飛ばす秘訣|飛ばしのメカニズム
♦ 飛ばしのメカニズム
(1) のボールの初速は (a) ヘッドスピード、(b) クラブヘッドの芯でボールを打てたか、そして、(c) アタックアングル 即ち スイングの軌道によって決まる フェース面とボールが当たる角度によって 殆ど決まる。(a) と (b) が飛距離を決定づける 主要素であることは 誰にでも分かることだと思うが (c) については "何それ" と思った人も居るだろう。要するに 擦る様な打ち方になれば 力の伝達効率は 悪くなるので そうならないような アタックアングルで ボールを打つ必要があると言うことである。一方、(2) のボールの打ち出し角とスピン量の最適化について 上のダイアグラムでは 道具の選び方の課題と書いたが 実は (c) のアタックアングルに密接に係わっている。
♦ アタックアングル
まず、ここで 知って欲しいのが 図 - 1 に示した スピンロフトという概念である。スピンロフトは 所謂 アタックアングルとダイナミックロフトによって決まるものだが、それが大きければ ロフトの大きなクラブでボールを打ったのと同じような状態なるから 飛距離の最大化という観点からは 好ましいことではない。同時に ある意味 擦る様な打ち方にもなり 力の伝達効率も悪くなるという問題もある。殆どのアマチュアゴルファーは そのアタックアングルが -5° ~ -10° 程度のダウン ブローなのに対し ツアープロの殆どは それが 0° ~ +2° という 打ち方に大きな違いが見られる。図 - 1 は アタックアングルが -5° で ダイナミックロフトが 15° そして スピンロフトが 20° という状態を示したものだが アマチュアの打ち方では 概ね このような状況が生まれている。要するに 図 - 1 は 飛距離が出ない打ち方の典型的なパターンを示したものだが、もう一つ 確認して欲しいのが ダイナミックロフトが リアルロフトに対して 5° ほど大きいという問題である。これは 手が クラブヘッドを リードする形でボールを打てない時 即ち クラブヘッドをリリースするタイミングが早過ぎる時に見られるパターンである。その結果、スピンロフトは 20° にもなっている。ボールの初速の最大化だけを考えれば これを 0° にするのが理想だが 大きなロスが起きている状況である。さらに、スライスボールになってしまう人は フェースがスイングパスに対して 少し開いた状態で ボールとコンタクトする訳だから そのロスも上乗せされることになる。
一方、このアタックアングルを ツアープロのように 0° ~ 2° 即ち フラットか 若干 アッパーブローにしつつも ダイナミックロフトが 大きくならないように出来れば スピン ロフトは 圧倒的に 小さくなるが 図 - 2 は それを示したもので スピン ロフトは 10° である。こうすれば 力の伝達効率は 良くなるし、ボールの打ち出し角とスピン量の組合せの最適化も かなり達成される。ヘッドスピードにもよるが 2° 前後のアタックアングルで 10° 位のスピンロフトでボールを打つことが出来れば 飛距離は 最大になると言われている。それを目指して スイングを改善し クラブも選べば 飛距離を最大限に伸ばすことが出来る理屈である。
♦ スイングの改善
コンスタントに飛距離を伸ばしたければ どのようにしたら ヘッドスピードを上げつつも 理想のアタックアングルで 擦ることなく クラブヘッドの芯でボールを捉える確率を高めることが出来るか と言うことを考える必要がある。そして、まずは ヘッドスピードを上げることだが そのための第一番目のポイントは 体を速く回転させ その力を 効率良く利用することだ。それには 腰や 肩を 背骨に対してなるべく直角に タイミング良く 素早く回転させること、そして、肩の回転を インパクト後 すぐに止めないように 最後まで 大きく スムースに 回転させることである。手や腕の力に頼らずに 肩の回転でボールを打つイメージでスイングする。力強く 腕を振って スイングスピードを上げようとするのではなく 如何に 体の回転速度を速くし そのパワーを効率良く スイングスピードに変換するかを工夫すべきである。見逃されがちなのは 腰の回転するタイミングとスピードであるが それを最も上手くやっているのが ローリー・マキロイで それを解説したのが下の動画である。» 解説
このように 好ましい下半身と腰の使い方を習得し 回転軸となる背骨の傾斜を スイングを通じて よりシャロ―に 腕とクラブが振れるよう キープすることである。そうすれば アタックアングルを 0° ~ 2° のような フラットか 若干 アッパーブローにしつつも ダイナミックロフトが 大きくならないような スイングが出来るようになるだろう。
どのようなゴルフスイングをするにせよ 下半身と腰は 重要なパワーソースであるが トップからの切り返しでは まず 腰が少し左にスライドしながら回転し それが フォワードスイングのトリガーの役割をして 上半身の回転をリードする形になる。つまり フォワードスイングからインパクトでは 腰が少し左に移動する訳だから 頭を動かさなければ 背骨は ある程度 右に傾くことになる。フォワードスイングの段階で 重心移動は トータルとして ほとんどないような状態だが下半身は ターゲットの方に 上半身は 相対的に後ろにという状態になる。即ち、頭がボールよりも後ろに残る(STAY BEHIND THE BALL)の形が出来上がると言うことだ。そうすれば 回転軸となる背骨の傾斜は スイングを通じて よりシャロ―な フォワードスイングが可能になる状態を維持できるだろう。アタックアングルを ポジティブ(アッパーブロー)にするには スイング軌道の最下点をボールの手前にする必要があるが ステイ ビハインドの形を作り インサイドから クラブヘッドを落とすことが上手く出来れば アタックアングルは 改善できるだろう。
♦ スイングバランスと安定性
いずれにせよ、ゴルフスイングは 回転運動が基本で 安定した軸を中心に 体を 効率良く回転させることが大切である。そして、その時に 前述のような方法で生まれるパワーを 如何に 有効に利用出来るかで ヘッドスピードと飛距離が決まってくると言える。しかし、ボールを ただ 飛ばそうとして 力が入り過ぎたり 大振りして スウェイして その軸が動いたのでは 正確なスイングは出来なくなり 芯でボールを捕らえる確率が下がってしまうから 冒頭のダイアグラムで説明したように そうした点には 十分 配慮する必要がある。また、力み、特に、肩や腕に力が入り過ぎれば クラブ ヘッドが走らないスイングになるばかりでなく アウトサイドインのスイング軌道を促すことにもなるから 前述のアタックアングルが悪くなって 擦り球やスライスボールが出る可能性も高くなってしまうだろう。つまり、飛ばしたいと感じたホールでは 無意識の内にも力が入り スイングが大きく速くなる傾向があるから 力を抜くこと、軸がブレないスイングをすることを考えるような発想が役立つ可能性は 高いだろう。力一杯 スイングをして バランスを崩したり 安定性に欠けるスイングをするのではなく バランスが良く 安定性の高いスイングをすることで より効率良く 全ての力を有効利用出来るようにすることこそが 実は「飛ばす秘訣」なのだ。