぶボールを製造し(殆どの場合、その事実を明言して)非適合球を販売するメーカーが昔からあることはある。» 詳細
♦ ホールアウトまでは 同一球
まず、プレーヤーは ティーイングエリアからプレーしたボールで そのホールをホールアウトしなければならない(規則 6.3a)というのが原則だが 球が紛失したり、プレーに適さないレベルの傷がつくなどの理由があれば その途中でも ボールの交換が認められている。加えて、新ルールになって、ドロップしたり、プレースしたりする救済を受ける場合にもボールの交換が認められるようになった。ルールで定められた条件を満たさないボールの交換や処理には 1打 もしくは 2打罰のペナルティが科される。(詳細後述)
グリーンに乗ったボールをマークした後に ボールを取り替える人を時々見かけるが、ボールがプレーに適さない状況でもないのに変更した場合は ルール違反で 2打罰が科される。そして、その入れ替わった別のボールは 2打罰を付加し インプレーとなるので そのボールでホールアウトすることになるが 最終スコアに その 2打罰を申告しなければ 失格になる。
♦ プレー中のボールの取り替え
ホールアウト後は 何時でもボールを取り替えることが出来るが、競技の場合は マーカーか同伴競技者に その事実を伝えてから ボールの交換を行うことが望ましい。一方、ボールがプレー中に カート道を跳ねたりして傷ついた時に その傷によってボールがプレーに適さない状況になったと判断されれば、そのホールをホールアウトする前であっても ルールに従って 別のボールに取り替えることが出来る。ただし、その時に ルールに従った処置をしなければ ペナルティーが科されてしまうこともあるので 注意が必要だ。
ボールが傷ついてプレーに適さない状態ではないかと感じた時は マッチプレーであれば 対戦相手に、また、ストロークプレーであれば マーカーか 同伴競技者に ボールの傷を調べる意思を伝えてから、傷のチェックをするプロセスに立ち会う機会を与えた上で、ボールの位置をマークし、ボールを拾い上げて 傷の状況をチェックすることが 旧ルールでは 要求されたが、新ルールになってその必要性がなくなった。
傷の状況をチェックする目的や自分のボールであることを確認する目的でボールを拾い上げた時に ボールを拭いたり、綺麗にするなどの禁止行為をした場合は 1打罰が科される。ただし、ボールを拾い上げる行為の最中に 不可抗力でボールに付着していた土や芝が落ちても無罰だし、また、土を取り除くことが確認のために必要な場合は 必要最小限の付着物を(無罰で)取り除くことが出来る。なお、この一連のプロセスでは 対戦相手やマーカーに そのボールを調べる時と リプレースする時に 立ち会う機会を与えなければならないと 旧ルールでは定めていたが、その必要が新ルールではなくなった。
ボールの表面が切れていたり、ひびが入ったり、変形しているのが見て分かる場合、そのボールはプレーに適さない状態であると言えるが、ただ単に (イ) 泥や他の物がボールについているとか、(ロ) ボールの表面に掻き傷やこすり傷がある、または (ハ) ペイントが剥がれたり色があせているという理由だけでは 当該ルールで言う 「プレーに適さない状態」 とは言えないので、その点も 良く認識しておくべきだ。
いずれにしても、ボールがプレーに適さないということが確認出来た場合は ボールを取り替えて ボールが元あった場所に新しいボールをプレースし、プレーを続行できる。傷がかすり傷程度でプレーに 必ずしも 適さない状態と言えない場合は そのボールを元あった場所に ボールを拾い上げる前と同じ状態になるように戻すことになる。勿論、前述もしたように ホールアウト後は 傷の状態の大小に係わらず、新しいボールに変更できる。
なお、極めて稀なケースであろうが、ストロークの結果、ボールがいくつかに割れた場合は そのストロークは取り消され、プレーヤーは 初めのボールがプレーされた所のできるだけ近くにボールをドロップし(ティショットの場合は リティー)罰なしで プレーをすることになる。
♦ ワンボール・ルール
現在、日本のアマチュア競技のルールでは 採用されていないルールであるが、ワンボール条件 (One Ball Condition) と呼ばれるルールのもとに競技が行われることもあり、それを 称して ワンボール・ルールの競技と言う。ワンボール条件とは 正規のラウンド中 違うブランドや違うモデルのボール(数字だけが異なるものは 同じブランド・モデル球である)への取り替えを禁止するルールである。ただし、数日に及ぶ競技の場合、ラウンドごとに異なるブランド・モデル球に変更しても(それぞれの 1ラウンドを ワンボールで完結すれば)ワンボール条件に違反したことにはならない。