フォーボールゲームの魅力
♦ フォーボールゲームとは
フォーボールゲームは フォーサムのオルタネートショット形式とは 異なり 自分のボールを 18ホール 普通にプレーする形で ダブルスのチームゲームが進行する。そして、プロゴルファーの場合は 当然 ハンデなしの戦いになるが、アマチュアの場合は ハンデ戦で 行う方がむしろ普通である。普通のラウンド同様、個人のプレーとスコアがあり 同時に 異なるレベルのゴルファーがフォーサムを作り ハンデを付けてチーム戦のゲームを楽しめることもあって 欧米では 一般のゴルファーが 普段 仲間同士で頻繁に行なう 極めて ポピュラーなゲームである。下表は 4人の異なるハンデのプレーヤーが A/B 二つのチームに分かれて 9 ホールをハンデ戦のフォーボールゲームを戦った時の記録だが、この例を使って まずは ゲームがどのように行われるのかを説明しよう。
HL | HC | Team A | Par | Team B | W/L | ||
Player | P1 | P2 | - | P3 | P4 | - | |
HC | 5 | 13 | 7 | 11 | |||
1 | 4 | 4 | 4/3* | 4 | 4 | 5 | +1 |
2 | 5 | 4* | 5 | 4 | 5 | 4* | - |
3 | 6 | 4 | 4 | 3 | 3* | 3* | E |
4 | 1 | 5 | 6/5 | 4 | 5/4* | 6/5 | -1 |
5 | 7 | 5 | 5 | 5 | 4* | 6 | -2 |
6 | 8 | 3* | 6 | 4 | 4 | 4 | -1 |
7 | 9 | 3* | 4 | 3 | 4 | 3* | -1 |
8 | 2 | 5 | 5/4* | 5 | 5 | 6/5 | E |
9 | 3 | 5 | 5/4* | 4 | 5 | 6/5 | +1 |
Total | 38 | 44/ 40 |
36 | 39/ 38 |
43/ 40 |
+1 |
フォーボールゲームでは ベストボール 即ち 二人の良い方のネットスコアのボール (*) がカウントされるルールだが、上の例では 1番ホールでは ハンデ ホールで パーを取った P2 の ネットバーディーにより、チーム A が 1 アップ (+1) になっている。そして、途中で逆転されているが、9ホールが終わった時点では 逆転し、チーム A が 1 アップで勝利している。
このゲーム形式は 様々な レベルのゴルファーが一緒に楽しめるだけでなく、色々な戦術をチームで考える面白み(詳細後述)が増すということが人気の理由だ。これは ナッソー形式で アウト、イン、トータルの 3-Way で競うのが 一般的で、例えば、1-Way 500円程度の小額の(モラル的にも法的にも 問題のないレベルの)握りで行えば、スパイスになること請け合いだ。
♦ ルールと戦術
フォーボールゲームのルールは ストロークプレーとマッチプレーのルールの混合になるが、原則、打順とコンシードに係わるルール以外は ストロークプレーのルールでプレーをして 全てのプレーヤーの各ホールのスコアを出すことになる。しかし、フォーボールゲームの勝ち負けを優先してプレーする場合は 前述のような勝敗の仕組みだから リスクに対する考え方やコースマネジメントが個人のストロークプレーとは 勿論のこと 個人戦のマッチプレーとも異なる戦い方になるのが普通で フォーボールゲーム特有の戦術が生まれる。例えば、距離はないけど OB しやすいようなホールで 先にティーショットを打った味方の選手のボールが良いポジションを確保していれば 通常は フェアウェイウッドで打つようなホールでも ドライバーでプレーするというような戦術を選択をすることも出てくる。勿論、そうした戦術を採ることが 必ずしも有利にゲームを運ぶために効果的とは言えないのだが、ベストボール特有の心理状態が生まれ、コースマネジメントも それに影響されるのである。
ここで フォーボールの特有のルールについて説明しよう。例えば、オナーは チームのスコアで チームに対して与えられる。つまり、前のホールを勝ったチームの選手二人が先にティーオフすることになるが、その際にチームの選手間では 前のホールのスコアに関係なく打順を決めることが出来るというルールがある。また、グリーン上での遠球先打の原則は チーム間ではあるものの チーム内では 近いボールから先にパットをしても良いルールになっている。敵のチームにラインを見せたくない時に採られる戦術で、例えば、そのホールの勝敗の鍵を握る選手にラインを見せる結果になってしまう味方の選手のパットがある場合に もし その選手のスコアが 短いパットを残している選手のスコアと同じか それより悪くなるのが確実な場合などは 短いパットを残した選手が先に打ってホールアウトしてしまえば 相手にラインを見せることをせずに戦える訳だ。また、パーを味方の選手が確保していれば バーディーパットを強めに打てるというような側面もあり そうしたことを考慮してパーパットを残した選手が短いパットを先に入れるという戦術を採るケースも出てくる。
さらには 同じチームの二選手のボールが同様なパッティングライン上にある時などは 良いスコアになるであろう選手のパットを後にすれば ラインを確認してから そのパットを打てるから そうした戦術を採ることも出来るルールだ。しかし、一方で 敵のチームは 勝負に関係ないであろうボールのパットをコンシード (OK) することが出来、コンシードされた選手は そのパットを打つことが出来ないという ルールもある。つまり、パートナーである二人が ボギーパットとバーディーパットを同じ方向からする状況などでは ボギー パットが 通常は コンシードされる。
♦ 遊び方・楽しみ方
このフォーボールゲームは アメリカのプライベートクラブで 最も人気があり 良く行われるゲームだ。個人競技のイメージで 自分のスコアへの挑戦が出来るだけでなく チームの仲間(パートナー)と団体戦を 同時に楽しむことが出来るから プラスアルファーの面白さがあり 絶対的な人気を誇っている。前述もしたように 18ホールの勝ち負けだけではなく、前半、後半、トータルのナッソー形式で行われることが多い。通常は ちょっとした賭けになるが 額は 友情にひびが入る心配のない、また、法的にも問題にならないような 小さな額で行われるのが一般的である。賭けと言うとアレルギーのある人も居ると思うが キャディーへのチップと同じレベルで どちらが勝ったかを確認する目的と言っても良い程度の額で行っている人が殆どである。具体的に言えば $5 のナッソーという感じ(それを 5-Dollar 3-Way と言う)である。
ナッソーでは 2 ダウンすると負けているチームが プレスといって 日本で言う別列車の賭けが 並行して始まったりすることもある。最後まで 勝ち負けのスリルを味わえるように考えられた遊び方と言えよう。例えば、前半、後半、トータル、そして、プレスでも負けた場合などは 3-Way プラス 1-Way で 4-Way の負け と言うことになる。また、二アピン(英語では グリー二ーと言う)やバーティー(総称して、ジャンクと言う)に $1 - $5 程度の賞金を付けるのも一般的である。あまり ポピュラーではないが 砂一(英語では サンディーと言う)に賞金を付けることもある。
ギャンブル色が濃くなり あまり品の良い遊び方とは言えないが グリー二ーを全て 1チームが取ると(シュナイダー/シュナイド と言う)グリー二ーの賞金が 2倍にしたりもできる。グリー二ーがない場合は 次のショートホールに グリー二ーの賞金をキャリーオーバーすることも。また、同じチームの 2人が同時にバーディーを出せば ダブルバーディーボーナスで バーディーの賞金を 2倍にしたり、キャリーオーバーなしのシュナイダーをダブルにすることも。あまり好ましとは 言えまいが このように エスカレートしていくのが この手の遊びの常なので その辺りは 節度をもって行いたいものである。
以上のようなフォーボールゲームの遊びだけではなく 欧米では クラブが主催するチーム戦での各種トーナメントも盛んに行われている。一般的には 誰もが参加できて 楽しめるように ハンデ戦でのトーナメントが多いが 日本で良く行われる ペリエや 新ペリエ方式でのトーナメントは むしろ 稀である。プライベートクラブのメンバーは 基本的に 全員が 公式ハンデを持っているからだが 運で順位が決まる競技方法では 誰も 参加に興味を示さないからでもある。いずれにしても、フォーボールをはじめとする各種チーム戦のゴルフが 日本でも もっと楽しまれるようになって欲しいものである。» ゴルフの競技方法