ショットのレパートリー
♦ レパートリーを持つ意義
レパートリー (repatoire) とは 本来 劇団・演奏家などが 何時でも 上演・ 演奏できるよう準備してある 演目や曲目という意味の言葉だ。つまり、ぶっつけ本番で 出来るかどうかも分からないが やってみるショットでは レパートリーとは 言えない訳で 普段から 練習して ある程度の自信を持って使える何種類かのショットを持つことに 大きな意味があると言うことだ。
コースでは 様々な場面に遭遇する。例えば、狭くて OB や ウォーター ハザードが プレッシャーになるホールもあれば 右上がり、前下がりのライ、深いラフや顎の高いバンカーなどもある。そうした色々な状況下で ショットをすれば 練習場では上手く打てていたショットでも 失敗が多くなる。それには テクニカルな要因もあるが メンタルな側面 即ち 不安要因が 少なからず 係わっている。そうした ミス ショットにおける テクニカル要因と メンタル要因の関与という構図を頭に描いて レパートリーを持つとことの意義を考えて欲しいのである。テクニカルが不十分であれば 不安が大きくなる訳で そうした不安を消せる もしくは 最小限に抑えることの出来る「レパートリー作り」が望まれるのだ。下の写真のようなホールでは 左に 打ちたくないと思うだろうが そうしたショットが出難い打ち方が レパートリーにあれば プレッシャーは 大幅に 低減する。それが レパートリーを持つ意義なのである。
♦ 自己分析
そこで、まず 考えて欲しいのが 自分の強みと弱みである。どんな状況で どんなショットをする時に 成功する確率が高くなるのか。そして、その逆に どんな状況で どの様なショットをする時に ミスショットが出易いのか。成功率の高いショットは その人のレパートリーになっているショットだが ミスショットの出易い場面や ショットについては それに対応できるショットのレパートリーを持つ必要性が高いと言うことだ。つまり、どんなショットをレパートリーに加えれば ミスショットを減らすことが出来るのかを考え、練習して行くことが 効果的な練習法になる訳だが、練習課題を見つけて練習をする上で この「レパートリー」と言う考え方に 価値を見い出して欲しい。
その時に レパートリーの応用と言うことに意識を払ってみよう。つまり、どんなレパートリーを持って それをどのように使いこなすか。それこそが スコアと言う結果を左右するからである。このように、自己分析を行えば レパートリーの追加 そして レパートリーの応用という研究課題が見えてくる。
♦ レパートリーを増やそう
とは言っても、色々な打ち方や異なる球筋のボールを打つために 何通りものショットを練習して覚えるのは 自分には 無理と考える人も居ると思う。ところが、以下の二点を変えるだけで 実は クラブの振り方を大きく変えずに 自己流でも ショットのレパートリーを容易に増やすことが出来る。
スイングの大きさに関しては バックスイングとフィニッシュで 肩を大きく回転させ 腕を大きく振れば ボールの弾道は 高くなるし 逆に それを小さくして スリークオーターやハーフスイングのショットをすれば 低い弾道のボールが打てるのが原則である。ただし、どんなに小さなスイングでも 確り 振り切る 緩まないショットをすることが大切で 力を(ショットの間に アバウトに)加減しながら打たないことが重要だ。それをしていたのでは スイングのサイズを正確にコントロールしても 距離の精度が出ないばかりか ダフったり トップしたりする可能性も高くなるからである。また、バックスイングの腕の振りの大きさにマッチした 体全体の動きという点にも注目して欲しい。腕の振りを小さめにした時に 肩の回転が不十分になったり、コックを入れるタイミングが遅れたりなどのアンバランスが起き易いから その点に着目して バランスの良いスイングを学ぶ必要がある。その考え方を理解しさえすれば スイングの大きさをコントロールしてボールを打つことは ずっと容易になるだろう。
スイングの大きさをコントロールして 一本のクラブで色々な距離のショットが打てるようになったら それにクラブフェースの向きを色々変えることで どのようなボールが打てるのかを確認して見ることだ。まずは 自分の最も標準的なフルスイングのショットが クラブフェースの向きをオープンにしたり クローズドにしたら どのようなショットが打てるのかを良く研究して欲しい。そして、それが出来たら 小さめなスイングで フェースの向きを変えて打ってみよう。例えば、大きめなクラブと小さめなスイングの組み合わせで フェースをオープンにして打つショットなどは 利用価値の高いショットになると感じる人が多いだろう。
そして、色々なショットをある程度 練習で打ったら そうしたショットの中から 自分で打ち易く 利用価値が高いと感じるショットを見つけ出すようにしてみる。例えば、80% のスイングの大きさで フェースをオープンにして打つショットが打ち易いし 利用価値があると感じれば それを自分の得意なショットのレパートリーにするというアプローチである。言うまでもなく、レパートリーに加えると決めたショットは 練習場で ことあるごとに練習すべきショットである。
アイアンショットのレパートリーは 以上のようなことで 自分が打つことの出来るショットを良く認識し 整理していけば すぐに増やすことも出来るだろうが、あまり 一度に 沢山 増やすのではなく 少しずつレパートリーを増やすように心掛けた方が良いだろう。ショートアイアンとミドルアイアンを中心に 色々と試行錯誤して 自分のレパートリーのショートリストを作成して見よう。
一方、ドライバーやスプーンなどでも 2 ~ 3 通りの異なったタイプのショットが打てるようになると 大きな武器になるはずだから そうした(特に、フェースを少しオープンにして打つ)ショットについても アイアンの練習が一段落したら 挑戦してみると良いだろう。ただし、ドライバーやスプーンなどで あまり小さなスイングを練習しても 利用価値は 極めて低いはずだから フェースの向きやグリップを短めに持って打つショットなどを中心に 研究すべきであろう。
♦ レパートリーの応用
レパートリーのショットを普段からある程度練習しておけば それらのショットのイメージは 概ね 頭に入るはずだが 自分のレパートリーのショットについては 飛距離や弾道の特徴を出来るだけ定量的に 数字で把握すると良いだろう。加えて、ミスの傾向についても 良く分析して把握しておくと 大きな怪我をすることが少なくなるようなコース攻略も出来るようになるはずだ。
自分のレパートリーについての考え方が纏まり 練習を積んだら、場面、場面で 自分のレパートリーの中から どのショットを使うべきかということを強く意識して 常に ラウンドするようにしてみよう。ショットのレパートリーが増えれば コースでのイメージの作り方が異なってくるものだが それによって 心理面での変化も起きるだろう。つまり、ショットの選択肢が増えることによって(それぞれのショットの質の向上が必要ではあるが)不安が大幅に払拭される効果を実感出来るだろう。仮に、不安な場面が ちょくちょくあるとすれば そうした場面に対応できるショットのレパートリーが欠如していると言える。
このように ショットのレパートリーという発想を持って練習をし ラウンドすることで 冒頭でも述べたように コースマネジメントの観点からもワンランク上のプレーをすることが出来るようになることは 間違いないだろう。ショットのレパートリーを増やすこと、是非、挑戦して欲しいテーマである。