力積という概念と飛距離との関係
クラブヘッドがボールを打つ時の力 (F) は、クラブヘッドの質量 (m) と そのスピード (v) の積で、数字で表せば F = mv となるから、クラブヘッドのスピード (v) を上げて その力 (F) を大きくすれば ボールが遠くに飛ぶと考えるのが普通である。勿論、間違った考え方ではない。
しかし、力の伝達ということを考えると、その力がどの位の時間作用したかということを考える必要がある。そして、その概念を 物理学の世界では 力積 (Impulse) と呼んでおり、グラフと数式を使って説明すれば 右のようになる。力積 (I) は 力の大きさと力が働く時間を掛け合わせたものと言うことが出来、他の物体の運動量を 変化させる力の量は Ft = mvt となる。即ち、ゴルフのケースに当てはめると、どの位の時間 クラブヘッドがボールに接して力を伝えたかということが 飛距離に大きな影響を与えるということだ。
クラブヘッドがボールに接している時間を長くするためには クラブヘッドが加速している状態でボールを打つことで、クラブヘッドにボールが乗るようなイメージでボールを捉えることだが、加速の度合いが大きくなればなるほど その時間が長くなり クラブヘッドにボールが乗っている感覚も より明確に 出てくる訳だ。
つまり、コックが解けて クラブが リリースするタイミングを遅らせるように 所謂 タメの利いたスイングが出来れば 力の伝達が効率良く出来ると言うことだ。しかし、ヘッド・スピードを速くすることと 加速モードで打つこと の二つを両立させなければ 飛距離を最大限に伸ばすことは出来ない訳だから、体の回転、即ち、腰と肩の回転のメカニズム、そして、腕の振り方と コックのリリースのタイミングなどを総合的に最適化する必要がある。 勿論、コックのリリースだけを 遅らせるような(加速のことばかりを考えた)アプローチで距離を伸ばそうとするのでは 良い結果は出ない訳だから、その点は間違いのないようにして欲しい。